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2011年05月20日

エンジン・オブ・ザ・イヤーに見る国産エンジン技術の衰退その1

エンジン・オブ・ザ・イヤーに見る国産エンジン技術の衰退その1 お久し振りです。
久し振りのブログ更新です。
で、今回は日本のエンジンの世界での立ち位置のお話です。
今回は、いつの間にか発表になっていた2011年版のエンジン・オブ・ザ・イヤーを見て、その率直な感想から話します。

日本のエンジン、正直やばいです。


久し振りの更新でいきなり後ろ向きな話ですいません(゚Д゚;)

エンジン・オブ・ザ・イヤーについては、その名の通り、エンジンの評価を決める世界大会みたいなもので、世界各国の評価委員が世界中のエンジンの出力性能や環境性能を判定し、順位を付けるというもの。
最初に開催された1999年から私も毎年チェックしているのですが、10年以上も長く見ていると、エンジンの世界的なトレンドの流れや各国メーカーの技術力の差が見えてきます。
我が日本製エンジンも2000年代の前半までは総合でも部門別でもトップクラスの評価を得ていました。
実際に1999年(トヨタ1SZエンジン)、2000年(ホンダハイブリッドIMA)、2003年(マツダREレネシス)、2004年(トヨタハイブリッドTHS-II)と4度の総合トップを受賞したほか、各部門でもレクサスのV8やスバルのボクサーターボ、ホンダのVTECエンジンが高い評価を受けていたんです。
まさに日本が自動車大国ドイツを技術で追い抜く、と誰もが思ったことでしょう。


ところが2000年代の後半に入ってくると、その勢いに陰りが出てきます。
2004年を最後に国産エンジンが総合トップにはなれず、それどころか、ランク入り(総合は8位、各部門は6位まで)さえできない状況にまで落ちぶれてしまっています。


どうしてそうなったのかはさておき、とりあえず今年の受賞エンジンを見てみましょう。

まずは大賞であるエンジン・オブ・ザ・イヤー部門から

1位 フィアット 875cc 2気筒ターボ (フィアット500) 372点
2位 フォルクスワーゲン 1.4L TSIツインチャージャー(VWポロ、ゴルフ、シロッコ、アウディA1等) 346点
3位 フェラーリ 4.5L V8 (458イタリア) 278点
4位 BMW 3L 直噴ツインターボ (BMW135i、Mクーペ、335i、 535i X3 35i、等) 275点
5位 アウディ 2.5L 5気筒ターボ (アウディTT RS等) 192点
6位 BMW M 4L V8 (M3) 159点
7位 BMW ディーゼルツインターボ (BMW123d、X1) 127点
8位 BMW 1.6L 4気筒ターボ (ミニクーパーS等) 126点

イタリアの老舗であるフィアットが初の総合トップを獲得しました。
画期的な2気筒ターボエンジンの実用化とマルチエアという高い技術の融合。
ダウンサイジングを極限まで極めたという点でトップ獲得は充分納得がいくものです。
こういうエンジンがなぜ日本から出てこないのか、、、ま、それはあとで述べましょう。


次に各部門賞を見ていきましょう。

・ベスト・ニュー・エンジン賞
1位. フィアット 875cc 2気筒ターボ (フィアット500) 352点
2位. 日産 電気式パワートレイン (日産リーフ) 161点
3位. フォード 1.6Lターボ (フォードフォーカス、C-Max、ボルボS60等) 154点
4位. BMW ディーゼル2L (BMW3 Eff. Dyn) 152点
5位. ポルシェ 3.6Lボクサーターボ (ポルシェGT2 RS) 111点
6位. マクラーレン 3.8L V8 (マクラーレンMP4-12C) 110点

日産リーフの電気モーターが2位に入る健闘を見せています。
しかし、内燃機関では国産エンジンは1台も選ばれず。
そもそも日本はここ数年ずっと新型エンジンが少ないんですよね。



・グリーン・エンジン賞
1位. フィアット 875cc 2気筒ターボ (フィアット500) 258点
2位. トヨタ 1.8Lガソリンハイブリッド (トヨタプリウス等) 204点
3位. 日産 電気式パワートレイン (日産リーフ) 185点
4位. フォルクスワーゲン 1.4L TSIツインチャージャー (VWポロ、ゴルフ、シロッコ、アウディA1等) 184点
5位. 三菱 電気式パワートレイン (三菱iMIEV等) 92点
6位. フォルクスワーゲン 1.2L TSI (VWポロ、アウディA1、A3等) 65点

環境性能もハイブリッドやEVで培ってきた技術が活かされて国産エンジンが食い込んでいます。
それでもフィアットツインエアには勝てず、、、
そもそもトヨタのTHS-IIも煮詰まってきていて、画期的とは呼べなくなってきている感がありますよね。
同じハイブリッドでもホンダIMAに至ってはランク入りさえ出来ず。


・ベスト・パフォーマンス賞
1位. フェラーリ 4.5L V8 (フェラーリ458イタリア) 194点
2位. ポルシェ 3.8L (ポルシェGT3、GT3 RS) 126点
3位. メルセデスAMG 6.2L V8 (メルセデスAMG C63 AMG等) 119点
4位. 日産 3.8Lツインターボ (日産GT-R) 97点
5位. マクラーレン 3.8L V8 (マクラーレンMP4-12C) 89点
6位. BMW 3L 直噴ツインターボ (BMW 135i、1 Mクーペ、Z4、640i、740i等) 87点

国産最強のGT-Rの心臓がランクイン・・・が、それでも4位。世界の層は厚い。
スバルSTIや三菱ランエボあたりでは相手にもならない、それが世界レベル。
Lexus LFAのV10エンジン1LR-GUEが評価対象に入っていれば・・・とは思いますが、残念。


・1L以下クラス賞
1位. フィアット 875cc 2気筒ターボ (フィアット500) 479点
2位. トヨタ 1L 3気筒 (トヨタアイゴ、ヤリス/ヴィッツ等) 257点
3位. ヒュンダイ/キア 1L 3気筒 (ヒュンダイi10、キアピカント) 178点
4位. スマート ディーゼル 799cc (スマートフォーツー) 141点
5位. 三菱 999cc 3気筒ターボ (スマートフォーツー) 135点
6位. オペル 1L 3気筒ツインポート(オペルアジラ、コルサ、スズキアルト、シボレースパーク等) 120点

ここもフィアットが・・・強すぎ。
しかし、昔から小型車を作るのが得意な日本はこの分野でも強みを発揮。
2位に入っているトヨタの1KRエンジンは、昨年までのこのクラスのチャンピオン。
ただ、このカテゴリーにも今年は異質なものが・・・。
そう、3位に入ったヒュンダイのエンジン。
はっきり言ってヒュンダイ自身には特筆すべき技術は無いのですが、ここは欧米のエンジニアリングを積極的に取り入れ、上手く纏め上げることで質の高いエンジンを作り上げています。
韓国政府のなりふり構わぬウォン安政策やFTA政策で欧州市場を荒らしまくっており、放っておくと危ない存在になってきそうです。

・1~1.4Lクラス賞
1位. フォルクスワーゲン 1.4L TSIツインチャージャー (VWポロ、ゴルフ、シロッコ、アウディA1) 365点
2位. フィアット 1.4L マルチエアターボ (アルファロメオMiTo、ジュリエッタ、ランチアデルタ等) 248点
3位. フォルクスワーゲン 1.2L TSI (VWポロ。ゴルフ、アウディA1、A3等) 196点
4位. フォルクスワーゲン 1.4L TSIターボ (VWゴルフ、シロッコ、アウディA1、A3等) 124点
5位. フィアット-GM ディーゼル 1.3L (フォードKa、フィアット500、パンダ、プントEvo、スズキスイフト等) 91点
6位. フィアット 1.4Lターボ (フィアットアバルト500、アルファロメオジュリエッタ、ランチアデルタ等) 63点

はい、国産全滅です。
日本市場では1.3Lクラスが売れ線ということもあり、各社エンジンは揃っているのですが・・・惨敗です。
国内では人気のヴィッツ(欧米ではヤリス)やフィット、デミオなどは欧米では全く通用していないというのが手に取るように分かりますね。
特に欧米ではダウンサイジング志向が浸透していて、このクラスでも2LNA並の性能を備えているエンジンが少なくありません。
実際に入賞している6台すべて過給エンジンであることから、小型車のクラスでも手を抜かない欧米メーカーの姿勢が顕著に現れていると言えるでしょう。
この結果はコストばかり気にして硬直し、つまらない車しか作れなくなった国産メーカーの耳にも届いているのでしょうかね・・・。

・1.4~1.8Lクラス賞
1位. BMW 1.6L 4気筒ターボ (ミニクーパーS等) 246点
2. Alfa Romeo DI turbo 1750 (Alfa Romeo 159, Giulietta,
Lancia Delta) 226点
3位. トヨタ 1.8L ガソリンハイブリッド(トヨタプリウス等) 199点
4位. アウディ 1.8L TFSI (アウディA3、A4、TT、A5等) 149点
5位. BMW-PSA ディーゼル 1.6L 4気筒 (ミニワンD、プジョー207、308、シトロエンC3等) 124点
6位. フォード 1.6Lターボ (フォードフォーカス、C-Max、ボルボS60等) 109点

トヨタのTHS-IIが孤軍奮闘ですね。
かつてはホンダインテグラの1.8L VTECやトヨタセリカのVVTL-iエンジンなど、国産スポーツエンジンが幅を利かせていたこのクラスも、今ではほぼ欧米メーカーに埋め尽くされてしまいました。



・1.8~2Lクラス賞
1位. BMW ディーゼル 2Lツインターボ (BMW 123d、X1) 210点
2位. アウディ 2L 4気筒 TFSI (アウディS3、TTS、VWシロッコR、ゴルフR) 204点
3位. アウディ 2L 4気筒 TFSI (アウディA4、A5等) 151位
4位. ホンダ 2L 4気筒i-VTEC (ホンダシビックタイプR)) 77点
5位. BMW ディーゼル 2L (BMW 120d、X3等) 73点
6位. スバル 2Lボクサーターボ (インプレッサWRX) 71点

ホンダのK型エンジンは結構老舗の部類に入るのですが、4位とがんばっています。
しかし、ホンダからは画期的なエンジンがここ数年出ておらず、これ以外のエンジンでランク入りしているものはありません。
エンジンのホンダと呼ばれたかつての面影はありませんね。本田宗一郎が天国で泣いているぞ。
それにも増して、ランク入りできなかったトヨタや日産は何をしているのか・・・。
欧米のエンジンを見ると、どれも過給エンジン。
やはりダウンサイジングの傾向が顕著で、もはやこのクラスでは過給が当たり前のようになっています。
日産やマツダのエンジンで少しずつ過給エンジンは出てきているのですが、世界のトレンドからは完全に取り残されていると言っていいでしょう。



さて、良い所無くその2へ続きます・・・
ブログ一覧 | クルマ
Posted at 2011/05/20 05:03:18

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この記事へのコメント

2011年5月20日 16:39
日本では660ccの軽自動車に過給器を付けたエンジンというカテゴリはかなり成熟してると思うんですけど、軽自動車自体がガラパゴスなため、世界的には超マイナージャンルなんですよね。最近は軽自動車でも低燃費化してきているので、この技術をリッターカーに持っていけばいいと思うのですけどね。
コメントへの返答
2011年5月22日 1:54
入賞してるトヨタの1KRはダイハツが開発していますし、三菱の1Lはi用エンジンの拡大版。確かに軽自動車向けの技術が世界でも高く評価されていますね。ただ、660ccの排気量制限は熱損失を考えれば、燃費や環境面でマイナスにしかなりません。ただ、政治的な問題やメーカー間の思惑もあり、そのあたりの解決というのは難しいんでしょうね。

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