2005年10月08日
トヨタの新型車、ラクティスを見てきました。
展示車はG・Lパッケージで例のパノラマルーフ仕様ではありません・・・ちょっと残念。もっともこの仕様の車は日産ラフェスタやホンダエアウェイブで体験済みでしたので、この2車と大きな差違はないと思います。
さて、早速エクステリアをじっくり見ると、フロントグリルに先代であるファンカーゴの面影が僅かに残りますが、全体的に見ると自社他社からの良いトコ取りを行ったうえでファンカーゴ流にまとめ上げたデザインという感覚を受けます。部分的にトンガッタところや平凡な部分があるので決して美人ではないけれど、付き合えば容易に慣れるデザインでしょう。欲を言えばもう少しリアのデザインがフロントのデザインと合うモノであったらいう事は無かったのですが、ある意味ラクティスを含んだF/Rデザインのバランスは最近のトヨタ車デザインの傾向なのかもしれません。
タイヤは全車16インチを標準で装備されておりフロントの鋭いデザインに合っていますが、1300ccクラスには15インチの仕様があっても良かったのではないかと思いました。夏タイヤはともかくスタッドレスの16インチは高いですからね。その点を営業さんに話したら『15インチの場合ホイールのデザインを選ぶ可能性がある』と返ってきましたが、この辺どうだろうかと疑問に思えます。残念ながら展示車は鉄チンだったのでキャリパーのサイズが良く見えませんでしたが、決して15インチが入らないキャリパーだったとは思えなかったんですけど・・・。
ドアを開け、先ずリアシートに座りました。見た目もそうでしたが思った以上にトヨタ車にしては硬いです。次にパッセンジャー、最後にドライバーズシートに座りましたが、その順で柔らかくなっていった気がします(前席は同じ硬さだと思うのですが・・・何故?)。シート自体の容量に問題はありませんしホールドもまあ良好です。正面に目を移すとインパネのメーターがハンドルの上へとポジションアップしていました。その下(通常のメーター位置)は小物入れとなっています。ベースは現行ヴィッツで従来のシリーズはセンターメーターに固執していた感がありますが、今回のラクティスはハンドル上へメーターを移設した事もありセンターメーターのような違和感はありません。このメーター位置の為か1500ccのG以上はテレスコ付きチルトステアリングとなっています。ホンダのステップワゴンや新型シビックのようにメーター位置の変わり種車は全てテレスコ付きでしたが、トヨタのラクティスでも同様のアプローチを取った事で、やはりハンドル位置による視認性を上げる為にテレスコ採用された感が強く、この三車はドライバーの為というよりもメーターの為にテレスコ採用に踏み切らざるを得なかったのかもしれません。そのお陰でテレスコ付きとなりシート位置に柔軟性が上がったので文句を言うべき事なのではないかもしれませんが・・・やはり私は釈然としませんね。
気を取り直して、インパネや内装の質感はヴィッツベースとしてはかなり高いでしょう。ヴィッツはお世辞にも内装が良いとは言えない(トヨタ車としては悪い)車でしたが、ラクティスは価格相応の手を掛けられた内装になっています。使用されるプラスチックのパターンやパーツのチリも充分合格レベル・・・でしたが、ダッシュボードに成型時のヒケが見受けられた事から、見えない部分である材質的なコストダウンはかなり進んでいると見て間違いありません。経年変化でダッシュボードがどう変わって行くかはWISH以上に見物です。
スイッチやレバー類の配置は悪くありませんが、インパネシフトの向こう側に空調関連のスイッチが並んでおり、実際に操作する場合レバーのノブが邪魔にならないかどうかが心配です。この辺はWISHと同じで見た目優先の感が拭えません。そのインパネシフトですが全車ゲート式となっておりG以上のFF車にはシーケンシャルモードが付き、しかもステアリングにパドルシフトまで装備しています・・・おいおい。通常はどちらか一方を装備するものですが、その両方をラクティスは付けてしまっています。確かに両方あると便利だと思いますけれど、この分がコストアップになりはしないでしょうか? いえ、悪い事じゃないですし私的にはどんどんやって下さいという感じですけど(苦笑)。
シートアレンジはとにかく楽。FFのリアはダイブインシートになっていますが、ワンタッチでダイブイン状態と出来、しかもスプリングによるサポートでノーマル状態へ復帰させるのがとても楽です。リアシートを倒すとラゲッジスペースは結構広く、また地上高も低いので荷物の積み降ろしは楽だと思いますが、リアゲートハッチとラゲッジスペースとの間に30mm弱程度の段差があるのが玉に瑕です。
全体的にソツのない出来のこの車。様々なところで使い勝手に安楽さを感じさせるところがラクティスという車名に現れている・・・わけではないでしょうが(苦笑)実用性は高いと思います。ただ、多少シートの座り心地が硬めで、それが従来のトヨタユーザーにどう受け止められるかに興味があります。後は実際に試乗してみて16インチのタイヤとシートがどの程度乗り心地に影響するかも調べてみたいです。
■最初に、今回追加される試乗記は、手抜きです。
何しろ試乗してから時間が経った為か今一つ書く気が起きません。コレといって書きたい事がないのかもしれませんが・・・あ、無い事もないか。細かなところを突けば色々とありますが、取り敢えずラクティスで私が一番気になった点は、運転席フロアのペダル周りと16インチタイヤです。
ペダル周りは明らかに窮屈で、乗り込んで最初にブレーキペダルが上手く踏めるか心配になる程でした。これは足元の狭さもさる事ながら、ペダル位置がセンター側にオフセットし、かつ何故か心持ちフロント寄りに位置している気がします。しかもブレーキの感触が今までのトヨタ車以上に妙で、初期制動に嫌な違和感を感じます(何処ぞの【すべて】シリーズのライターも同じような事を書いていて少し驚き)。これは車内の広さを確保する為に、否応なくドライバーのポジションが不自然な場所に追いやられた結果でしょう。ラクティス最大の欠点です。
またラクティスは全車に16インチタイヤを履かせていますが、このタイヤと硬い足回りのお陰で乗り心地に悪影響が出ています。流石にBMC前のフィットよりは随分マシですが、5ナンバー規格一杯のボディーを奢りワイドトレッド化されている分、この細身で空気容量の足りない16インチタイヤでは路面の凹凸を拾いすぎるきらいがあり、ロードノイズも耳障りに感じる場面が多く快適性は同クラスの車種よりも明らかに劣ります。何故15インチタイヤを履かせなかったのか疑問に思えてなりません。確かに見た目は良くなりますしタイヤ剛性が上がるのでコーナリングには多少有効ですが、見せかけのスポーティーを追求しても乗り心地が悪くなっては意味がないように思います(燃費も悪くなるのではないだろうか?)。
ミッションの操作系もパドルを使うにはインパネシフトをMモードに倒さないと使えないし・・・細かなところで何かチグハグさを感じさせるラクティス。トヨタ開発陣の考えるスポーティーは、根っからのホンダ車乗りである私にとって疑問の多い車に感じました。
Posted at 2005/10/08 15:18:01 | |
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自動車試乗・拝見記 | 日記