2015年08月21日
免税じゃないとはいえ一応エコカーに乗っている身分ではありますが,
実を言うと燃費というものにそれほどこだわりも興味もないんですよね。
あえて燃費を意識する場面を挙げれば長距離高速移動の時くらいですが,
それとて「途中で給油が面倒くさい」という理由がほぼ全て。
距離的にどうせ無理だと思えば給油前提で燃費無視し始めますからね。
とはいえ,気にしていないわけではないんですよ。
ある時突然身に覚えもなく燃費が悪くなったら,故障の可能性もありますし。
あとはOBDの燃費数字と照らし合わせて計器の精度を確認するとか。
そういう用途のためには,一応給油の度に燃費は確認しています。
で,
その中で考えたのが今回のお題。
「もっとも効率のいい発進加速とはどのようなものか」
え? 結局燃費気にしてるじゃんって? 聞こえんなぁ。
……まさか,「ふんわりアクセル」なんてヨタを信じている人はいないと思いますが。
え? 信じて? え?
もはや関係各所で言われ続けていることですが,今日日ふんわりアクセルは間違いですからね。
交通社会の全体最適という視点から言えば,推奨どころかむしろ害悪ですよ。
まず1つ目の理由として,この頃のエンジンの制御技術の著しい向上。
ふんわりアクセルが本当に有効だったのは,それこそ燃料噴射をキャブでやっていた時代。
あとは,EFIと堂々と車体に書いて走っていた時代までがせいぜいでしょうか。
あの頃は,アクセル開度の2乗比例くらいで燃料消費が増えたとか増えないとか。
昨今のエンジンはもはや隅から隅まで電子制御の塊みたいなもので,
簡潔に言ってしまえば,ドライバーが踏んだアクセルの量に対してエンジンが
「あ~こんぐらいの加速っすね。じゃあスロットルはこのぐらい開いてカム位相は……」
と瞬時に判断して,勝手に色々最適化して動いてくれます。
要は,よっぽど床までアクセルを踏んづけたり雑なアクセル操作をしたりしない限り,
(CVT車で例えるなら)1500rpmで加速しようが3000rpmで加速しようが,
加速中の瞬間燃費はあまり差がないのです。
だったら,さっさと加速してさっさと巡航態勢に移った方が効率がいいんじゃないかって話。
加速している時より巡航中の方が瞬間燃費はいいに決まってますから。
これは,前のFTOの頃からうすうす感づいてはいたのですが,
A05Aに乗り換え,OBDで加速時の瞬間燃費をモニターして確認した次第です。
2つ目の理由として,上でチラッと言った「交通社会の全体最適」の件。
加速中の燃費はそれほど変わらないとは言いましたが,変わることは変わるんですよ。
まぁ微々たるもんですけど,発進を繰り返せば,塵も積もればってことです。
普通に走らせたらモード燃費に達しないことを考えればこれは理解できるでしょう。
このことからすると,ふんわりアクセルは確かに燃費を良くする効果はあるんですが,
問題は自車の燃料だけ節約できりゃいいのかって話。
交差点で待っているとしましょう。
先頭の奴が,青になってからのたくたのたくた発進をする。
その結果,あなたはその信号を突破できませんでした。後ろも同様です。
……どうです,こういう目にあったことはありませんか?
つまり,前の方の奴が自分の財布大事さに(あるいはエコロジスト気取って)チンタラ発進すると,
後ろの方の人は,そいつがさっさと行けば抜けられた信号でまた待つハメになるのです。
その結果,アイドリングで余計な燃料を燃やし排ガスを垂れ流すことになると。
おそらくそこで燃やされる燃料の総量は,ノロマが節約した燃料よりも間違いなく多いでしょう。
同じことは,中谷明彦氏(当該記事はもう見れませんが)や清水和夫氏も言っています。
どっちも武蔵工業大学出身ですね。ちなみに私もなんとか工業大学出身です。
どうでもいいですね。
3つ目の理由,一部車種のみではありますが,ふんわりアクセルが適さない車種がある。
それは,最近流行り(?)の副変速機付きCVTを搭載した車種。
具体的には最近のスズキ・日産・三菱のコンパクトや軽の多くが該当します。
副変速機付きCVTの機構・思想についての詳細は調べてもらうことにして。
これがなぜふんわりアクセルと相性が良くないのか。
副変速機付きCVTに乗ったことがある人でよく観察している人なら気づいたと思いますが,
このミッション,加速中に副変速機がローからハイに切り替わると「もたつく」んですよね。
この「もたつき」の間は,副変速機を切り替えるためトルコンのロックアップが外れる,
つまりものすごく伝達効率が悪いんですよ。ざっと効率は60%以下だったかな?
副変速機付きCVTでふんわりアクセルをすると何が良くないのかといえば,
加速している真っ最中に変速する確率が通常加速に比べ増えること。
これも実際に自分のクルマで試してみて確認済みですが,
60km/hまで,普通に2500~3000rpmぐらいで加速する時と,1500rpmぐらいで加速する時,
前者は速度到達してアクセルを戻すまで絶対に副変速機が切り替わらないのに対し,
後者はほぼ100%の確率で副変速機の切り替えが発生します。
その間は加速しないくせに燃料だけは食う,加速としてはただ無駄ですな。
まぁそんなこんななわけで,
ふんわりアクセルはやめましょう,やるだけ無駄です。
さて,じゃあ効率のいい発進加速って結局何よ?という話をしましょう。
ここでは発進加速だけでなく,巡航から減速し停車するまでを考えます。
また,一部説明で必要なので,AT・CVTを前提に説明します。
(その一部説明はMTには関係ないので,そう思って読んでください)
①発進
散々チンタラ加速をこき下ろしてきた手前で恐縮ですが,
動き始めだけはゆっくり丁寧にアクセルを操作しましょう。
なぜか。
今どきのAT・CVTには必ずトルコンのロックアップ機構が搭載されています。
トルコンの中で入力と出力を機械的に結合する機構ですね。
これにより,流体だけで伝達するのに比べて効率が格段に上がるのです。
で,出だしでラフにアクセルを踏むと,このロックアップがなかなか働かないんですよ。
……ミラージュだけ? 違うよね? 沖縄でスイフト乗ったけどどうだったかな?
とりあえずそういうことにしましょう。
ラフに踏んで,ロックアップが働かず,効率が悪いということは加速も悪い。
加速しないからとアクセルを踏み足す,するとますますロックアップできない。
見事な悪循環にハマります。
というわけで,動き始めからロックアップするまではアクセルを軽く踏む程度にしましょう。
車種と発進時の勾配にもよるけど,だいたい10km/hぐらいまで,1.5秒くらいかな。
多分意識していればロックアップは感じ取れると思います。
ちなみに,AT・CVTで説明した理由はここ。これだけ。
MTで半クラッチのままアクセル踏みこむ人はいないでしょ。
②加速
ロックアップを確認したら,アクセルを踏み足しましょう。
さすがに勢い良く踏みつけるのは論外ですが,常識の範囲内なら問題無いです。
意識としては,上の方で少し出ましたが,2500rpm~3000rpm上限ぐらいで加速していくように。
NAであればだいたいどのエンジンもこの辺りが効率がいいように思います。
MTもそのぐらい回してシフトアップした方が,スムーズさという点でもいいと思います,NA・ターボとも。
よく2000rpm未満でシフトアップする人がいますが,だいたいガクつきが酷いです。
ただ,ターボエンジンのAT・CVTだとこれは少し回し過ぎかも。
最大トルク発生回転の500~1000rpm手前くらいで加速するのがいいかと。
③巡航
巡航速度に近づいたらアクセルを大きく戻しましょう。
パッと離すんじゃありませんよ,戻すんですよ。
この速度で巡航するにはこのくらいの踏み具合,というところまで戻してください。
あとはその速度を維持して巡航するだけ。
まぁ,周りの流れもあるんでうまくいかないこともありますけどね。
④減速~停止
さて,ここからが一番難しいところ。
前方の信号が赤,重体の車列,エトセトラエトセトラ。
とにかく止まらなきゃいけない状況を前方に確認したとしましょう。
ここでまずは「自分は多分あの辺に停車するんだろうな」という位置をイメージします。
そして,その位置までアクセルを踏み直さずに惰性でたどり着くことが出来る距離に来たら,
アクセルを完全に離してエンジンブレーキでじわじわ減速を開始します。
(アクセルオフ中はフューエルカットされる,ということを知らない人はこれを期に覚えてください)
あとは,最終減速と停止をフットブレーキでやるだけ。
では何が難しいか。
まずは目測でしょうか。
多分あの辺,と距離の目算をつけるのはやはり練習がいります。
そして目算がついても,前走車の動きによっては必ず思い通りになりません,てか大体なりません。
「なんでそんな手前で止まんだよ。そして止まってからチョロチョロ前進すんなクソが」って感じ。
この対策としては,前との距離を少し広めに取ることでしょうかね。
自車が接近するまでに前走車が完全に停車してくれるぐらいに距離を取ればいいでしょう。
次に難しいのが後ろとの距離,および車速差。
惰性で飛ばすのは可能な限り遠くからやりたいところではありますが,
あまり無造作に減速を開始すると後続が詰まってしまいますからね。
意図と違う位置で減速させられるとストレスになりますし,ブレーキ操作も増えます。
そして更なる後続にブレーキが連鎖し,渋滞や事故の原因になると。
こればっかりは「ミラーで状況を見て」としか言えません。
距離と車速差を読み取り,このぐらいからなら文句はないだろうという距離から減速を開始。
詰まったと思ったら,諦めてアクセルを軽く踏んでください。
ちょっと踏むくらいならそんな大したロスにはなりませんので,お構いなく。
とまぁ,私の考える効率的な発進加速~停車のプロセスとしてはこんな感じ。
長くなったので簡潔にまとめると,
目標速度を決めてさっさとそこまで加速し,
定速巡航する距離をできるだけ長く取り,
停車するときはなるべく遠くからエンジンブレーキを使う。
そして後続の流れを乱すべからず。
はい,今回はここまで。
では。
Posted at 2015/08/22 01:50:49 | |
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