【祝】ボーナスで足回りをイジる許可が下りた
ダメ元でも言ってみるもんですねぇ。
それとも,最近私が疲れているように見えて気を遣ったんだろうか。
(見えるどころか現実に高熱で死んでましたがね)
まぁ……うちの財務大臣は基本的にクルマいじりを否定しない人なんですけどね。
流石にウン万円使うとなるとそれなりの説明はいりますが。
ともかく,折角安くない金を払う許可を頂いたわけですので,
各社からのA05A向けのラインナップを理論的に検証し選択してみた。
というわけで,今回はその選択の過程を紹介してみましょう。
・よく分かる(多分)バネレートの選び方講座
さて,単刀直入に行こう。
皆さんはバネレートを云々する際,
固有振動数という用語を聞いたことがあるだろうか。
あるいは足回り交換の際にこの概念をもってスプリングを選んだことがあるだろうか。
今回こんな記事を書いてはいるが,実のところ私もこの概念を使うのは今回が初めてである。
FTOの時はただなんとなくCUSCOを選び,ぶっ壊れたのでとりあえず純正に戻した。
純正に戻す際にダンパーの方は少々考察をしたが,スプリングは何も考えなかった。
しかし,この固有振動数という概念,スプリング選びの上で避けて通れない重要なものなのだ。
一応クルマ関係なく,人生で一度もこの単語を聞いたことのない人のために簡単に説明しよう。
固有振動数というのは,その構造体がもっとも激しく共振する振動数のことである。
……といってもピンと来ないだろうから例を出そう。
よく「世界の衝撃映像」などと題したテレビ番組で取り上げられているが,
風通しのいい谷にかかる吊橋がグワングワン揺れ,終いには落ちる映像を見たことがあるだろう。
(え,ない? しょうがないので適当にググるかヤフるかしてきてください)
あるいは,とある高層ビルが地震も風も起きてないのに崩れそうなくらい揺れたと思ったら,
ビルの中でやっていたエアロビクスが原因だった,なんて話も聞いたことがあるだろう。
(え,ない? しょうがないので適当にg(ry)
1つ目の例では,谷に吹く風と,橋の上を通るクルマによる振動,
2つ目の例では,エアロビのある特定リズムでのステップ,
それら振動の周波数が,建造物の固有振動数と一致してしまうとこのような現象を起こすのだ。
(余談だが,近代建築ではこの固有振動数が可能な限り高周波になるよう設計している)
この固有振動数というものは,弾性をもつ構造体であれば基本的についてまわるものであり,
スプリングというザ・弾性体を用いた構造であるサスペンションでは特に重要となる。
固有振動数の大小は,その系の振動のしやすさ・しにくさと言い換えてもいい。
固有振動数の数字が大きいほど共振しにくく,小規模の振動では動揺しにくい。
このことは,サスペンションについていえば,数字が大きいほど,
・乗り心地が硬い(悪いかどうかは別)
・操作に対する応答がシャープ
・姿勢変化がしにくい
ということになる(多少正確さを欠いていることは覚悟の上)。
固有振動数という概念のもとでサスペンションを評価することの有効性は,
そのバネが車両に対してどの程度硬いのか,用途に対してどの程度マッチングしているのか,
バネレートの数字の大小に惑わされず,異なる車種同士で一般化して考えられることだ。
仮にバネレートが共に5kのストラット式サスペンションであっても,
軸のバネ上重量が400kgのクルマにつけるか,800kgのクルマにつけるかで,
乗り心地に天と地の差があるのはなんとなく理解できるだろう。
それを数値的に示すことが出来るというわけだ。
まぁ,小難しい話はこのくらいにして,実践に移ることにしよう。
またまた余談だが、以前私の大学の教授がこんなことを言っていた。
「理論式を覚える必要はない。そういう理論があることを覚えておけばいい」
「必要に迫られた時,その理論が思い出せればいい。あとはググれ(←ググれとは言ってないけど)」
つまり,以下の式が覚えられなくても,このページをブックマークしておけば無問題ってことですな(違
一般的な固有振動数の式はここでは省略することにして,サスペンションに限定すると,

という関係式が成り立つことが分かっている。
必要な情報は,前後それぞれのバネ上重量とバネレートのみだ。
ここでいうバネレートは,いわゆるホイールレートであることに注意して欲しい。

図のようなサスペンション形式の場合,ホイールの上下動に伴う荷重変化=ホイールレートは,
スプリングそのもののバネレートに対し,アーム比(Ls/Lt)の二乗をかけたものになる。
ストラットであればアーム比は基本的に1.0だが,その他形式では考慮が必要だ。
単軸バネ上重量というのは,各タイヤ1本にかかっているバネ上重量のことだ。
フロントサスなら前軸バネ上重量の,リアサスなら後軸バネ上重量を2で割ればいい。
この計算を前後それぞれについて行い,前後の固有振動数を求める。
こうして,フロント・リアの固有振動数,そして固有振動数の前後バランスを得ることが出来る。
固有振動数は,クルマの使用用途に対して概ね以下のようになっている(諸説あります)。
・1.0~1.5Hz :一般乗用車(乗り心地重視の高級サルーンだと1.1Hzぐらい)
・1.5~2.0Hz :スポーティカーの類(ストリートスポーツ,ワインディング仕様と言われるあたり)
・2.0~2.5Hz :市販のピュアスポーツカー,サーキットを視野に入れたチューンド
・2.5Hz以上 :スリックを履くレーシングカー
スプリングを交換する際に考えるべき数値その1は,
上表のどのあたりに自分のクルマを持ってきたいか,そのためのバネレートはどの程度か。
それを算出した上でダウンサスなり車高調なりの当たりづけをするべきである。
続けて考えるべきは,固有振動数の前後のバランスである。
この辺は好みやドライビングスタイル,また駆動方式によって一概に言えない部分もあるが,
基本的には前後の固有振動数に大きな差が出ないように注意すべきである。
現実的には困難だが,前後の固有振動数が同じになるようにセッティングをしてやると,
ダンバーがヘナヘナでもスプリングの相互作用でそこそこ収まる足になるとも言われる。
(出展うろ覚え,ただ前後を揃えるのは基本的に良化傾向だそうです)
また,基準はなんでもいいのだが,あるセッティングから前を上げるか後ろを上げるかで,
コーナー進入時や脱出時のアンダー・オーバー傾向を調整することが出来る。
とはいえ,私も細かくは理解していないし,市販品を使うならあまり気にすることでもないので,
ショップにオーダーメイドする時にでも相談材料として提示するくらいの考えでいいだろう。
とまぁ,基本的にはこのような理論のもとで,今回サスペンションを選んでみた。
みたんだけど……。
ひとまず,現在の車両仕様と私の体重を元に純正サスの固有振動数を計算してみた。
ちなみに,リアサスのアーム比は大体の実測で1.09で計算。
結果,
FR :2.2k 1.435Hz
RR :1.8k 1.605Hz
FR/RR :89.4%
想像していたよりしっかりしていることが判明。
やはり問題はダンパーか,ダンパーなのか……。
まぁでも,ロールが大きめでひっくり返りかけたのは事実だし,決意は固く持とう。
で,同様にA05A用アフターパーツを一挙に計算してみた。
①COLTSPEED(可変レートのため最大値で計算)
FR :2.65k 1.57Hz
RR :2.1k 1.73Hz
FR/RR :90.8%
②RS-R
FR :2.7k 1.59Hz
RR :2.24k 1.79Hz
FR/RR :88.8%
③エスペリア
FR :2.9k 1.645Hz
RR :2.1k 1.73Hz
FR/RR :95.1%
④TEIN HiTECH
FR :2.5k 1.53Hz
RR :2.1k 1.73Hz
FR/RR :88.4%
⑤LARGUS
FR :4.0k 1.93Hz
RR :2.5k 1.89Hz
FR/RR :102.1%
⑥TEIN車高調
FR :3.0k 1.675Hz
RR :2.1k 1.73Hz
FR/RR :96.8%
⑦Z.S.S Rigel
FR :4.5k 2.05Hz
RR :3.2k 2.14Hz
FR/RR :95.8%
バネレート自体は,ダウンサス勢は大体同レベルで綺麗に揃っている。
車高調ではTEIN以外はかなりスポーツ寄りに振られていることが分かる。
前後バランスについては,車高調勢が全体的に良好で,ダウンサスではエスペリアが最良。
LARGUSだけがFRの方が硬めというのも興味深いところ。
とはいえどれもFRの比率が純正よりも高めという点では概ね共通しているようだ。
基本的にダウンサスの場合はKYBのNew SRと組み合わせることを考えているのだが,
それだとどのスプリングを選んでも本体価格は10万を超えてきてしまう。
それでいて,マッチングに不安を抱えるというなんとも言いがたいチョイス。
New SRが純正に対しどのくらい減衰強化されてるのか,数値的なものが出てこないからねぇ。
ということを考え始めて,ダウンサスから選ぶことは割と早々に中断し,
車高調の3本を比較……もとい,流通が不安定かつ情報も少ないことからZ.S.Sもドロップ。
や,見てる限り悪くはなさそうなんだけど,どうしても得体が知れないから不安でしょうがない。
そんなわけで,LARGUSとTEINで最終コンペ中。
スーパーオートバックスに任せようと考えているので,店員さんと相談して決めようか。
といいつつ,実は気持ちは若干TEIN寄り。
LARGUSに比べ色々ついてない割に値段がそんなに変わらないわけだが,
自分の要求スペックに対して行き過ぎ感がないのが逆に気に入った。
スペックだけを追いかけて我慢を強いられるのは御免だ。
まずバネレート,やはりLARGUSはちょっとレート高過ぎな印象。
基本ストリート時々ジムカーナ位だったら,TEINくらいのレートでも十分だしねぇ。
てかLARGUS,将来子どもの首が座んなくなっても困るし。
次に減衰調整,あったらあったでいいけどなくても困らん,てかFTOで困らなかった。
あとLARGUSの減衰調整ってたまにダイヤルがイカれるという噂を聞いたので……。
可動部がある分,信頼性ってのは基本的に落ちていくもんだからね。
最後に,身も蓋もないことを言うが,全長調整式ってのも別に必要を感じない。
だってFTOの時に車高を変えたことなんか1回もないし。
TEINはネジ式で,気軽に車高を変えられるシロモノではないわけだが,
もうダウンサスとチューンドダンパーがセットでついてくるんだと考えれば何も問題なし。
多分LARGUSより機構が単純な分だけ重量も若干軽くなるだろう。
TEINの問題点を挙げるとするなら,アッパーマウント非付属のネジ式のくせに定価が高いこと,
あとは推奨車高の中間値が-45mmといささか下がりすぎなこと。
岡崎市に住んでると少し考える……商業施設の出入りの落差が無駄に激しいんだよな。
あとはメーカーHPが在庫残り2と煽ってくること……あ,LARGUSは受注生産だったか。
まぁ,まだ購入までは時間があるので,じっくり吟味して考えてみたいと思います。
周りのTEIN乗り・LARGUS乗りのクルマでも試乗してみるか。