
この前、知人とFSWの話をしているときに、200kmからなんて自分はとても止まれないですよー、って会話になった。一般のドライバーの多くは、たぶん同様に思ってるに違いない。
自分も昔は同じように思ってた。
でも、某N産レーシングスクールに行って、講師から開口一番いわれたのは「何キロからでも安全に止まれる方法を覚えろ」ということだった。講師はH見さんだったので、言い方はもっと丁寧で『覚えましょう』だったけど(笑)
で最初に何をしたかといえば、ストレートをフル加速しておよそ100kmオーバーからパイロンのところでステアリングから手を離してフルブレーキング。ABSやEBCなんてない昔のことだから、車はブレーキの効き具合とタイヤのグリップのばらつきで微妙に左に傾いて止まった。
「このとおりステアリングもってなくても、まっすぐに向いた車はちゃんと止まります。でも、タイヤのグリップやブレーキの微妙なバランスの狂いで車の向きが変わるのが解ったはず。ブレーキングの時には、ステアリングで車の直進状態を維持することが大事です。そのためにはステアリングに体重をかけたらダメだし頭が揺れてもダメ。ドラポジが間違ってるとちゃんとブレーキングできないわけです。」
ブレーキングの基本は、ドラポジだよ、ってことなのだ。
最近の寝転がりポジションの人の多くは自分の上体をただしくサポートできない。ブレーキングしたら手で体を支えるしかない。後に2輪でも同様の講習をうけたときにも、まったく同じことを言われた。上半身だけでブレーキングの時の体重をささえろと。2輪は4輪よりもっとシビアで、直進状態を維持できないと転倒して一気に制動距離は伸びて死につながる。
「正しい姿勢で乗っていれば、止まれない速度は無いんですよ。よく勘違いしている人がいるけれど、止まれない速度ではなく止まれない距離があるだけです」
あー、自分のなかで止まれる速度と止まれる距離を混同してたなーって思った。たしかにこの速度じゃ止まれないって思うときは、この距離では止まれないってことだ。速度が遅くても止まれない距離は常に存在する。時速10kmで走っていたって、ちゃんとブレーキふめなければぶつかる。
「だから、レッスンを通じて理解してもらうのは、その車の止まれる距離を正しく認識する能力です。この車だけでなく、自分の車で止まれるようになることがスポーツドライビングの基本です。ブレーキングが上手くなれば速く走れます。」
去年通ってたFSWのストレートエンドの最高速は、TTRで220kmちょいぐらいだけれど、これが車の性能限界ではない。実際にはストレートエンド200m手前をちょっと過ぎた速度で、ここから1コーナーに綺麗に侵入するために必要な距離と制動距離の妥当点だ。もうちょっと先までアクセルを踏み続ければ、あと10kmは最高速があがるが、そうなると1コーナーに侵入するための制動距離が150m以下になってしまう。速度が10km上がって制動距離が50m縮まるのは厳しい。
実際ためしたことがあったけれど、案の定ブレーキを踏み切りながらのターンインになり、突っ込みすぎた結果のヨイショって感じで回り込むはめに。実際、レースだと抜くためにそんなラインを取ることはあるわけだけど、これじゃ当然タイムは落ちる。
余談だけれど、ハルデックスをオレンジボディに変える前は、200mを過ぎてのブレーキングでは間に合わなかった。オレンジボディにしたことでリアのエンジンブレーキがカットされなくなって制動距離が短くなった恩恵と、坂を上って曲がってくる最終コーナーからの脱出時のリアの駆動配分が増えたことで、立ち上がりが良くなったのが最高速アップに効いた。
ちなみに996カレラ4Sだと、同じ地点の最高速は240km。でもってブレーキがもっと強力なので後50mおくまで行っても楽勝だったはず。なにしろ別のコースで270kmからのフルブレーキングを体験しているが、姿勢も崩れず目測よりはるか手前で止まれたから。でも、それを試す機会がないまま手放してしまったのは、少々悔やんでいる。
車のインプレをする人の多くが、ブレーキが効くとか効かないとか言うけれど、ちゃんと踏み切れてないことも多いだろうし、高速道路で走ってる方々の多くは、100kmからのフルブレーキングすら経験なく、ブレーキ練習もまったくして無い人ばかりなわけで、そりゃ止まれる速度とか距離の問題じゃないっすね。
Posted at 2007/03/05 14:53:32 | |
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