2025年11月10日
個人向けの防犯カメラは最近売れ行き好調ですが、自治体の補助金を活用した法人
向けの売れ行きも好調だと思います。倉敷市でも今年久しぶりに補助金による防犯
カメラ設置の補助金が決まり、申請が好調だったので市の追加予算で増額される
ことも決定しました。
倉敷市の場合補助金の条件で新設する防犯カメラを増やしたいという意図が明確で
既存設備の更新は対象外でした。あくまで新設の防犯カメラが対象でした。
で、最近になって報道された防犯カメラ映像が第三者にも簡単に確認できる状態で
海外からも自由に見れてしまうという問題が明らかになってます。対象には保育園や
幼稚園など、プライバシーの配慮が必要であるはずの防犯カメラでさえ、設定の
関係で意図しない対象から丸見えだったことが問題視されています。
少なくともこの手の業界にいた人間としては、この問題は依頼する条件、いわゆる
要求仕様で明確に業者に対して開示範囲を明示的に指示できていなかったり、環境に
必要なID/パスワードの条件を提示せずに業者任せにしていたツケが回ってしまった
だけのように思えます。
防犯カメラだけでもないですが、価格勝負をすると多くの製品で中国製が含まれると
思います。そこも含めて業者に指示しない限り、提示された予算から業者が中国製を
提案対象にすることは当たり前で、セキュリティに関する要件も丸投げしてしまって
いるのが現実なのだと思います。小規模な設置団体では専任者がいることも稀だと
思いますが、トリガータイプではなく常時録画の防犯カメラだと設定によっては
文字通り24時間丸見えになってしまう可能性があるので、業者任せにはせず、
要件レベルで個人情報流出を防ぐための知識は必須だと思います。
これは予算ありきで話をする業者を責めることもできないのですが、こういった
リスクがあるという意識を持った業者を選ばないと取り返しがつかない結果に
なることは明白です。昔ロシアでメジャーだったサイトで海外の防犯カメラ映像が
視聴可能だったことが問題視されましたが、その時点で日本の防犯カメラは多くの
流出を確認されました。こういった事例を知ったうえで提案する業者が少ないことも
問題です。まして発注側がなんの前提知識もなく依頼すれば、結果として防ぎようが
無い問題につながると思います。
日本企業はなぜかセキュリティリスクを考慮したメーカー提案も拒否する傾向が
あり、予算が高額だと言ってその関連費用を削ることが多いと思いますが、その結果
アサヒビールやアクスルなどの障害を招いてしまったのではないでしょうか?
完全なセキュリティリスクを見越した提案も難しいですが、それでも調整次第で
最低限の担保できる構成にすることは難しくないと思えます。
中国製製品を使うとなればそれはセキュリティ上のリスクを負うのだと説明しない
業者が悪いのか、何も考えず費用だけで判断する発注元が悪いのか分かりませんが、
結果的に24時間丸見えになってしまった場合の責任分担位は確認して契約すべきですね。
業者から言えば要求仕様にない限りそうなっても責任は取らないし、発注元が
契約にない責任まで追求することも出来ないでしょう。
こうなってしまうと被害を被るのは映像記録対象のプライバシーってことになるので
困った問題だとは思いますが法的に責任追及することも難しいと思います。
高市首相がルーターの危険性で、TP-LINKを名指しで指摘したそうですが、この
勢いで何が危険でどんなリスクが有るのか、広く周知されることを望みます。
最も第三者に丸見えになった原因は、メーカーだけでなくパスワード等の運用に
問題があったことも分かってるので、選定メーカーに依らないことも明白です。
要はどんな要望を出て依頼先を決めるか、っていうだけの問題かも知れません。
この問題は日本で報道される内容で軽視されがちな中国の国家情報法の影響も
見直すべき対象だと思えますね。知らなかった、では済まされませんよ。
Posted at 2025/11/10 23:39:03 | |
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