
五島は海流のせいも有って温暖で、植生的には照葉樹林帯に入ります。野山は松や椎や椿および植林された杉が多く、秋になっても野山が紅葉する事はほとんどありません。栗やドングリの木が多少黄色くなるくらいかな。
最近まで”それ”については気が付いていませんでした。数年前、私の運転する車の車窓から秋の関越を眺めていた母が「山が紅葉するのを初めて見たよ。綺麗だね」と感慨深そうに言っていたのでその時に改めて気が付きました。
で、五島。昔から椿油の産地として有名でした。野山の椿は植林されたものが大半かもしれませんが、自生の藪椿も多く近くの裏山で新種も発見されました(画像:たまのうら)。
私が小学に上がる前は近所の縁側や家の前にゴザを敷いて集めた椿の実を干す風景が良く見られました。その光景も徐々に減り、今では実を採る人も居なくなって椿は山の彩りになってしまいました。
椿の木、幹の高さは2~3メートルそこそこですが、豊富な枝を四方に張り、葉はその末端にのみつけます。外から見ると直系4~5メートル位の緑の球体なんですが、中は枝だけの”空洞”になっているんです。
私たちはそこに目をつけました「基地に最適!」。
人里から30分くらい登った裏山に手ごろな椿の木を見つけました。週末や放課後、手ごろな板や釘、鋸などを持ち込んでは”空洞”の中にそれらを取り付け、椅子やベッドやブランコ、さらには枝を可動・固定できるようにして窓など作ったのです。
独りになりたい時とか良くそこに行って、背中の痛いベッドでうつらうつらしていました。枝の間からもれてくる木漏れ日がちらちら顔に落ちて気持ちいいんですよ。中は風も防げて暖かかったし。花の頃ならメジロやウグイスも遊びに来てましたから良い子守唄でした。喉が渇けば椿の花の蜜を鳥と取り合いしていました。美味しいんですよね、あの蜜。
基地がひとつ出来ると仲間を二手に分けて近くの木にも同じような”基地”を作りました。で、戦争ごっこ。
2月にもなれば花が咲いていますが、その前の時期ならつぼみ、後なら実が枝の先にたわわに付いています。それらをむしっては敵の基地や窓から顔を出した者に投げつけるのです。つぼみはまだしも、実は痛いんですよ。硬いですからね~。
手近に”武器”がなくなると枝から枝を伝いながら侵略。地面に足を付けちゃダメなんです。椿の枝はしなりが有ってわりと強いんですよね。近くに背の高い椎の木があったらそれを回り込んで真上から突入したり・・・
今となってはどの時点で終了だったのかは覚えていませんが、楽しかったですよ。身体中、いつも傷だらけでしたけどね。
あの椿の秘密基地、どうなったんだろう。
Posted at 2005/03/24 10:57:45 | |
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五島・やんちゃ期 | 日記