2017年10月26日
CVTの価値を問うな
「CVTだからダメなんだ」と切り捨てるのは,浅はかな思考停止ではないかと思う。
よく言われるCVT批判その1。
CVTは車速とエンジン回転が一致しないから気持ち悪い……フムフム。
そんなことを言ったら,電気自動車や,ましてシリーズハイブリッドなんてどうなる。
風切り音やタイヤ音まで封じ込められていたって,そっちじゃ同じことを言わないだろう。
最近では,遮音のせいかCVTが市民権を得たのか,あまり聞かなくなってきた気がする。
よく言われるCVT批判その2。
アクセルペダルを踏むとエンジンが遅れて吹け上がるラグが嫌……なるほど。
踏んでも思った加速をしない。踏量に対してtoo muchなのかtoo littleなのかは車種それぞれだ。
あとは,逆に離しても減速しない方。酷いと離している最中に加速"感"を味わえるものもある。
要するに,アクセルペダル踏量と車両の加速度の不一致が不快感だということだ。
現象としては分かる。駄菓子菓子,である。
それ,本当にCVTのせいなのか?と考えたことがあるだろうか。
長くしすぎると誰も読まなくなるので,とっとと結論を書こう。
そういう場合,エンジンの方にだいたい問題がある。
その問題とは,トルクが細いこと,とりわけ低中速域が不当に痩せているパターンが多い。
ペダルのちょい足しに対してすら,スロットル開度だけでは応えられないくらい低速がひょろひょろ。
そんなエンジンとひっつけられて,それでもCVTが頑張った結果がこんな感じなのである。
回転数そのままでは力が出ないのならば,馬力が得られるところまで回転を上げるしかない。
とはいっても変速には時間がかかるから,結果遅れて加速するようなことになってしまうのだ。
CVT車のドライバビリティを,トランスミッションだけ捕まえて云々するのは空論だと思う。
エンジンとCVTを合わせてパワートレインとして扱うのが,本来あるべき考え方ではないか。
アクセル操作に対してリニアな加速をさせるには,エンジンもCVTも等しく頑張らなくてはいけない。
むしろ現状を基準に考えるなら,エンジンこそ頑張る必要があるといえる。
お受験対策で燃料をケチるんじゃない。低速からちゃんとトルクを出せと。
まずはエンジンの力だけで加速しようとし,それをCVTがこっそり補助する,くらいで全然構わない。
というより,有段だろうが無断だろうが,変速機というのはもともとそういうものではなかったか。
CVTだけ特別扱いして,魔法の道具か何かと勘違いして,酷使をしすぎなのだ。
その辺を間違えなければ,CVTにはもっと可能性がある。まだ終わりではない。
だが残念なのは,エンジンに関しては一廉の見識のあるマツダが,CVTを見限っていることだ。
例えば,SKYACTIV-XとCVTが組み合わさったら面白いんじゃないか,と思う。
まぁ,伝達効率の話を引き合いに出されるとぐうの音も出ないのだが。
ともあれ,多段ATやAMTが成長してきても,CVTがそんなすぐに終わることもないだろう。
今のままのパーなドライバビリティを引っ張るか,一旗揚げにかかるか。
個人的事情から言えば,CVT車との付き合いもこの先長くなりそうなので,頑張りに期待。
そこで最後に,CVTの制御について,私がいつも思っていることをひとつ。
減速時制御に対するクレーム,と同時に提案だ。
アクセル緩めると高速側に寄っていく制御,なんとかならん?
緩やかに離していった時は,それでも構わないだろう。
ドライバーとしても定速走行に移ろうとしてそういう操作をするのだから,そこは意図通りだ。
だが,パッと離した時にまで同じことをされるのは非常に困る。
エンブレが効いて欲しいと思っているのに,減速度がガクンと目減りするのは恐怖でしかない。
ゆっくり抜くのとパッと抜くのでは,その後に期待する動きは全く違う。
そのぐらい分かって,変速を制御してくれないものか。どうなんだ,制御書いてるやつ。
私の要望は上に書いたそのままだ。
ゆっくり離したら変速比アップ&コースティング,パッと離したら変速比ステイ。
スポーツモードとかじゃなく,Dレンジの時点でこうなる制御にしてくれ。マジで。
そんなに難しいことじゃないだろう。MTを手本にしろと言っているだけなのだから。
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[解説・考察]メカニズムの話 | 日記
Posted at
2017/10/26 23:12:47
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