2011年10月18日
突然、ふと思い出した。
昔のスピードマインド誌での記述。
「腰を固定するスポーツはモータースポーツしかない」
「あらゆるスポーツで腰の使い方が重要なのに」
そんな内容だった。
たしか、ドライビングポジションの記事の中の記述だったと思う。
確かにその通りだ。
4P、5P、6Pのフルハーネスで、腰を2Pでがっちりとバケットシートに押し付ける。
ゴルフや野球やテニスは腰を回してスイングする。
サッカーやバスケ等の走るスポーツも腰の強さが重要だろう。
しかし、モータースポーツで腰を使っていないかというと、結構使っている。
クラッチを踏む、ブレーキをしっかりと踏み正確にコントロールする、ステアリングを回すといった動作は腰が基本になり、腰をしっかりと固定することで、前後左右に大きなGの掛かる四肢を正確に動かせるようにし、正確で力強い操作をすることが出来る。
決して安全上の理由だけではない。
加えて、スラローム競技では自分でタイヤ交換することも多いし、完熟歩行でアップダウンのあるコースを限られた時間で歩かねばならない。
完熟歩行では「歩く」ことは目的ではなく、如何に多くの情報を取り、正確な判断をするかが目的であり、歩くこと自体で疲れていたのでは話にならない。
ジムカーナでは2本目の完熟歩行の必要性には疑問があるが、ダートラでは非常に重要であり、完熟歩行の質とそこから導き出す判断が勝負を分ける。
また、走行直前までタイヤ選択で悩み、直前にタイヤを替えたからといって体力を消耗していたのでは勝負にならない。
やはり、強い腰が必要だ。
長く続けるためにも、足腰を鍛えねば。
Posted at 2011/10/18 23:34:53 | |
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モータースポーツ | 日記
2011年10月17日
同乗が難しいもうひとつは、フィジカル面の個人差。
同乗した人とされた人の体を動かす精度差やセンサーの感度差を考慮しなければならない。
極論すれば、普通の人間がどれだけ走る練習してもカール・ルイスやウサイン・ボルトにはなれない。
ただ、モータースポーツは通常のスポーツとは違い、結果への寄与率は道具(車)の占める割合が多く、タイムが出るメカニズムも複雑なため、フィジカル面の差がそのまま結果には現れる訳ではなく、希望は十分にある。
例えば、ブレーキのコントロール能力が高く、限界のブレーキが出来る人の真似を、能力の低い人がそのまま表面上の真似をすれば、ロックをしたり逆に足りなかったりでマネをする前より余計にタイムが落ちてしまう可能性もある。
また、上級者がすべての面で優れているわけではない。
ドライビング能力を細かく分解していくと、フィジカル面では、腕力や体力差に始まり、ステアリングやペダル類の操作の繊細さ、速度感覚、タイヤのグリップを掴む力、ロールやピッチングのセンシング、前後左右上下Gのセンシング、動体視力で路面の状況を瞬時に掴む力、等々たくさんある。
つまり、ステアリングを無段階に動かせるか段階的か、アクセルペダルは8段階で踏めるのか30段階で踏めるのか、どんな状況でもステアリングを回せる腕力があるか、といった事だ。
あまり知られていないところでは眼球の動きがある。たとえば右から左にゆっくり眼球を動かしているつもりでも、鏡で見ればカクカクと段階的に動いていることが分かる。また上下と左右でも使う筋肉が違うため、カクカクの動きが違いスムーズさに個人差がある。このスムーズさは、動体視力に差が出るようだ。
このようにプロアマ問わず、人それぞれ得意不得意があり、能力をダイヤグラムに現せば、真円に近い人やいびつな人、多角形の大きい人や小さい人、いろんな形になり、ドライビングの上手さとは、真円に近い大きな多角形を持っているか、または、それぞれの自分の能力をどれだけ引き出せているか、、、の差とも言える。
プロといえども万能ではなく、上手い運転をしているとは限らない。
当然、それぞれのドライバーの能力は均質ではない。
不得意な分野は、不得意をカバーする操作をしているか、あるいはタイムに直結しないため影響していないだけの場合もあると動画から推測できる。
もちろんタイムを出すための高度なコントロールはしているが、繊細なコントロールはできていなかったりする。
WRCやF1等の世界選手権では見ないが、国内選手権レベルであれば、おや?と思う運転はたまに見かける。
プロドライバーの最優先事項は、上手い運転をすることが仕事ではなくて、タイムを出すことが仕事であり、国内選手権レベルであれば、それでも通じるのだろう。
同乗をする際には、その人は上級者やプロだからが正解だとか、上手いから自分とは違うんだ、と短絡的に捉えずに、なぜそれでタイムが出るのか、よく考えたほうが良い。
また、人のマネをするだけでは、その人以上にはなれない。
マネが出来ること、出来ないことを選択し、自分にあったドライビングを組み立てねばならない。
人に負けている分野があっても、逆に勝っている分野もあればカバーできるかもしれない。
自分の体の特性を理解して、能力に合った運転を組み立てることが、非常に大事。
また、能力が高まれば、組み立ても変わってくる。
筋力や体を動かす繊細さは訓練により向上するし、加齢や普段の生活の変化により変化していくので、それも考慮しなければならない。
同乗から得られる情報は多く、言葉では分からない微妙な車の動かし方も体感でき、とても有益ではあるが、誤った方向にも導かれ易く、非常に難しい。
モータースポーツは「タイム」という絶対的で明確な結果が目に見えて、強大な力を持っているため、それに目を奪われていると、罠にはまり易い。
広範に正しい知識を持つことと、短絡的な判断をしないことが必要だ。
より正しい見識を持った人に出会うことも大事な要素かもしれない。
Posted at 2011/10/17 23:20:30 | |
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モータースポーツ | 日記
2011年10月14日
同乗が難しい理由は他にもある。
ひとつは車両特性だ。
車両特性とは、駆動方式、重量配分、トルク配分、サスペンション形式等の基本特性の違いによるもの。
それ以外にもタイヤ銘柄、タイヤ内圧、ダンパーの減衰特性、バネ定数等のセッティングの違いによるもの。
違いをあげれば項目は無数にある。
つまり、車両が違えば挙動や操作が変わり、車両が同じでもセッティングや状態の違いで操作が変わる。
当たり前のことだけれども、自分がインプレッサで、ランサーに横乗りした場合に、ランサーが上手く走っていたからといって、操作を真似してもあまり意味が無い。
また、有名なドライバーが自分と同じ車に乗っていて、あそこでブレーキを踏んで、あそこでこれだけ向きを変えて・・・、というのを自分の車にそのまま当てはめても、上手くいくことはまず無い。
超初心者と上級者ぐらいの差があれば、たまたま上手くいくことがあるかもしれないが、すぐに行き詰る。
ただそれでも、全く無駄というわけではない。
自分と違う車に乗っていても、その車の特性を知っていれば、補正が出来るからだ。
しかし、ランサーとインプレッサのトルク特性の違いやトルク配分の違い、トラクションの違い等から、どの操作が何の特性によるもので、自分の車ではどうすればよいかというのを補正するのは容易ではない。
自動車工学の知識と、いろんな車で全開走行した経験がないと、正しい推測は出来ない。
普通は自分でいろんな車に乗るわけには行かない。
なので、外からの車両観察に加えて、いろんな車に同乗をして、分かる範囲で車の状態や路面の状態を把握し、その上でドライバーの操作や車両挙動を注意深く観察することで、車両の基本特性を把握していくことが必要だ。
車両特性を把握したところで、やっと、ドライバーの操作からヒントを得ることが出来る。
ドライビング上達の道は容易ではない。
Posted at 2011/10/14 22:44:02 | |
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モータースポーツ | 日記
2011年10月13日
ダートラでもジムカーナでもサーキットでも、練習会や走行会ではたいてい同乗走行が出来る。
4点シートベルトが必要だったり、3点でも良かったり、グローブも必要だったり、誓約書を書いたり書かなかったり、安全への対応はバラバラだけど。
同乗される側にとっては、ブレーキは効かなくなるし、コーナリングスピードは遅くなるし、挙動や車の応答は変わるし、純粋なテストや練習にはならなくなる。
ランサーの場合は挙動が落ち着いて乗りやすくなる面もあるが。
同乗する側の目的は、ただの興味本位であることもあるけれど、たいていは上手い人の操作やコントロールを見たいという目的で、それ以外にも自分より速い車でスピード感覚を磨きたい、車両セッティングの推測のため車両挙動を見たいといった目的、或いは初心者への指導もあるだろう。
初中級者らしき人に同乗を申し込まれると、むげに断れず、ほとんどの場合は乗せてしまう。
しかし、自分に同乗した人、或いは誰かの同乗をした人と話をすると、その人が乗ったことによる影響を考慮せずに、見たままの運転で、ああすれば良かったんだとか、挙動がどうだとか判断をする人がいる。
それが中・上級者やエンジニアであったりすると、がっくりとする。
乗員が一人増えれば、重量は増え、重量バランスは変わり、ブレーキ、加速、コーナリングすべてに影響し、それらに対応して操作が変わるのは当たり前のことなのだけれど。
つまり、同乗して見たドライビングはそのドライバー本来のドライビングではない。
それ以外にも油脂類の種類やメンテナンス状況、タイヤの磨耗状況、路面状況の変化、あらゆるパラメーターがあり、それらを総合した車両挙動や応答があり、さらにそれにに対応した操作をしており、同乗から何かを「正確に」判断するというのは、けっこうな競技運転経験や自動車工学や車体構造の知識やら高度な知識が必要で、さらにドライバーがいま何を目的に運転しているのかという推測も必要だ。
それは、セッティングなのか、新しいショックのテストなのか、練習なのか、ただ楽しんでいるのか、シーズンはじめで慣熟しているのか、結構いろいろだ。
自分が誰かにアドバイスをする場合も、それらを考慮して、発言をしなければならず、結構気を使っている。
ただ、だからといって、同乗が無駄というわけではない。
まずは見たことを受け入れ、理論的な考証をし、自分で試して、正しいかどうかを判断して、自分に取り込めば、効率的な上達方法となる。
同乗させてもらったドライバーとコミュニケーションをとり、情報を取ることも良い判断の助けとなる。
見たそのままを受け入れてはいけない。
Posted at 2011/10/13 21:25:38 | |
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モータースポーツ | 日記
2011年10月11日
軽耐久でのひとコマ。
ゴールの1時間ほど前に左ドライブシャフトが破損。
LSDなしのため、自走が出来ず、牽引されてこの場所まで移動。
コース内には修復のために一人だけ入場が許される。
うちのチームはチーフメカニックが作業を行った。
その作業者もヘルメットの装着が義務付けられる。
リジッドラックの使用義務は無く、コース内での作業でもあり、コースのアウト側で、危ないようにも見えるが、軽耐久のコースの中では事故が少なく、エスケープゾーンも広く、走行ラインからも遠い、比較的安全な場所。
作業はプロだし、車重も軽いし、オフィシャルも近くにいるし、まあ万が一落ちても軽症かな?などと他人事なので、楽観的に撮影。
ヘルメットを装着しての作業は効率が悪いし、とにかく暑そう。
10分ほどで、無事に作業が完了して、一安心。
この後はゴールまでトラブル無く走行しました。
しかし、トラブルが多くて「がんばろう!日本!」なんて、人の応援をしてる場合じゃなかったな。。。
Posted at 2011/10/11 22:21:04 | |
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モータースポーツ | 日記