自作 気体圧力測定キット  

CDの細かい圧縮調整にコンプレッションゲージが欲しいと考えていましたが、どれも高価だったので同等の機能のものをどうにか自作できないかと思い立ち、製作に挑戦しました。

設計と部品選定に際し、以下の要件を満たすよう心掛けました。
・汎用部品だけで組み立てられること
・極力シンプルな構造であること
・部品加工は最小限とすること

当初はコンプレッションゲージとしての運用だけを想定していましたが、測定流体は基本的に空気なのでタイヤの空気圧も測定できるようにしてしまえと、ゲージとアダプターの部分をカプラーで交換できるようにしました。
シンプルに、というコンセプトからは外れますが、結局のところアダプターの部分はプラグに合わせて交換せねばならないのでゲージも同じだろう、という事で。（適当）

組み立ても順調に終わり、無事に完成したかのように思えましたが結果は失敗、想定よりはるかに低い圧力しか表示されませんでした。
そこで初めて、コンプレッションゲージには通常のエアゲージにはない特殊な機構が必要な事に気づきました。
基本的な設計として、流体の逆流を防止しつつ、燃焼室の圧縮圧力と等圧になるまでゲージ内に蓄圧する機構を作る必要があります。
ここで重要だったのが、燃焼室〜チェックバルブ間の容積でした。
プラグアダプター先端とチェックバルブとの距離が開くほど、また流路径が広いほど余分な容積が増えます。
すなわち、燃焼室容積が増大したのと同じことになり、正確な測定を阻害します。

この問題に対処するため、アダプターの設計変更を迫られました。
チェックバルブをプラグアダプターの直近に設置すること、これは必須条件です。
しかし、それで流路の容積がゼロになるわけではなく、根本的な問題は依然として解決せず。
そこで思いついたのが、流路内に容積と同等の体積を持つ物体を設置する事でした。
ステン製のリベットを加工し、流路の容積をきっかり満たすサイズにした上でアダプター内部に仕込みました。
本来はかなり精度良く加工する必要があると思いますが、あくまで比較用の簡易的なものになるので、水による体積の測定を行って良しとしました。
先端部の突出もある程度は許容されるため、それを逆手に取った形です。
目論見は成功し、コンプレッションゲージとして実用できるものになった…と思います。

なお、圧縮調整を終えたCDのエンジンでは1.5MPa近辺を示し、かなりのハイコンプに仕上がっている事が分かりました。
タイヤエアゲージとして使用しても正確な値を示しており、パージ用のバルブを設けたおかげで空気圧の微調整も楽にできるようになりました。
部品の仕様上は非圧縮流体にも使用できる可能性はありますが、油圧計として使用する勇気はありません…


余計な出費があったことと、素人加工のクオリティに留まっているため相応の☆で…