2021年01月10日
ここはC県N市にあるクルマ屋、カフェ959。
車検や登録などでいつも通る道のS県と県境付近に不思議な自動車屋があり気になっていたマスター。所用が早く終わったこともあり、気になった自動車屋を覗いてみることにした。
その店の名は「ガレージ縁(えん)」。
店の敷地に入った途端、マスターは並んでいるクルマに唖然とした。
マスター 「見るのが久しぶりのクルマばかり・・・」
そう、この店は国産車がバブル景気に浮かれていた頃のマイナー車がズラリと並んでいたのである。
マスター 「この間の626といい、こういう店によく出会うな。」
そりゃそうである。筆者の趣味なんだから。
縁のオーナー(以下オーナー) 「いらっしゃいませ。」
マスター 「こんにちは。」「懐かしいですね。(社交辞令)」
オーナー 「わかりますか(嬉)」「私は当時理解されなかった名車(迷車?)達の伝道師になりたくて、この店を始めました。」
マスター 「(わざと)このシビックみたいなのは?」
オーナー 「(ニヤニヤしながら)これはコンチェルトといいます」「英国のローバーとの提携で生まれた車で当時のホンダ車の中で車高も高く、小さな高級車を志したものなんです。5ドア欲しかったけど見つからなくて。」
マスター 「今だったら売れたのかなぁ・・・?」
オーナー 「お客さん、お目が高いですね。」「コンチェルトは当時のホンダ車の中では6ライトのセダンでオーソドックスが故に埋もれて・・・」
マスター 「シートに玉縁もあるし、木目もいい感じですね。」
オーナー 「私は和製バンデンプラと呼んでいるのですが・・・(ちょっと苦笑い)」
マスター 「なんでしょう?」
オーナー 「その木目、プリントなんですよね(笑)」「当時、人気車種だったアコード・インスパイアは本木でしたから、比較されて辛かったのではないかと。」「それに6ライトがオッサン臭いと言われて、アスコットと一緒に不人気を一身に背負ったクルマだったんです。」
マスター 「・・・。(アスコットって、またマイナーな。)」
オーナー 「このコンチェルトはJXというグレードでキャブレターですがよく回って元気に走りますよ。」
マスター 「ほほー。(小さな高級車が元気とは違和感あるな)」
オーナー 「名機ZCを堪能してほしいと思っています。」
ボンネットを開けながら説明するオーナー。
コンチェルトのZCはSOHC仕様なので、DOHCだと思ったマスターは不思議な顔をする。
マスター 「ZCって、Siとかと同じですよね。」
オーナー 「形式名は一緒です。コンチェルトは性格に合わせてSOHCなんですよ。」
マスター 「ほかにどんなクルマがあるのですか?」
オーナー 「5ドアのクルマをそろえているのが当店の売りですね。」
マスター 「見たところ、トヨタ、日産、マツダと色々ありますね。」
オーナー 「トヨタのこれは珍しいですよ。」
マスター 「コロナですよね。普通の・・・。」
オーナー 「これは5ドアのSFというやつなんです。」「コロナは海外でも販売されていて5ドアの歴史は長いんです。」「どうです? カルディナと違って美しいでしょう?」
マスター 「5ドアといえば、スターレットやカローラFXあたりを思い浮かべたのですけど。」
オーナー 「そういう選択肢もありますが私の趣味で集めていますので・・・」
「スプリンター・シエロも探しているのですがなかなか見つかりません。」「ヴォルツやWill Vsなんか面白そうなんですが・・・」
マスター 「確かに面白そうですけど・・・(困惑)」
オーナー 「ちょっと古いけど日産の5ドアも良いものがありますよ。」
マスター 「あの白い角ばっているやつですか?」
オーナー 「そうです、そうです。オースターの5ドアです。セダンはたまに出てきますがこの5ドアは本当にレアなんです。」「5ドアというとパルサーやラシーンと思われるでしょうけど私はオースターを推します。」
マスター 「なんだか不思議なクルマですね。ブルーバードみたいでもあるし。」
オーナー 「おお!(驚いた顔で) ブルーバードのオーズィーをご存じですか!」「お客様のような方にこのオースターは乗ってもらいたいな。」
マスター 「はぁ・・・?!(オーズィーって何?)」
オーナー 「こちらのマツダもおススメですよ。普通のお店はランティスでしょうけどウチはこれです。」
マスター 「クロノス、でしたっけ?」
オーナー 「これはアンフィニ・MS-6で5ドアなんです。」「V6エンジンですから高級感ありますよ。」
マスター 「排気量は2Lですか?」
オーナー 「1.8Lです。三菱に1.6LのV6がありましたが、1.8LのV6はプレッソというクーペと同じですね。」「2LのV6だとMX-6というクーペやランティスと同じで力強いですが、1.8LでV6は希少ですよ。」
マスター 「・・・。(反応に困る)」
オーナー 「MX-6はRX-7と同じアンフィニのバッジとリアハッチに組み込まれたスポイラーがチャームポイントです。」
マスター 「なんだかお腹いっぱいになってきました・・・」
オーナー 「このホンダは5ドアのように見えてセダンなんですよ。」
マスター 「プレリュードみたいな顔ですね。」
オーナー 「カッコイイでしょう? アスコット・イノーバと言います。」
「英国版のアコードベースでサッシュレスのドアや6ライトとこれも当時のホンダ車では異質なスタイルが売りでしたが時代がセダンからワゴンやミニバンに志向が変わっていて不運な1台でした。」「このクルマのグレードはiとうベースグレードですが装備は一通りあります。」
マスター 「いっぱいおススメあるんですね。」
オーナー 「まだありますよ。」
マスター 「三菱ですか」
オーナー 「ランサーですが、ランエボが出る一つ前のモデルになります。」
「エテルナを探しているときに、このランサーが見つかりました。」「メーターが面白いんですよ。昼間は盤面がシルバーですがライトオンで青く光ります。カメレオンメーターと言うんです。」
マスター 「三菱らしいですね。」「あの、そろそろ帰らないと・・・」
オーナー 「5ドアでも極めつきの1台見てから帰ってください。」
マスター 「これはセダンですよね?!」
オーナー 「スーパーリッドというハッチバックなんです。ほら!」(ハッチバックの操作をしながら説明する)
マスター 「これダイハツなんですね。」
オーナー 「これこそが悲劇の名車アプローズです。」「火災騒ぎが無ければ・・・。」
マスター 「・・・。(火災?!)」
オーナー 「デビュー当時は、シーマに似ていると形容されたと記憶しています。」「アプローズはシャルマンというクルマの後継車で70年代から一気に90年代にアップデイトされて驚かせると共にとても意欲的な1台でした。」「控え目なデザインですがスタイリッシュな個性的ファミリーカーとしてダイハツの底力を感じさせるクルマでした。」
マスター 「ところで店名の縁とは、お客さんとの縁からきているのですか?」
オーナー 「違いますよ。」「エンスージアストのエンスーからです。」「ピッタリでしょう?」
マスター 「はい・・・。」(本物の変態(良い意味)だ!)
「今日は勉強になりました。」
オーナー 「また来てくださいね。」
~~~ 数か月後 ~~~
「ガレージ縁」は姿を消して空き地になっていました。
コロナ禍の影響なのか、そうなる運命だったかはわからないが、あれだけのマイナー車を一度に見たのは夢だったのかもしれません。
マスター 「うちもザフトラメインだから5ドアだな。」「うちはお客さんとの縁を大事にしたいな。」
大家さんの庭先にあるお稲荷様に手を合わせるマスター。
そんなマスターを見つめる近所の猫。
いつもの日常が早く戻ってきてほしいけど、まだまだ我慢が続きそうです。
カフェ959はコロナ対策をしながら絶賛営業中。
コロナ禍の影響で海外からの部品入手に時間がかかっています。外出禁止令で夜間操業ができない影響で納期も未定という状況です。
コンテナ不足による海運の混乱や空輸も減便や機材が小さいためにスペース不足によるオフロードが増えています。
今までの当たり前が難しくなっていますので、メンテナンスのご相談はお早めにしていただけると良いかもしれません。
Posted at 2021/01/11 02:16:42 | |
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