2013年09月07日
ここはC県のとある街にある自動車屋さん。
その名は「カフェ959」。
いつもニコニコしているマスターも、時にはムッ…とすることもあるようです。
ある日のこと、そのお客は突然やってきて、こう言ったのだった。
客 「トラヴィックからトラヴィックに買い換えたいので在庫があったら売ってください。」
店に来るなり、いきなり「売ってください」は稀にある話だが、前半に言っていた理由が引っかかっる。
「何だって?!」と聞き返したいのを我慢して営業用スマイルで応戦しながら、お客の真意を引き出そうとしてみる。
マスター 「トラヴィックって10年前のクルマですよ。トラからトラへの乗り換えとはどうしてですか?」
客 「今乗っているトラヴィック、なんだか調子悪いんだよね。」
マスター 「今乗っているトラヴィックを見せてもらえませんか?」
客 「いいっすよ。」
~ お客のトラをチェックしながら会話するマスター ~
マスター 「どうしてトラヴィックを買われたのですか?」
客 「スバルのミニバンで安かったから買ったのが3年前。でもスバルで作ったクルマじゃないんだってね。」
いちいち引っかかる物言いの客にイラっとするが 「皆さん、よくそう言いますよ。」 と感情の入らないトーンでやり過ごすマスター。
客 「で、最近調子も悪いので買い換えようと新しめのワーゲンのミニバンとかを探していたんだけど予算オーバーで買えないので、値段が安いトラヴィックにまた乗ろうかと。」
マスター 「トラヴィック、けっこう気に入っているのですか?」
客 「いや。 外車欲しいけど高いのは買えないじゃない。 使い捨てじゃないけど、また同じのを買うのもいいかなぁ~と。」
マスター 「ふ~ん・・・。」
マスターの内心は、「な~にが"いいかなぁ~"だ。ふざけてんじゃないぞ、こん畜生め。」と、はらわたが煮えくりかえってすっかり食べ頃。
しばし、無言の沈黙が続いたが、マスターからお客へある質問をしてみた。
マスター 「今のクルマを直して乗ろう・・・という気持ちはありませんか?」
客 「えっ?!」 ポカーンとして驚いた表情に変わる客。
客 「マジ受ける。 いやいや、だってオイル交換とか車検取ったけどだんだん調子悪くなっているし。」
マスター 「どこでオイル交換とか車検取っています?」
客 「近所のガソリンスタンド。車検なんて1日で終わるし、燃費の良くなるオイルを交換してくれて安くて便利ですよ。」
マスター 「安い?! それじゃあ、うちはお手上げだな~。」
客 「教えてあげましょうか? そのガソリンスタンド。」
マスター 「ハハハ・・・」 乾いた笑いが工場内を響き渡る。 教えてくれなくて結構! ケンカ売っているのか?
客は、自分の話がウケたと思ってニコニコしている。
でもマスターの内心は、「ホントに畜生だな。整備を後回しにして車検を"通すだけ"が出来ることを知らないのだろうな。」と呆れ顔。
整備手帳を見ると、案の定、必要な整備はほとんどされていない。
そりゃそうだ、安いに決まっている。 車検証入れにねじ込まれた法定費用に手数料だけの明細も発見。
さらに、ドアポケットに放置されたオイル交換のレシートを見ると 「オイル 0W-20W 4L」と記載されていた。
交換した日付は・・・半年前だ(苦笑)
ひと通りチェックが終わりボンネットを閉めるマスター。
マスター 「確かに、調子悪そうですね。」
客 「ちゃんと整備してもらっているんですけどね。」
マスター 「お客さん、トラヴィックはやめて国産車にした方が良いですよ。」
客 「ボク、外車が好きなんです。」
マスターは怒りを通り越して呆れ果てた。
「ボク、外車が好き・・・って、どの口が言っているんだ?」と喉まで出かかるがこらえるマスター。
そろそろ限界が近いか?!
マスター 「うちには売れるクルマが無いんですよ。」
客 「HPに載っていましたよ。 銀色の。」
マスター 「(思い出したような振りをしながら) あぁ・・・あれ更新するの忘れたけど先日決まってしまって・・・。」 心の中で舌を出すマスター。
客 「それは残念。」
マスター 「国産のミニバンだったら探しますよ。スライドドア、後席リクライニング、メンテナンスフリーetc.」
客 「ボク、やっぱり外車が好きなんです。」
マスター 「チッ・・・」
マスターは "ふぅ~" と大きな溜め息ひとつついて思いきってお客に聞いてみた。
マスター 「そのトラヴィック、時間は掛かりますけど、少しずつ良くしていきませんか?」
客 「いや、もう買い換えるのは決めていますから。」
マスター 「そうですか。」
客 「このトラヴィック、買い取りしてくれませんか?」
マスター 「いや~ 今はトラヴィックの買い取りを控えているんですよ、ゴメンナサイ。」 心の中で客のトラに詫びるマスター。
客 「他の店に行って探してみます。」
マスター 「力になれなくてスミマセン。」
客は、調子の悪いと言うトラヴィックで959を後にした。
マスター 「あのトラには可哀想なことしたな。でも、あそこまで管理がヒドイと厳しいのも事実だし・・・。」
マスター 「そうだ! 今日のブログは愛車の点検を啓蒙する内容でアップしよう。」
こうしてブログのテーマが決まり、日々アップデートされるかどうかはマスターのみぞ知るところである。
自分の愛車は大事にしたいですね。
Posted at 2013/09/07 08:46:19 | |
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