2005年08月05日
タコ獲り名人
中学の頃、地元のおばちゃん達にそう呼ばれていました。遊びながらタコを獲っては持ち帰り夕食に。
大きな湾の出口は対岸まで50メートルほどの狭い水道になっていて、満ち干きの時など渦が巻くほどの急流になります。湾に出入りする漁船もここを通るのですが、潮の流れに乗った船は音もなくすーーーっと進み、逆進する船は音はすれどほとんど進まない、不思議な情景でした。
この水道、深さが5~10メートルくらいの砂地なのですが、湾の内外を行き交う魚の通り道でもあります。したがってその小魚を狙ったタコも集まってくるわけです。
タコは海底の砂地に深さ50~100センチ、直径15センチくらいの穴を掘ります。そして何の目的かわかりませんが、海底に落ちている貝殻を集めてきて穴の周囲に綺麗に並べてデコレーションします。当のタコはそのデコレーションの真ん中、穴の入り口にちょっと身体を乗り出しようにして待ち構えているんです。
私たちは海面を泳ぎながらその巣穴、もしくは海底に沈んでいるドラム缶やそういったものの下に潜むタコを探すのですが、「いかに目ざとく見つけることが出来るか」がタコ獲りが上手いかどうかの分かれ目だったのです。
それを見つけるや、素潜りで捕まえるわけです。みんなは手製の”カギ”を使っていました。小さな木のグリップに長さ50センチくらいの細い金属の棒を付け、先を尖らして少しだけ手前に曲げ戻したものです。確かに引っ掛けて捕まえるのには便利なんですが片手が塞がるわけです。なので私は手掴みで捕まえるようにしました。
タコを見つけると、早い潮の流れと深さを計算して上流から潜るわけです。目的の位置の1メートルくらい手前で海底につければ上々。計算を誤るととんでもないところに行きますから、そしたら再び急流を泳ぎ戻らなくてはいけません。
そして海底を這って目的のタコをむんずと捕まえます。失敗するとすぐ深い穴の中に逃げちゃいますからそれでアウト!奴らも死活問題。8本の手を使って身体に吸い付きます。その中央にはとがった口もあって、これにかまれると皮膚がえぐれる感じになって痛いんですよ。
もちろん手や身体に吸い付きますから自由には泳げません。ここで無理に泳ごうとすると溺れたり不必要に疲れたりするんですね。一度海面に上がって息を吸うと再度海中に。そして”仕上げ”。
タコの頭って一部が開いたドーム状になっていますよね。その開いた所に指を差込んでドームを裏返しにするんです。内側に内蔵がついてますからむしり取るんです。そうすると直ぐに〆ることが出来ます。そして腰につけている金属の輪っかに頭を通して、タコを何匹もひらひらさせながら次の獲物を探す、そんなあんばいですね。
タコって軟体動物でしょう?海底沿いに私が近づくとね、目のところだけがにょろ~~~って延びて観察するんですよ。ちょうど潜水艦の潜望鏡みたいに。便利に出来てますよ。
そうそう、一度海面に上がったら目の前に小さな漁船が走ってきていて轢かれる寸前だった事もありました。小さいながらも漁船のスクリューに巻き込まれると一巻の終わりですからね。急速潜行しましたよ。
今年の夏も真っ黒に焼けた新しいタコ獲り名人が活躍しているのかな。
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五島・やんちゃ期 | 日記
Posted at
2005/08/05 11:45:04
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