2007年01月10日
1970年代、アメリカが行った惑星探査計画の一つに火星探査のバイキング計画があった。このバイキング計画、当時としては意欲的な探査計画で、火星へ探査機の軟着陸を行い、各種データの収集や画像撮影を行い、そして火星の土砂から生物の痕跡を探すという実験まで行うという素晴らしいものだった。残念ながらその火星の土砂に生物の痕跡は見付からなかったが、充分以上に大成功の計画として知られている。
ところが最近、当時バイキングが行った生物の発見方法が間違いであった、もしくは誤っていたという科学者の発言が発表された。当時行った方法は採集した火星の土砂に水を主成分とする試薬をかけて、その反応を調べるものだったが、現在の火星は水分の少ない乾燥した状態であることから、もしそれに適応した生物が居たとすれば試薬の中でその生物が溺れたり過剰な水分で破裂してしまったかもしれないというのだ。
まあ、異星の生物を検出するという事が如何に難しいかという事を示す実例であり、当時はそれなりに根拠を持って設置させた装置による探査であるから、今それを言っても仕方がないと思えなくもない。高い勉強代になったかもしれないが、失敗の上に現在の文明が成り立っているわけだから、こう言った失敗はある意味つきものである・・・まあ、火星はなかなか行けるところではないので、一度の失敗が何十年も尾を引く事にはなったが。
もっとも(これは今回のニュースでは取り上げられていないが)もっと有効な生物検出装置が当時製作され、その実験も充分行われていたモノが存在していた。けれどその装置は(恐らく当時のコンペに敗れたのだろう)積まれる事はなく、可もなく不可もない装置が積まれ、そして今頃になって『火星の生物を殺したかもしれない』という事を一部の科学者が言い出したわけだ。もしかすると、当時のコンペで敗れた科学者の流派が発言している可能性もある。
しかし、何ですねぇ。偉い学者先生達も、こうした駆け引きって、やっぱりあるんですね。あの時、あの装置を積んでいればと、そう思っているのかもしれないな。当時のあるグループの政治力の無さが、火星生物の発見を大幅に遅らせる事になったとすれば、何と皮肉な話でしょうねぇ・・・。
Posted at 2007/01/10 19:49:38 | |
トラックバック(0) | 日記