
このL型6気筒の戦闘力強化のために打った手が、エンジンの軽量化とターボによる出力アップです。
エンジンの軽量化は1976年に日産自動車に入社した自分にとって初めての本格的な設計業務でした。シリンダーブロック、シリンダーヘッドの軽量化、クランクシャフトの細ピン化、ピストン、コンロッドの軽量化、カムタイミングや圧縮比変更によるエンジンの低速トルク向上など、当時L20Aの弱点であったエンジン重量軽量化と低速トルクの強化を徹底的に行ったのです。この結果エンジン重量は23kg軽量化し、2000rpmトルクは1kgm以上向上させたのです。この新生L20Aエンジンはまず新型ローレルC31に搭載され1980年11月に発表されました。
もう一つはターボ追加による出力性能向上です。1979年当時のL20AエンジンはEGI付きで130ps、17kgmの出力性能を得ていましたが、この数字はグロス出力で、マフラー、触媒、エアクリーナ、エアダクトなどを装着した車両搭載時の出力は15%程度低下しており、排気対策や安全強化で重くなった車体には役不足が否めませんでした。それがターボの装着により145ps/5600rpm、21kgm/3200rpmと当時の2.8lエンジン並の性能を手に入れることができたのです。(タイトル画像はL20ETエンジン)
当初の計画ではスカイラインやフェアレディZから導入を計画しておりましたが、当時の運輸省の行政指導という名の妨害により形式指定を受けることができず、一番スポーティというイメージからは遠い430セドリック/グロリアで燃費を向上できるという名目でやっと日の目を見ることができたのが1979年11月のことでした。1台通ってしまえば後は簡単で、1980年にはC210スカイライン(ジャパン)、1981年にはフェアレディZが殿(しんがり)でターボ搭載されました。フェアレディZにとっては当初の計画から遅れること2年以上のことでした。このターボ化されたL20ETエンジンも1981年に発表されたR30スカイライン搭載を機にECCS化、軽量化されたエンジンに置き換えられています。ターボエンジンのためL20Eほどは軽量化できませんでしたが、それでも11kg軽くなっています。
その4 終わり
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L型エンジン | クルマ
Posted at
2014/05/01 10:07:19