昨夜1時過ぎに実家より帰還。
とりあえず,三ヶ日JCTを設計した奴ちょっと来い。
ちゃんと頭使って作れっつんだよ。
合流がアレでいいと本当に思ってんのか。
ともかく。
2泊3日の帰省で溝の口とか武蔵小杉とか川崎駅とか行きはしたが,
特にコメントするほどのネタも写真もないのでなかったコトにする。
そもそも,この夏休みは基本的に家で本を読んで過ごすことにしている。
夏休み初日からドライブなどに出かけるモチベーションを喪失してそう決めた。
もともと本を読むことは好きだ。
学生時代には結構な額を,主として小説の類につぎ込んでいた。
ハードカバー・文庫・ライトノベル,ジャンルはあまり問わなかった。
あまつさえ物語を考えることも好きで,高校時代には物書きを志したこともあった。
高校の文化祭では友人と同人誌を出して好評をもらった……ようなそうでもないような。
その後,大学生の途中で憑き物が落ちたのか,文字にすることはパタリとやめた。
多分,中高と男子校に通い,恋愛のある学生生活というものに憧れがあったんだろう。
考えてみればそんなジャンルばかりを読み,書いていたような気がする。
読む方は変わらず好きだったが,社会人になって以降,小説を読むことはがっくりと少なくなり,
金が入用になってBOOKOFFに大量に売却してからしばらくは本当に本を買わなかった。
去年ぐらいからか,やはり紙に刷られた活字が読みたくなった。
ただ,その時の自分が求めたのはフィクションではなく,哲学だった。
論語,大学・中庸,孫子……それより前に武士道とか般若心経なんかも読んだか。
現状の自分の在り方に満足できず,その答えなりヒントなりを古の教えに乞うたのだろう。
その後,より直裁的でエネルギーのある言葉を求めて,松岡修造氏の本を買った。

今年の話,それも比較的最近だ。
「組織に属するってのは,自分の意思だけでは動けなくなるって事よ」と言い聞かせ始めた頃だ。
正直今でも言い聞かせているが,とりあえず読むと元気になれる気がするから助かる。
で,それらに加えて今読んでいるのが,メンタリストDaiGoの本。

無論,メンタリズムだけで仕事がうまくいくなら技術者は苦労しないわけだが。
今職場で悩んでいるのは技術的なことではないので,きっとそのうち何かの役に立つだろう。
そのうち何かの役に立つはずだったものが部屋のそこかしこに溢れてはいるが……。
まぁ,本自体は非常に面白い。心理学は好きだ。
で,そんな風な読書生活を送っている今日このごろの中で,
珍しくも読んだ小説がいくつかあるのでご紹介。
最初の物語は,買ったのは確か年始のさいたまスーパーアリーナでのライブ時だったか。
会場までの時間つぶしになるべくお金のかからない何かを探していて見つけたものだ。
魔法使いのハーブティー
特にイラストが気になったわけでも,裏表紙のあらすじに惹かれたわけでもなく。
パッと開いてみた1ページを流し読みして……そのままレジに持っていった。
過去の経験上,こういう選び方をした本はだいたい当たりだったが,この回もだった。
あらすじやなんかはここでは書かないことにする。
ただ読んでいると,それこそハーブティーでも飲んでいるようにほっとする。
そして,読み終わるとなんとなく優しい気持ちになれる,ような気がする。
万人にオススメできるかというと微妙(表紙画・平和な作風)だが,気になったら読んでみて欲しい。
などと宣伝をするまでもなく,初版から1年ちょっとで8版が出ているのだから評価されているんだろう。
なんとなくほっこりしたい人は読んでみるといいと思う。
ついでにハーブに関する知識もちょっとだけ増える。
つづいては,本当に買いたてほやほやの2冊。
夏休み初日に買った,シリーズ物の1巻と2巻なのだが。
階段島シリーズ
書店の注目コーナーのうち,柱の陰の一角にひっそりと並んでいた。
1分強のPVを流しながらの陳列がひっそりかはともかくとして。
これこそ本当にあらすじを書いたらまずいストーリーなので何も書かないが,
びっくりするぐらい自分好みのジャンルで,食事も忘れて読みふけってしまったほどだ。
まずセカイ系というジャンル――それも特に切迫していない,誰も不満を抱いていないセカイ――だ。
あまりヘビーな,人類が滅亡しそうみたいなセカイはあまり好きじゃない。
言おうと思えば不満を言えなくもないぐらいの広さと自由のセカイが読んでいて居心地がいい。
そして主人公の人物像。
ヘタレが成長しながら逆境に立ち向かっていく,というような人物像は読んでいて疲れる。
むしろ,クールでニヒルとか言われるような人格の狂言回しを主役に据えた方が落ち着く。
どこかセカイを達観していて,周りとは仲良くうまくやりつつも溶け込まないような。
周りよりも頭が良くて,事情通もしくは事情を見透かしているような。
分かりやすくいえば。
適度にちょっとした事件が起こるようによく管理された広い水槽に人間を住まわせて,
そこに紛れ込ませたエージェント(=主人公)に事態を回しつつも着々と解決させる,
そんな様子を主人公の頭上から眺めるような感じの作品がすき。
(多分,神林長平の……というか戦闘妖精雪風を読んだせいだと思っている)
この階段島シリーズはまさにそんな物語だ。
前提となるセカイ観の組み方が非常に緻密でよく出来ている。
しかも伏線の張り方も巧みで,そのことがセカイの「よく出来方」を際立たせている。
登場人物の「壊れ方」も反感を抱かない適度なレベルで,あまり詰まらず読めるところもいい。
感情はあるけどどことなく機械人形的な,でも結局は人間らしいといえばらしい,そんな感じ。
全体的に,キャラ付けのための特徴みたいなものはないのですんなり読める。
とりあえず,生理的に嫌いなキャラクターはいないところが個人的に好ポイント。
この作品の登場人物は,1名を除き,このセカイをどうにかしようとは考えない。
現状に概ね満足していて,その上で起こる大小のトラブルを各人の哲学のもとに解決しようと走り回る。
そして,そのベースとなるセカイは,確かに誰にも不満を与えず,それは今後も変わらないんだと思う。
作中の表現を借りれば「不幸ではないから幸福だと言い張れる」セカイ。
それは「戦争ではないから平和なんだと言い張れる」世界にどこか似ている。
そんな世界が,なんだか羨ましかった。
そんな作品だ。
上で書いた批評じみた戯言を読んで興味や関心を持たれた方。
まぁそうではない方もだが。
とりあえず1巻(いなくなれ、群青)だけでも読んでみてはいかがだろうか。
少なくとも損はしないと思う。
……さてと。
夏休みが終わるまでにこれも読まないと。
