前回新型スイフトスポーツに関する話を書いたら,PV数がすんげぇ伸びてビックリです。
それだけファンが多いってことでしょう。みんな大好きスイフトスポーツ。
その勢いで,今度はベースであるスイフトの話でも……。
と,思ったんですが。
ちょっとした事情で,今回はタイトルの話を。
今度某所でこのことについて少々語ることになりまして。
ここでは下書きというか,原稿的なものを書かせてもらいます。
「ぜんぜんわからん」とか「違うよ!」みたいな感想をいただけると助かったり。
まずそもそも,排ガス規制ってなんのことでしょうか。
VWや三菱の問題で話には上ったものの,実はよく分からないって人もいるはず。
なので,細かい数値の問題は措いといて,何を規制しているのかを初めに解説。
排ガス規制とは,自動車のエンジンからの各種物質の排出量規制のことです。
色々な物質が含まれる中で,特に人体や環境に対して有害なものについて規制しています。
主な排出物質の種類と,それぞれの生成条件について,こんな感じで図にまとめてみました。

横軸が混合気中の燃料濃度,縦軸が燃焼温度。
各色分けは,それが発生しやすいエンジン型式を表しています(なんつー色使いだ)。
・CO2(二酸化炭素)
化石燃料を燃やしたら普通出るアレ。
・NOx(窒素酸化物)
空気中との窒素と酸素が高温高圧で勝手に反応してしまったもの。
・PM(粒子状物質)
燃料の燃え残りが固まってできた黒煙や煤。石原某が振ってたやつ。
・HC(炭化水素)
燃え残った燃料混合気。いわゆる生ガス。
・CO(一酸化炭素)
酸素不足で燃料を燃やした結果,不完全燃焼して発生するもの。
上記の各物質がどのようにして生成されるか,もう少し詳しく見てみましょう。
こちらは圧縮~燃焼工程におけるシリンダー内の模式図です。
ガソリンなんだかディーゼルなんだか分からん絵ですが,心の目で見てください((゚Д゚;

グラデーションは混合気の燃料濃度を表しています。直噴だとまさにこうなりがち。
基本的には真ん中ら辺のように,燃料と酸素が程よく混ざって燃えればCO2が出てきます。
しかし右下の方のように,燃料が薄いところではNOxが生成されてしまいます。
圧縮と燃焼熱で高温になった空気中で,燃料を待てなかった酸素が窒素と反応してしまうのです。
逆に左上~上の方は,特に直噴ガソリンやディーゼルで生じやすい,燃料が濃いポイント。
この辺りでは酸素不足によりPMやHCやCOら不完全燃焼ズが生成されます。
PMとHCは燃焼温度が低くてもできるので,低圧縮比や直噴による気化熱も発生原因となります。
この中で特に厄介なのが,ディーゼルにおけるNOxとPM。
簡単に言えば,圧縮比を上げれば温度が上がってNOxが,逆だとPMが出やすくなるのです。
この矛盾をシリンダー内だけで完全に解決した技術は,今のところありません。
どちらか一方を集中的に低減し,もう一方は後処理で始末するのが,現状の最適解なのです。
そしてここからは,減らしたり処理したりする技術の話。
とりあえず上流にあるものから順番に行きます。
排気再循環システム(EGR)
後処理でもあり前処理でもあり……。
EGRは排ガスの一部を回収し,それを吸気と混ぜて再びシリンダー内に流し込む技術です。
酸素をほぼ含まない排気が混ざることで,吸い込む空気の酸素濃度は大気より低下します。
こうすると何が嬉しいかというと,大きく2つ。
①燃焼温度が下がってNOxが発生しにくくなる。
②スロットルを開ける量が増えることで燃費が良くなってCO2が減る(ポンピングロス低減)。
ディーゼル車は主に前者,ガソリン車は主に後者を狙って装備しています。
ちなみにミラージュの場合,上位グレードはEGRつきですが,商用グレード(私のです)は未装備。
排ガスに晒され続けて壊れることもあるらしいので,信頼性のためっすかね。
三元触媒
後処理その1。
HCとCOとNOxが,貴金属触媒によって互いに酸化還元することで無害化します。
酸素が多かったり燃料が多かったり熱かったり寒かったりすると機能しない困ったちゃん。
まぁでも,ガソリン車には基本的についています。エンジン制御がちゃんとしてれば問題なし。
ディーゼルにはありません,排気の中は酸素だらけなので。
ディーゼル酸化触媒(DOC)
後処理その2。その名の通りディーゼル用。
HCとCOを排ガス中の酸素と反応させて,水と二酸化炭素に変換し無害化します。
が,そのレベルのもの単体では、規制の緩い(EURO2レベルの)地域でしか使われてません。
今はNOxも酸化できるものが主流。NOxをNO2にしたって無意味のようですが……?
ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)
後処理その3。その名の通り(ry
PMを捕まえ,溜まったところで何らかの形で燃やして処理します。
このDPF,基本的には(少なくともマツダと三菱のは)前述の酸化触媒が前段についています。
ここでNOxをNO2に変え,それをPMにぶつけてやると燃えるんだって。すごーい。
(……酸化触媒が機能する温度を確保するには,燃料を余計に噴く必要があるけどね)
日本やEURO5以降の欧州規制はこのシステムなくしてパスできません。
NOx吸蔵還元触媒(NSRC/NTC)
後処理その4。
ディーゼルや直噴ガソリンでも使えるようになった,三元触媒の上位互換(ちょっと違うか)。
NOxを捕まえてHCやCOと反応させて還元する……んじゃ三元触媒と同じじゃない?
HCやCOはリッチ燃焼で作るそうですが,DPF再生時についでにやるんでしょう,多分。
なお別Ver.として「集めたNOxから作ったアンモニアでNOxを還元する」謎システムが存在(ホンダ)。
尿素SCR
後処理その5。NTCに代わるもの。
尿素を加水分解すると出てくるアンモニアでNOxを処理する,今時のNOx処理のトレンド。
始動直後の低温からNOx処理できて,燃費も特に悪くならないというメリットが大きな魅力。
システムがアホみたいに場所を取るし,定期的に尿素水補充が必要だったりするけどね。
日本の2018年~規制や欧州のEURO6後期規制に向けて,日本車でも搭載が進んでいるとか。
……尿素積んでもEURO6前期規制でヒイコラ言ってた欧州メーカーは大丈夫なんかな?
今回の話に関係がありそうな技術装備は大体こんなところだと思います。
いい加減読んでる人も目眩がしてきただろうし,書いてる私も疲れてきたから,次で最後。
今後の
パリ協定を批准した地域の排ガス規制の動向について軽~く見ておきます。
ZEVだCAFEだは今回無視。
どうせパリ協定から脱退したあのデブが反故にすんだろ。
今現在施行されている排ガス規制値は,この表のとおりになっています。
(※ジェトロの2014年資料です)

日本は前述の通り2018年から,欧州は2017年から,これよりも厳しいものに変わります。
まず日本。
以前に
WLTCモードの話をしたかと思います。
今後は排ガス計測の方法も,燃費計測と同じくこのWLTCに切り替わります。
より実走行に近い条件下での計測となるため,特にディーゼル車が苦戦を強いられそうです。
というのも,VW事件の時に国産ディーゼル数台の排ガスを路上計測したことがありました。
その結果は,ほとんどの車種が基準値を上回る排出量であることが判明。
2018年からはこの状態の車種は売れないことになります(NOx規制値は若干緩くはなります)。
おそらく上で述べた技術を総動員するメーカーも出てくることでしょう。
(個人的には,CX-3,ディーゼルでも先取り試験してほしかったところ……ビビって止めた?)
そして欧州。
こちらも,EURO6後期規制より,実走行条件での計測が項目に加わる予定です。
基本的な状況は日本で述べたのと同じですね。キツさはだいたい一緒。
あとは,ガソリン車のPM排出規制が強化,というか規制方法が変更されるようです。
PMの重量ではなく個数を計るんだとさ,地道ぃ……などと茶化している場合ではなく。
あるいは,ダウンサイジング直噴ターボの衰退に繋がる可能性もあります。
DPFでどうにかなるレベルならいいんですが。
……ま,でも,今から欧州でエンジン車両を頑張ったって無駄な気もしますけどね。
「どうせ みんな でんきになる」
その電気はどこで何から作るつもりなんスかねぇ?(白目)
今回この記事書いて思ったけど,排ガス規制と浄化技術って意外と奥が深い。
奥が深いというか,色々な要素が複雑に絡み合いすぎて,調べてるだけで目が回ってくる。
正直,排ガス関係の仕事やってる人には敬意を表さざるをえない。
私はやりたくない。トレードオフの嵐で多分ムキーッてなる。
という感じで,とりあえず以上~。ふぃ~~。
最後までお付き合いいただいた方には感謝。お疲れさまでした。
さて,これを元に発表資料を作れるか……綺麗にまとまるかなぁ,不安ッスよ。