
以下は
さっきの続き。
同じ番組(クローズアップ現代)の中で、
「映画の投資ファンドでは、リスクの少なさを数字で投資家に示す研究を重ねてきました。そして新しいソフトを開発しました。
監督や主演、脚本のテーマなど、100を越える項目を入力。投資の対象となる映画が、どれだけヒットするか予測するものです。
過去の作品データで試したところ、ヒットしない作品の的中率は7割。
さらに精度を上げ、一人でも多くの投資家を獲得したいと考えています」
という予想ソフトが出ました。
画像がそれで、人名欄には
ボカシが入りまくっているのが見えます。(判読できちゃいますけど)
まあ結構理論的なやつですが、正直なところ、
「まだ作ってなかったのか」と思いました。
少なくともハリウッドでは、
ロケ電卓やシナリオプロセッサーの変形(後述)ですでに作っているでしょう。
例によってまたアルファシステムの話をすると、同サイト内にある
GAME-DOJOにて、
「改良不可能理論」とそれを突破する
「ハイパーステージ理論」の課題があったことを思い出します。
どんな課題だったか、改良不可能理論から引用してみましょう。
(引用開始)
ゲーム構築 課題 (単位1) (10月22日)
ゲーム構築 課題 (単位1)
改良不可能理論
ケーススタディ
(1)
前作よりゲームが面白くなかったり、売上が悪かったりすることがある。
師範説明
ここから先は今までのゲーム構築、マーケティングの常識を覆すものである。
まず、前作の成功を受けて続編を作る際に、わざわざゲームを売れないように作ったり、前より面白くないように作ろうとする間抜け、あるいはアホはいない。
が、現実問題ではこのような例はまま、ある。
なぜそうなるのか。
それはゲームの構成要素が"複雑"であるために起こる。
ゲームの面白さや売上と言うのは膨大な要素の組み合わせで成立する。
しかも、この要素というのはゲームそのものの中身だけで決定するわけではない。そのゲームが出現した社会的状況や、ユーザーマインド、ライバルの出来、天候、ハードウェアの売れ行き、同時期の他の娯楽、マンガ、アニメ、など、あげていけばキリがない要素の組み合わせとしてゲームの価値(面白さと売上)は確定する。
実際ではゲームそのものの出来というものは、その全体の一部にしかすぎない。
ゆえに、その一部の一部である末節をいじったからといって、絶対に面白くなったり、することはないし、売上が伸びるわけでもない。
良く、ゲームの評論家がてきとーなことを後付けでこじつけているが、実際問題で評論家が指摘する"部分"が売上の主因になったり、失敗の主因になったりすることは、その構成要素数から見て、絶対にありえない。
これは、例えて言えばプロ野球の解説者みたいなものである。
いずれも元プロであり、素人よりよほど内情に通じ、もっともな解説者が出す未来予想は、だからといって優勝予想があたるわけではない。(素人とほとんどかわらない正解率である) これは、プロ野球と言うその実体が解説者の把握、構築できる範囲を大きく越えているところからはじまる。
ゲーム構築の第一歩はその現実を理解するところである。
設問
(下記を解いて掲示板にUPせよ。カンニング、討議、可。三人までのチームをつくっても良い。解答に対する採点のみをDOJOは行う。)
Q1 要素とはなにか? またここでいう要素とは?
Q2 ゲームそのものの出来というものはその全体の一部にしか過ぎないとは、具体的にどういうことなのか。
Q3 ゲームの評論家が指摘する"部分"とは、いったいどういうことか。
Q4 要素が多いとなぜ改良がうまくいくとは限らないのか
Q5 改良だけでなく、新たに構築する企画でも、このことはありえるのだろうか。
Q6 所感をのべよ。
(引用終了)
というもの。
次にハイパーステージ理論。(むしろこっちが大事)
(引用開始)
ゲーム構築 課題(2) (単位1) (11月02日)
ゲーム構築 課題(2) (単位1)
改良不可能理論に対する挑戦
ケーススタディ
(1)
アルファ・システムのゲームはクソゲーの比率が低い。
また、売り上げ予想の誤差は10%を切る。
師範説明
1994年当時、アルファ・システム入社2年目の芝村が改良不可能理論を完成させ、それまで主力として存在した社内の企画組を不要物として排除したあたりから、社内では改良不可能理論を突破するアプローチが大々的に行われた。
連続成功理論構築計画。プロジェクトチェイン。
会社を安定させるためには、質の高い製品を連続的に作り上げる必要があったためである。
「それが不可能であることが分かれば、不可能ではない」
この掛け声のもと、改良不可能理論をひっくり返す理論構築が行われた。
95年初頭にはこの理論はほぼ成立し、主要プロジェクトのほぼ全てにその考えが反映されることになる。この理論を"ハイパーステージ理論"と言う。
すなわち勘やセンスのゲームから、理論と計算のゲームへの変換である。
アルファはそれまでのセンス至上主義の企画者を完全排除し、企画"技術者"として再教育をおこなうことになった。
設問
(下記を解いて掲示板にUPせよ。カンニング、討議、可。三人までのチームをつくっても良い。解答に対する採点のみをDOJOは行う。)
Q1 ハイパーステージ理論の内容を推察せよ。
Q2 なぜプランナーではなく、企画"技術者"(プランニングエンジニア)としたのか。推察した理論から推定せよ。
Q3 所感をのべよ。
(引用終了)
このハイパーステージ理論にもとづいて開発されたのはリンダキューブ(PC-エンジン版、1995年10月13日発売)の頃からだそうですが、それにしても興味深いです。(ちなみにDOJOの設立当初から“プランナー”の育成ではなく、“プランニングエンジニア”を育成をする主旨が述べられていた)
ハイパーステージ理論の名称の意味と由来は、(長文につき引用)
(引用開始)
ゲームが形成する衝力形成場を、ステージと仮定します。
社内資料での正式名称は市場系内の衝力場です。
ゲームはこの場の大きさによって近似的に売り上げを決めます。
これは
GRP≒売り上げ、あるいは話題性≒売り上げという統計的資料を元にしています。
市場系内の衝力場は、通常全体に対して相対的に小さいために売り上げが他の動きに左右されて
コロコロかわります。
系内の比率が小さいために、場の中でがんばっても全体に及ぶ影響は少ないのです。
言い方を変えれば、何らかの対策を行って系内の衝力場を拡大させることが出来れば、
それが十分であった場合、他からの影響は少なくなり、安定します。
この十分条件である拡大の規模を安定臨界点、シバムラ半径と呼び、これを越えたものを
市場系内の安定場と呼びます。 ハイパーステージというのは、まあ、このDOJO用の名前ですね。 シバムラ半径を越える衝力場を形成し、安定場とする概念というより、
ステージを拡大し、ハイパーステージ状態にする方法、という名前が分かりやすいと思います。
(実際の場は位相をもったスピンで記述されます。また、市場系は二次元でない半端次元で記述されます)
(引用終了)
で、
シバムラ半径というタームから判断するに、おそらく
量子論または量子力学から応用したと考えられます。
何となく、
管野ひろゆきが『YU-NO』で行った理論構築(事象のシュバルツシルト半径に捕らえられると、どのような回避行動も無意味というアレ)を思い出しました。(ちなみに師範は
中学生の時からブルーバックスを読んで、適当に描いたグラフ、ネコの動きなど、見えるものすべてを数式化していたそうで、実際、DOJOにもグラフ化の課題も出ていた)
話を冒頭の映画に戻すと、映画が個人投資ファンドを使う状況(
スパイラル状態)になったのは、この
連続成功理論構築計画のような数学的な骨組み無しにやってきたからではないかと思います。(アルファ風に言うと、
「勘とセンスに頼った」というやつだ)
現代の価値観(と萌えポインツ)が多様化する中で、ヒットする案を
考えるのは難しいとは思うものの、これも師範の言葉を借りれば、
「目が見えなくても的にあてるにはどうしたらいい?」
という問いに集約される。
当時は小室直樹の『超常識の方法』を読んでいたためパッと答えが閃いたものでしたが、答えからいうと…
的をね、大きくすればいいんですよ。
どこに投げてもあたるぐらいに。
というわけで、「ガンパレード・マーチ」をその視点から見ると、それこそ戦闘から恋愛(特に
BLから百合を含むカップリングができちゃうのが凄かった)まで、極めて自由度が高いのが特徴です。(
CONTINUEは分かりやすかったな)
これに匹敵する自由度のあるゲームといえば
「ようこそシネマハウスへ」くらいしかやったことありません。
ガンパレ開発中の書き込みにあった、
(引用開始)
”G”。
それはおそらく、アルファ・システム最後のプレイステーション・ゲームである。
有効プレイタイム250時間以上保証。
10時間1プレイで25回以上は確実に面白く遊べる性能と、
過去人類が生み出したゲームの中でもっとも多彩な戦術を再現可能なゲームである。
高々度な思考系を有し、使う人と見る人によってそのシステムを可変する。
よってジャンルはRPGでも戦術SLGでもあり、また恋愛SLGであり、
またその全てではない。
使い手が、プレイヤーの特性を最大限引き出す形で、システムが変形する。
その複雑さと斬新さと変形性故に、使い手を選ぶが、一度離陸できれば、
かならずアルファの意地と誇りをユーザーの心に叩き込むであろうことを期待して
設計された。
(引用終了)
からも、
「目が見えなくても的にあてるにはどうしたらいい?」ということを念頭に入れていたことが分かります。(だからあのヒットがあった)
番組はこの後、韓国の映画事情(新作映画のほぼ全てが投資ファンドによるというもの。ケーススタディとして「オールド・ボーイ」が出ていた)を紹介していましたが、NHKはひとつ大事なことを流し忘れたと思います。
ご存知の方も多いであろう、
「スクリーン・クオーター制度」です。
スマステーションでキレイに纏まっていますが、ピックアップすると
年間上映日数の40%に相当する146日以上、国産映画を上映することを映画館に義務づけたものです。
というと大したことなさそうですけど、実際は映画館一館あたりの上映ラインナップの内、少なくとも数本は自国映画なんてことになるわけで、ある意味
強制的に見させれる(≒ヒットさせる)システムになっています。(そして
「韓国NO.1ヒット!!」として外国すべからく
日本に売りつけると)
つまり韓国映画の躍進というのは、
ものすごい規制と保護によって成り立ってるわけです。
何年か前のNHKスペシャルでやったDRAMの開発に関する事でも、韓国や台湾では
国家予算から補助金を出して安いDRAMを生産し、世界シェアの大半を独占した話や、アメリカで新しいコンピューターチップを作る時は、
軍事費から開発予算が下りるなんて話に近いものがあります。
こうなると、
市場原理が働か(け)ないというか、(本来資本主義の長所であるはずの)
競争(とそこからくる淘汰)自体が無効化されているという状態で、多分これが兵頭二十八が言う、
対抗不能性だと解釈しています。(この場合は予算規模でのそれ)
いくら日本企業の技術力と開発力が優れているとはいえ、国家規模で攻勢かけられたら手も足も出ません。
以前に
、「民営化してはいけない分野」(郵貯とか)や
「競争させてはいけない分野」(NHKとか)をちらっと書きましたけど、その理由はこれでして、
NHKと民放が競争すればいい番組ができるか?といえば、そんなことは全然無いわけで、NHKが視聴率目当てで
ロンドンハーツや水10!のような番組を作っちゃいけないですし、逆に
民放がクラシック音楽番組や毎時間(ゴールデンタイム含む)にニュース番組を流すか? ということもいえます。(木曜の「コメディーお江戸でござる」が世界遺産の番組に変わったのはいい傾向)
まして郵便局が民営化すればサービスがよくなる云々は、向こうのファンドに郵貯を食い荒らされる結果になるのが目に見えるようです。(公共事業のムダを無くすのが目的なら、
官僚をスターリンよろしく“粛清”すればいいだけの話だろうに)
郵政民営化といえば、ニュージーランドの例が言及されますが、
もしかの国の郵貯と簡保が300兆円あったらどういうプロセスを踏んだことでしょう。
ま、要は
採算や利益が見込めなくても国レベルでの保護の必要性があるのは結構存在するということで、
急にアニメの話に飛ぶとこれがまた
酷い状況。
ネット版 アニメレポートに
生々しい証言と資料がそろってますが、同時期に見た
板野一郎のインタビューもこれまた
凄まじい。
BSアニメ夜話で北久保弘之がガンダム時代の給料を岡田斗司夫に聞かれた時も、
岡田「そのときいくらくらいもらってたんですか?(笑)」
北久保「えーと…一枚描いて…税金引かれて……108円(笑)。」
乾「えー!」(一同爆笑)
岡田「何枚くらい描けてたんですか?」
北久保「えぇー…始めた最初のひと月は…16枚くらい」
一同「うわぁ~」
岡田「じゃあもう一日1800円ぐらいで…」
北久保「いえいえいえいえ、
月給が1800円くらい」
岡田「えっ! すごい…。アニメーター貧乏伝説がまた1ページ(笑)」
とまあこんな感じで、アニメでは今のところ、
技術面での対抗不能性はあるものの、予算面においては
お寒いどころか絶対零度の悲惨さで、イノセンスの公開時に制作関係者が様々なメディア(
SAPIOにすら載ってた)にてアニメ製作の窮状を訴えていましたけど、このままだと将来的に
アメリカか韓国あたりに食われるんじゃないかとすら思える内容。(これはゲームにも言えること)
長々~と書き散らしましたけど、これからのコンテンツ産業はヒットする(させる)ためのちゃんとした理論を構築して、政府は潰れる金融機関に公的資金投入したり、
ガキ子どもに
地域振興券をバラまくくらいなら国家レベルでこの産業を保護するようにしてください。
かつて
統制経済に失敗してアメリカに負けたことをお忘れなく。
注:ロケ電卓やシナリオプロセッサーは
『東大オタキングゼミ』第4章・映画にあるもの。
(引用開始)
あと、ロケ電卓。こういうのが世の中にはあるんですよ。すごい単純な仕掛けだから日本でも売ればいいんですけども、何かっていうとですね、シナリオが上がったら、どこでロケするかっていうのをインプットする電卓なんです。で、世界地図を出して、このシーンはカナダでロケしようとか、ここはオーストラリアでロケしようとか、プップッと入れると、どこからどこまで移動するのに何時間かかるかとか、何日に撮影終了したらバスがこの便がここまで出てるからこの日はOKだとか、スケジュール計算ができるんです。あと大事なのは、各国の時差とか、日照時間が書いてあるわけです。季節ごとに、何時何分に日の出があって、何時何分に日の入があるか。すごい重要ですよね。ロケっていうのをするときには太陽の光がなかったらできませんから。そういうデータが全部入ってるわけです。だからシナリオができたらすぐにこのロケ電卓にインプットしていけば、ほぼその映画のスケジュール計画、製作予算が把握できちゃうわけです。
じゃあ日本ではどうかというと、シナリオができたらですね、俳優さんのスケジュールをおさえるというのをまず先にするわけです。その後で、全員そろって神社に行って、ロケ中は晴れますようにと祈るわけです。この差はすごいですよね。
それから、シナリオプロセッサーというのがあります。これはワープロソフトみたいなやつなんですけど、「主人公は男で、何歳で、黒人」とか、そういうデータを入れていって、「アクションもの」とかマウスで選んでおくと、シナリオの土台ができちゃうんです。で、その上にドラマっていうのを組んでいけばいい。そんなやり方でシナリオができるのかって聞かれると思いますけど、後で説明しますけど、実はシナリオってそのやり方で作ってるんです。日本でもそのやり方で作ってるんです。でも、そこまでですね、みんなドライに考えられないわけです。これを使うとシナリオ完成から準備までの工程管理がすごく容易です。
(引用終了)
Posted at 2005/07/05 23:10:33 | |
トラックバック(0) |
テレビ番組所感 | 音楽/映画/テレビ