【リンク:AUTO CAR 新型パルサー・レビュー】
経営危機からルノー傘下に入り、開発途中の主力車アルメーラをお蔵入りにして、
小型SUV・キャシュカイという新ジャンルに賭けた在りし日の日産。
背水の陣たるその大勝負は成功し、
SUVの日産として欧州市場で一定の地位を得るまでになった。
エクストレイル・キャシュカイ+2・ジュークとその戦略は規模を増し、
ついに正統派Cセグハッチを復活させるまでに至ったのである。
開発・生産共に欧州で行われる新型パルサー。
これだけでも在りし日のアルメーラを思い起こさせるストーリー。
しかし!
ほろりと涙している余裕なんぞ、ごま塩ほども無いのだ!
王者ゴルフを筆頭に、フォーカス・メガーヌ・308等錚々たる面々と戦わなければならない。
熟成されつくしたこのクラスのセオリー、目新しさを出すのは至難の技。
そこで日産が選んだ方法は、
キャシュカイのブランドイメージを使うというもの。
デザインを見ればキャシュカイとの関連性が一目でわかる。
ファミリーフェイスながら、金太郎飴にならないよう差別化も出来ている。
このあたり、中々上手くこしらえたなと感心したのである。
無論見かけだけでなく、中身も欧州で戦うためにふさわしい代物。
エンジンは1.2Lガソリンターボと1.5Lディーゼルターボ。
ま、このあたりはルノーのお手柄なんだろうけど・・・。
エクストラとしてジュークでおなじみ1.6Lガソリンターボも追加予定とのこと。
さらに化物ハッチ・NISMOでメガーヌやシビックRを迎え撃つという。
キャシュカイ・エクストレイルから採用されたCMFなる手法。
VWのMQBと同じく、プラットフォームを細分化し、車種ごとに組み合わせるというもの。
【リンク:日産自動車・日産CMF】
流行の電子デバイスや安全装備もてんこ盛り。
そしてもう一押し。
ノートが欧州市場で評価された「スペースユーティリティ」である。
日本車お得意の車内の広さで差別化しようという算段だ。
走りだのブランド性だのではライバルと勝負にならない。
無論そこから逃げるわけでなく、違うアプローチで迫ろうということ。
いかつい見た目と欧州好みの走りでガチンコ勝負のマツダとはまた違う戦法。
市井のカーマニアがどちらを支持するかなんて火を見るより明らだけど。
まぁ、そのマツダもアクセラを見れば「ゴルフよりちと大きいでっせ」という、
同じような商売の香りがほのかに漂ってくるのではあるが。
とはいっても、キャシュカイやエクストレイルの『走り』は一定の評価を得ている。
つまり、新型パルサーも基準値を下回るようなことは無い、はず。
・・・なんだけど、AUTO CAR のインプレッションを見る限りちょーっと旗色が悪い。
在りし日の日本車が言われ続けたこの言葉。
「面白みが無い」
レクサスNXのレビューでも似たような事が書かれていた。
【リンク:AUTO CAR・NX・レビュー】
おそらく快適・イージードライブ志向に振ったのだろう。
評価は違えど、キャシュカイのドライブフィールも「正確で素直」という方向性だ。
ステアリング他、各操作類も軽いとの評価だった。
【リンク:AUTO CAR・キャシュカイ・レビュー】
【リンク:AUTO CAR・エクストレイル・レビュー】
日産はゴルフやフォーカスよりヒュンダイi30・キア・シード等を仮想敵と考えている。
価格もゴルフより20万ほど安いそうなので、ガチンコ勝負、とは言えないだろう。
日本車らしい=悪なのか?そこを個性ととらえれば、光りもするのではなかろうか?
欧州だろうが北米だろうが、全ての人間がダイレクトでシャープな、
カミソリのごとき車を欲している訳では無いはず。
日本のカーメディアはどうにもそう思っていないようではあるが。
見た目がよく、中が広く、エンジンマナーが良く、クセが無い。
それが新型パルサーが選んだ、実にパルサーらしい武器なのである。
この新型パルサーが発表された当初、まー予想通り
「こんなのパルサーじゃねぇ!!」という声。
その人たちのパルサー像がN13ミラノなのか、RNN14GTi-Rなのか知らないが、
これほどパルサーらしい車をつかまえて何を言う?と。
デビュー当初から欧州風味のベーシックコンパクトとして発展してきたパルサー。
その現代解釈として、新型パルサーに微塵もおかしいところは見当たらない。
パワートレインからして活発に走ってくれそうな所も含めて。
ま、いくらあーだーこーだ言っても日本には来ないんですけどね・・・。
【補足】
・・・誤解の無い様に書いておくけれど、マツダの戦い方も好きですよ?
デザインは日本車らしくない”超”正統派だし、ラインナップも同じくソレ。
欧州勢のダウンサイジングとは一線を画すスカイアクティブ。
後ろを振り返らない昨今の鬼神のごとき攻勢は見ていて清々しい。
けど、ソレが正義、というわけでも何でもなくて、
戦い方には色々あって、だから面白いんじゃない?という話。
なーんか車趣味の世界って○○至高論みたいな偏りがある気がするんだよね・・・。
Posted at 2014/09/07 00:16:27 | |
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