毎日新聞の記事なんですが、驚くほど基本的な事実が抜けているのでここで補足
しておきます。ほとんど意味はないとは思うのですが。
東京博善は確かに創業100年を超える企業ではありますが、資本から見れば全くと
言っていいほど異なる体質になっています。起業時は僧侶の方が中心となっており
宗教的な精神に基づく運営が必要だという見解から、そうそうたる方々が社長や役員
を歴任されてきた長い歴史を持つだけでなく、宗教的・社会的使命の立場に立った
運営が続いていました。いわば都民の見方だったわけです。
ところが、平成4年に広済堂が東京博善の筆頭株主になった頃から変化していきます。
広済堂は本来印刷業を本業とする企業でしたが、令和2年にコア事業にエンディング
事業を加えることを発表し、令和4年からは「火葬事業」に加え「葬儀事業」に
乗り出すことを発表しています。火葬場の無煙化と言った取り組みは見られますが
もともと23区内でもその立地自体が他の競合他社と比べると圧倒的優位にあり、
そこが火葬だけでなく葬儀も手掛けることは異例とも言うべきビジネス展開でした。
そして料金も民間なので自由に設定ができます。公営火葬場と比べて高いのは補助が
無いため仕方ない点も有るかと思いますが、葬儀までワンストップで手掛けるとなると
少々意味合いも変わってきます。利用者からは棺桶は選ぶことも出来ず公営火葬場と
比べると圧倒的に高かった、とか、通常の火葬で棺桶に入れることの出来るものさえ
一切認められなかった、と言った苦情も多く寄せられています。
前置きが長くなりましたが、一番問題なのは毎日新聞の記事では、この広済堂と
いう企業が中国資本であることに一切触れてない点です。そして記事にあるように
23区内の都民が割安で利用できる「区民葬儀制度(区民葬)」の取り扱いすら
来年3月末でやめてしまいます。23区内で圧倒的シェアをもっているだけに、その
影響は相当大きいと思います。生活保護受給者向けの特別料金は継続されるそう
ですが、同社の成り立ちから得られる立地条件を考慮すると、火葬場という本来
公共性の高い施設の経営として許されるものではないと考えます。
中華系企業には、その創業時の宗教的・社会的使命などといった崇高な思想など
関係ないものでしょうが、「奉仕の心だけでは」という記事の見出しといい、一体
どれだけ偏っているのでしょう?
広済堂は旧廣済堂であり、創業者は怪しげな人脈が有名であり、中国が土葬文化
から火葬文化に変化した頃から日本の火葬技術に高い興味を示したこと、一時は
廣済堂の筆頭株主に麻生さんが登場していたこと(現在の比率は1割程度)など
利権の匂いしかしません。かろうじて僧侶や創業時からの法人などが株を保持
していますが、今後どの様な展開になるのか、民間企業だからといって放置も
良くないと思いますね。ちなみに日本の火葬場は97%が公営です。
Posted at 2025/11/15 14:41:55 | |
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