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2017年11月03日 イイね!

チープが理由で人は死なない



クルマの内装というのは実に厄介なものである。
実のところ,私自身は内装の質感なんてものには興味がない,もう心の底から。
が,だからこそ思うことがあったのでちょっと書いてみる。


今時のクルマにおいて,内装の受け持つ主たる役割は見た目の良し悪しだ。
かなり観念的で曖昧なものだと思うが,質感の高低という言葉で評価されることが多い。
さすがに内装の質感が高いというだけで買ってもらえるというものではない。
が,内装の印象がパッとしないから選択肢から落とされる,なんてのは普通にある事態だ。
ドアを開けて,ふ~んと軽く眺めて,バタン。あとは適当にお茶を濁しつつ気配を消して……。
販売員の声掛けがあれば乗ってもらえるかもしれないが,間に合わなければそれまでだ。

最近ではもっと深刻で,内装の質感次第では実車を見に来てすらもらえないことだってある。
数だけは無駄にあるネット記事には,ご丁寧に色々な角度からの内装の写真が載る。
多くの人は,わざわざ複数の媒体をクロスチェックはしない。たまたま見た記事の印象が全てだ。
よって内装は人の目だけでなく,カメラマンの腕やカメラの性能とも戦わないといけない。
俗に"いんすたばえ"とかいう類のやつだ。デザイン屋や内装屋は大変である。

「クルマの本質は走らせてどうかだろ」と思う向きには理解し難いかもしれないが,これが現実だ。
結局のところクルマは商品なわけであるから,まずは売れなければ話にならない。
売れるためには,来て見て乗ってみてもらわなければならないのは今の時代も基本同じだ。
だから作る側も,来て見て乗ってもらえるよう,見てくれには非常に気を遣って仕事をする。
合コンが第一印象勝負なのと同じだ。まぁ私は1回しか行ったことないが。


……と,いうところまではいいのだが,問題はここからだ。
いくら見た目が大事だからといって,本質的な部分のチェックを忘れているのではないか。
そう問いたくなるような,インダストリアルデザインとしては低レベルな内装が最近多い。
クルマは第一に工業製品であり,人が扱って動かす機械であることが蔑ろにされているように思う。

ステアリングやシートの本革なんかがイメージしやすいところだろうか。
耐久性などは改善されているのかもしれないが,やはりどうしようもなく熱くなるし,よく滑る。
コマンドーの時代から何年も言われ続けているのに,未だに直らない。
「高級感を出すには最低限本革でないと……」は分かるが,本分を押さえる努力はすべきだ。
持つに堪えないステアリングに,乗員を保持できないシート,でも見た目はいい。それでいいのか。

個人的にもっとも深刻だと思っているのがインパネだ。
最近のインパネデザインは,ドライバーの能力を試すかのごとく凝りに凝っている。
メーターパネルは,ぱっと見ただけでは把握しきれない量の情報を一挙に提供してくる。
センターパネルは,ボタンがごっちゃりorフルタッチパネル,ブラインド操作? 無理だよ。
パネル本体は,艶やかなソフト表皮に複雑な造形,フロントガラスに映るのは前景ではなく内装。
細かい模様やボタン配置までデザインされた内装,動かす前の見た目はさぞ素晴らしいだろう。
ガレージに駐めた状態で,ボタンひとつひとつを押してニマニマするならいいかもしれない。
だが,このインパネとともに,よく晴れた夏の日に長距離移動することを考えてみてほしい。
前方視界は不良,欲しい車両情報の在処も一見で分からず,空調操作ひとつで命がけだ。
この辺は正直,高価な外車の方が酷い。実用性チェックはしたのかと訊きたくなるものばかりだ。
モノによるが日本車はまだ良識的だ。操作系は比較的すっきりとロジカルに配置されている。
といっても,インフォテインメントを含めてしまうとどんぐりの背比べだが。


見た目などどうでもいいとは言わない。クルマが商品である以上,そこは避けて通れない。
だが,本来果すべき機能を蔑ろにしてまで追求するのは,それは間違っていると思う。
内装デザインは,最低でも安全を損なわないよう,可能なら安全を補強するべくなされるべきだ。
安全はパッシブ及びアクティブセーフティだけの持ち分ではないのだ。
ドライバーの視界や操作を妨げないこと。内装の大原則を思い出してほしい。

やりすぎてしまうメーカーも当然問題はあるが,それを喜々として求めるユーザーもユーザーだ。
本革やソフトパッドで覆われていないと死ぬのか。(車室内衝撃って概念はあるけど,さておき)
あんまり薄っぺらでガタガタ音がするなら別だが,見た目が安っぽいことで特に支障はなかろう。
上述のとおり,逆に奢った見た目のせいで人を轢いたりすることの方が可能性は高い。
このことは頭の片隅にでも置いといて損はないのではないか。


クルマは,置物でも絵画でも家具でもない。
人が乗って,人が操作して動かす,重くて速くて危険な機械だ。
その室内,とりわけ運転席周りはコックピットだと弁えてほしい。
メーカーも,ユーザーもだ。

普通に考えて,内装なんて運転中に見ない。見てはいけない。
ちゃんと運転していたら,内装の質感なんかよりもっと他のところを気にするはずだ。
運転中に存在や造形を意識してしまうような内装のクルマは,もうその時点で買うべきではない。
各種必要操作(空調とか)を目視しないと行えないとか,情報がごちゃってるとか,テカるとか。
こういう見方は試乗に行った時などに参考になるのではないかと思う。
プロボックスは本当によかった。クソみたいなエクリプスナビを除けば何も気にならなかった。
手前味噌だが,うちのミラージュの内装もその点は最高だ。見てくれは笑えないくらい酷いが……。
止まっている時の見た目もよく,それでいて運転の邪魔をしないなら,何も言うことはない。



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「ノーブレーキどころかフル加速で信号無視して側突はさすがに草も生えない。どこを見ていたというのか。」
何シテル?   08/28 21:29
人生うまく行かないことばかり。 エコカーで非エコ運動して鬱憤発散。 GANREFはじめました https://ganref.jp/m/h-kata_l...
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