2011年12月16日
F1の新エンジン規定(2014年より実施)がFIAより発表されている。
従来の決定では2013年シーズンより4気筒の1.6lターボエンジン、最高回転速度12000rpmとされていたが、フェラーリチームなどからのクレームにより、以下のように変更されている。
V型6気筒 1.6l
最高回転速度15000rpm
筒内噴射、最大燃料供給圧力500bar
シングルターボ
吸気量制限
KARS 120kW
これほどがんじがらめの規定で、トップチーム間の技術力の差がない現在では、ほとんどワンメークレースのエンジンのようになりそうである。
F1の歴史は1950年にさかのぼる。当時は4500ccNAまたは1500ccターボであった。
その後、紆余曲折を経て、1966年の改定でNA3000cc以下/ターボ1500cc以下とされた。
この時代はコスワースエンジンが大勢で、他のエンジンはフェラーリやBRMの12気筒がある程度であった。1980年代になるとルノーがターボエンジンを持ち込み、過給技術や制御技術の進歩によりNA3lを超える性能を得ることに成功した。やがてTAGやホンダのターボエンジンが全盛を極めるようになり、ホンダエンジンが強すぎたこともあり、1987年シーズンからNAエンジンは3500ccに排気量が引き上げられ、ターボは積載燃料量やポップオフバルブによる過給圧制限をかけられた。しかしターボ優位は揺るがず、ついに1988年シーズンからはターボが禁止され、NAだけとなった。
その後、1995年からは排気量が3000ccに落とされ、2006年からは2400ccに下げられて最大気筒数もV8に制限された。しかしチームによる出力向上の努力は続けられて最高回転速度は20000rpmまで上昇している。
このようにしてみてくると、もともとは排気量しか制限されていなかったが、競争の激化に伴い、気筒数や過給、最高回転速度など次々と規制され、その規制をかいくぐって性能競争するということを繰り返してきたことがわかる。そしてその性能競争にも終止符を打つために2007年にはエンジン開発が凍結され、最高回転速度も18000rpm以下に制限された。
もともとF1というレースは最高の技術で作った車両を最高のドライバーにより争うトップカテゴリーのレースであったのだが、いつの間にか技術を競わせるのではなく、飽くなき技術競争を押さえ込むという規定に変わってきている。もちろん無制限に出力を上げていけば危険が限りなく増大することは想像できる。
しかし、気筒数、過給の有無、最高回転速度、吸入空気量まで制限するのが本当に技術を競うF1なのかというところでは疑問である。
むしろかつてのグループCカーで争われたルマン24hレースのように、使用する燃料量(=排出するCO2量)を規定するだけで、あとは自由というのがあるべき姿ではないだろうか。つまり最高の効率を得る手段を見つけたチームが勝つということである。まあ、ドライバーチャンピオンを争うF1なので最大排気量は制限があって良いとは思うが。
もっとも、どこかのチームが決定的に優位なパッケージを探し出せば、それが瞬く間に真似されてしまうのかもしれないが。
Posted at 2011/12/16 16:30:57 | |
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