2015年09月20日
最近、機械修理を覚えたいという
若者が来ている
一緒に作業することが多い
「シルバーウィーク、何やります?」
「コンバインの点検と、チェーンソーのキャブ修理と
それだけじゃ つまらないなあ
じゃあ、ナナイチ?」
「ついに やるんですか!」
ついに、と言うか
ようやく、と言うか
今さら、と言うか
去年の春に超いそがしの中で、オイル交換失敗
オイルを抜いたあとに新オイルを入れ忘れて3分間のアイドリングにより
1番気筒のメタルとピストンスカート損傷
発生した金属粉がエンジン内部を駆け巡り
致命的にはシリンダーの異常摩耗
拡大されたピストンクリアランスにより
ピストンがシリンダーをカタカタと叩き続けていた
クリアランスの変化は
0.06 mm --> 0.3 mm
ゼロの数が変化してしまいました
原因追及のためにエンジンオーバーホール&試走をくり返した
その過程での損失は
シリンダーブロック:1ブロック
ピストン:5個
コンロッド:4本
親メタル:4セット
子メタル:4セット
ちなみに、メタル、ピストンともに欠品、再生産の予定なし
手痛い損害だった
メタル類は 4E 用が使えた気がするので
(しかも、2E に比べて新設計、潤滑効率アップ!)、
致命的なのはシリンダー
まあ、鍛造ピストンでオーバーサイズという手もあるのだけど
さらなる困難として、その過程で発見されたのは
実は かな〜り歪んでいたシリンダーヘッド
本来なら、ストレートゲージ(ストレートエッジ?)で
歪みを調べるのだが、
机の上に置いただけでコトコト動く・・・
こちらも、基準値を5倍くらいオーバーしてました
どおりで、ガスケット交換しても
ブーストかけるとすぐにオイルが漏れるはずだ
圧縮は抜けてなかったようですが
最初はシリンダーヘッドボルトを疑ったのですが、
ヘッドボルトさんごめんなさいでした
けど、EP71 --> EP82 で、ヘッドボルトが
ざっと 15% くらい強化されているんだよな〜
15% というと、けっこう大きい
200ps か、170ps か の違い
実際には 300ps/250ps ってとこかも知れないけど
とにかく 4E はマージンは増えているのだ
「まず、何からやります?」
「修正面研したヘッドと
組み上がった腰下はすでにあるから
エンジン組立てて
車に載っけて
オイルとかクーラント入れて
試運転&セッティング
ってとこかな」
「昼は農機具の修理して
夜だけで2晩でやるって言ってましたけど
できるんですか」
「う〜ん
エンジン組立て:1.5 時間
車に搭載:3時間
オイル・クーラント:2時間
試運転&セッティング:6時間
かなあ」
「セッティングって
そんなに時間かかるんですか!?」
「まあね
回転数と負荷で 20x20 くらいのマップがあって
今使ってるECU(パワーFC初期型)だと
ひとコマずつ手入力だから
そうだなあ、動くようにすることが目的だから
適当でもいいか
全体をインジェクター係数で簡易に合わせることにして
セッティングは 1.5時間 ってとこかな」
「そんなに短く?!」
「最初は慣らし運転だからね
そんなもんでしょう」
毎日ナナイチの整備をしていた時なら
全部あわせて一晩でできる作業量なのだが、
今回はこのくらいのペースでゆっくりと
そもそも、前回整備したのは去年の11月なので、約1年前
脱サラして、フリーのエンジニアとなったはいいが多忙を極め
スターレット全員集合、TUMC Gymkhana、エビス遠征
毎回直前にがんばるものの完成できずにいたのでした
今回もまた、仮搭載かなあ
エンジン仕様は、
ガスケット:2.0mm メタル
ヘッド:ポート研磨、廃棄ポート拡大
タービン:EP91 A/R 変更
ガスケットは再利用だし、ポートは手作業だし、A/R は A側 拡大なので
お金のかからない手塩のチューン
もうちょっとお金が貯まったら
シリンダー:5E
ヘッド:2E
ピストン:5E用鍛造
カム:TRD 300-280
こんな NA仕様 の予定
SOLEX用変換インマニがあるのだけど、
4AG20Vの4スロ付いたりしないかな〜と妄想中
そんなことより、
まずは目の前の作業を完了させないと
ヘッドを組み上げる
面研を終えた、
ガスケットかすの付いていない合わせ面に感動しながら
部品をそろえていく
「足りない!」
「どうしたんですか?」
「1枚、2枚、3枚、・・・、11枚
バルブスプリングのシートワッシャーが1枚足りない」
「そんな! 今日の作業はもう終わりですか!」
「いや、待て
ナナイチ箱がある
これこれ、
捨てるか捨てまいか迷ったもの
念のために取っておこうと思ったもの
いろいろ入っている
おお! バルブステムシール! しかも2セット!
吸排気バルブ見っけ、なぜ、こんな中途半端な数が?
ロッカーアームホルダー、たくさん余ってるなあ
シートワッシャーは・・・
無いなあ
イニシャル増しのために
たくさん買った憶えがあるのだけど」
(1mm のイニシャル増量で 1,000rpm くらい
レブ容量が増えるんだったかな?)
「どうしましょう」
「大丈夫
予備のヘッドがあるから
それをバラせば1つくらい問題なく取り出せる
持つべきものは部品だねえ」
部品がようやくそろって組立て作業
バルブステム内部を掃除して、
ステムシールを取付けて、
バルブを付けて
ヘッドをひっくり返して、
バルブスプリング、バルブリテーナーと置き並べて
鬼門のコッター
燃焼室の密閉のためだったり
バルブのバウンドの防止だったりのためだったりのために、
スプリングにはイニシャルがかかっているのだが
固定のために使われるバルブコッター
小さいために、
どこかに吹き飛んだり
組込みに細かい作業が必要だったり
バルブスプリングコンプレッサーを使って作業を進めました
そのあとも順調に、
ロッカーアーム取付け
カム取付け
と進める
ここでもナナイチ箱が活躍
新品のカムスプロケ側のオイルシールが見つかりました
ヘッドが組み上がったら
シリンダーとの結合
再利用のメタルガスケットは
1枚いちまいワイヤーブラシを使って灯油の中で洗って、
マッドレンチさんからコメントで教えていただいた
カッパースプレーにて処理して再利用
薄/厚/薄/厚/薄 の計5枚のガスケット
薄いガスケット3枚にうっすらカッパースプレーしました
このカッパースプレー、金属系なので熱に強く
そして密着を助けてくれるというスグレモノ
シリンダーにガスケットを乗せて
ヘッドを乗せて
さて?
ここで、ヘッドボルトにオイルを塗って
ネジ山に落とし込むと
ガスケットにオイルが付くぞ?
ガスケット抜けを繰返し経験したトラウマが・・・
何とか、ガスケット密着面へのオイル付着を防げないか
まずは、洗浄したボルト4本で仮固定して
ガスケットを密着
残り6本はしっかりとオイルを塗って仮止め
最初の4本を外して、
オイルを塗って再締結
こんなもんでいいかな?
25Nm、50Nmと締めて
最後は +90°
とは言うけど、
シリンダーの締め付けトルクは小さいに越したことはない
ダミーヘッドボーリングとか施されていれば
話は別だけど
塑性域締め付け法 って言うけど
他では 50Nm 程度のものも多いよなあ
じゃあ、今日のところは、最後を +45° に変更
ガスケット抜けるかどうか、ちょっとした実験
ナナイチはカムを外すこと無く
ヘッドボルトをいじれるのでこのあたりはちょっと安心
本気で丁寧に組む時には
エンジンを一度始動させて
加熱された状態で再度ゆるめて締め直します
最後にタイミングベルト
予備は5年くらい前に購入済み
今、手に入るのかなあ
EP82用とか使えないかなあ
カムプーリーの位置が違うから4Eは違うか
ガスケットを増すと
プーリーがきつくなるんだよなあ
ススッッ
あれ? 簡単に付いた
そんなはずは無い
テンションかかってない?
もしかして、4E用?
品番から逆に調べると、これは間違いなく 4E用
ちくしょう! ヤフオクの出品者め!
EP71用と言うから買ったのに
どうしよう、手に入るのか?
調べると、今でも売ってはいるようだ
でも、明日には走らせたい
ナナイチ箱?
あ、使用済みのタイミングベルト発見
キズなし、ヒビなし、ツヤあり
決定、再利用
各種カバーを取付けて
組み上がった〜
では、また明日・・・
Posted at 2015/09/22 00:59:54 | |
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