
すでに読んだ方もいらっしゃるでしょうが、
佐賀ラリーの主催関係者の方のブログに
「より多くに方に理解していただきたいので、ブログへの転載大歓迎です。」
とあったので、ここでも載せることにします。
以下転載です。
全国ニュースで放送されたこともあり、ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、8月25日に開催された全日本ラリー選手権第7戦で、残念なことに3名の報道関係者の方が負傷するという事故が発生してしまいました。負傷された方には、一日も早い回復をお祈り申しあげます。なお、1名の方は、一時意識不明の重体になっていましたが、昨日時点の主催者の情報では、やや快方に向かっているということでした。
私は、たまたま3名のクラブ員が同大会に出場するため、サービス隊として参加しました。またその後、現地で臨時ラリー部会が開催され、それに出席し、少しは正確な情報を得ておりますので、確認している状況を説明したいと思います。一部の報道には、ラリーという競技の内容を理解していない為に、誤った情報も伝えられておりますので、冷静にご判断いただけると幸いです。
上の写真は、全てのラリー関係者が所持しているクレデンシャルカード(名札のようなもの)の裏面に書かれている文章です。「モータースポーツは危険です。安全確保につきましては必要な対策をしておりますが、予想できない事故が発生する場合があります。これらの発生しうるリスクについては各々の責任とします。」と書かれています。この文言は、このラリーに限らず、世界選手権ラリーから、初心者向ラリーまで、同様の警告が必ず書かれていますので、関係者は、常にモータースポーツの危険性について意識しています。
今回も、主催者は、事前から綿密な安全対策を講じていたはずですが、残念なことに、予想し得ない天候という要因が重なり事故が発生してしまいました。それは、現場と20km程しか離れていないサービスパークでは1滴の雨も降っていないのに、現場では前が見えないくらいの大雨だったということです。
私は、当事者のドライバーを中部地方選手権で活躍していた頃から知っている関係ですし、事故に遭われた芸文社の伊藤さんという方も、新城ラリーの取材等でお世話になった方ですので、大変ショックを受けました。伊藤さんは、先月休刊になった「PD」という雑誌の編集長をされていた方で、モータースポーツ取材歴20年以上のベテランです。前日も、伊藤さんと長い時間話していたので、事故に遭われたことがにわかに信じられませんでした。現場にいた関係者によると、伊藤さんは、雨が酷くなってきたので危険と感じ、取材を中断し引き上げる際に、現場でビデオ撮影していた、福岡ビデオバンクの2人の方に、危険だから移動するように注意していたときに、たまたま競技車が来たので、ガードレールの外側に避難したところ、大雨でハイドロプレーニングによりコントロールを失った競技車が、すぐ近くのガードレールを突き破りコースアウトしたのですが、その際ガードレールが大きく変形し、それによって3人が弾き飛ばされ数m落下したということで、決して被害者をはねた訳ではありません。
事故の発生状況は、上記のとおりですが、一方数年前から、国内のラリーで非常に変ったことがあります。それは、事故が起こった場合の対応です。日本では、2001年からインターナショナルラリーを開催することになり、それ以降国内ラリーでも緊急時の対応を、国際標準に倣う事にしたのです。
今回、不幸にして事故が発生してしまいましたが、この緊急対応のシステムが完成していたので、速やかに現場での応急手当と病院への搬送ができ、その結果今の状況で済んだとも言えると思います。
その対応とは、まず選手は、添付のSOSカードを携帯しています。片面に赤色で「SOS」と書かれていて、裏面に緑色で「OK」と書かれています。もし、事故が発生し救急車が必要な怪我人がいる場合、1分後に走ってくる後続車に「SOS」を掲示しなければいけません。そして、「SOS」を見た後続車は必ず停止し、まず、救助行動をする人と主催者に状況を知らせる人に別れて、速やかに連絡しなければいけません。携帯電話が通じれば良いのですが、通じなければ近くの無線中継ポイント又はスタートもしくはゴールの役員に知らせます。今回の場合、無線中継ポイントから近い場所だったので、無線中継ポイントに知らせたものと思われます。一方、コースの役員は、常に全ての競技車の現在位置を把握するために、無線システムを利用してトラッキングという作業をしています。
また、救助作業において現場で対応を即断するために、医師または救急救助の資格を持った役員が、競技区間のスタート場所に待機していなければいけません。
その結果、今回は、事故が発生して約3分程でスタートから医師を乗せた車がスタートしています。その後数分で現場に到着し、医師の指示の下、救急車が到着するまで、現場にいた選手が、大雨の中、必死で救助作業を行ったと、多くの関係者が口を揃えて言っていました。
さらに、医師と消防の打ち合わせの結果、緊急を要するということで、最終的には救助ヘリを出動するという判断も速やかに行えたと言えます。これも、現場に医師がいなければ出来なかった判断であると言えます。
このように、今回大変残念な事態になりましたが、その中にも、関係者全員の必死の救助作業と、長い時間かけて築き上げてきたシステムにより、結果的に最悪の事態を回避できたのではないかと思います。そして、現場で頑張った全ての関係者に、感謝の意を表したいと思います。
11月には、私自身、今度は全日本ラリーの主催者という立場になりますが、今回の事件を肝に銘じて、取り組んで参りたいと思います。
以上。
この記事以外にも書いていらっしゃいますので、
後は以下のアドレスへどうぞ。
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Posted at 2007/09/01 01:10:09 | |
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