2006年07月02日
いつも2人が使っていたHotelにチェック・インしたのはもう4時を廻っていました。
結構長い時間、飲んでいたのでそろそろ体力も限界でした。
シャワ-もコソコソソコソコにして、ベッドに潜り込みNちゃんが戻ってくるのを
うつらうつらしながら待っていました。その内に眠ってしまっていたんでしょう、
ハッと目が覚めたら、時計の針は8時の少し前でした。部屋にMちゃんの姿はもう、有りませんでした。速攻で着替えて会社に行かないとなりません・・・が、
どこを探しても「ネクタイ」が見つかりません。まぁ「ネクタイ」は会社にも置いて
ありましたから、どうせどっかに忘れたんだと思い、会社に向かいました。
もう12月の25日を過ぎると余り仕事も有りません。最終の回収集金程度です。
外回りに出ても、寝不足の身体がイマイチ冴えません。喫茶店に入り熱いオシボリで
顔を拭うと少し頭が冴えてきました。「Mちゃん・・・どうしたんやろぉ・・・
あれ程一緒に居たいって言ってたのに・・・ 」「何か有ったんかな?言いたい事とか・・・」 まぁエエわ!気にせんとこッ!91年も残す所あと6日。ぽんちゃんの結婚式まで、25日です。28日には仕事納めをして実家に戻りました。実家に戻る前に
一度家に戻り、数日分の着替えなんかを用意して戸締りをしていると、
背後に焼けるような視線を感じました。(◎_◎;) ドキッ!!振り返ると、ニコニコと
「タッパ」を持った、伊藤さんが立っていました。
「今日から実家に帰るの」「ハイ・・・」「じゃ、コレ持って帰って頂戴!!」
(*゜Q゜*)ドキィー(また・・・酢豚なの???)「いやぁ~いつもすいません」
「有難う御座います。それでは良いお年を!」「ハイ、貴方もね・・・」
「そうそう年賀状、届いてたら盗って取っておこうか?溜まると無用心だし・・・」
「いえ、結構です。多分大半は実家に届くと思いますし、新聞も止めてますから」
・・・なんで伊藤さんはそんなにチョッカイ出すねん!ほっといてくれッ!!
などと考えながら実家に戻り、母親と2人で恐る恐るタッパを開けてみました。
トランクに放り込んで帰ってきたのですが、なぜか車中にも異臭が漂っていました。
ホントに怖かったっす!私にはその蓋を開ける「勇気」が有りませんでしたから、
母親に全権委任し、私は気の弱い「爆弾処理班」気取りで、遠巻きにタッパを
見つめていました。やがて・・・ゆっくりとその「全容」が明らかになるにつれ、
台所にはもはや「異臭」としか言いようの無い臭気が立ち込めていました。
「ギャァァァァ臭いィィィィ」・・・母親が叫び、同時に私は母親を見殺しにして、
ハヤブサのように、2階へと駆け上がりました・・・続く。
Posted at 2006/07/02 13:17:54 | |
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一人神田川 第二章 | 日記
2006年06月03日
1991年12月24日PM7:00
その男は、グレ-のス-ツに少しばかりくたびれたトレンチコ-トを
はおり雑踏の中に居た。人込みに身を任せるように歩く男の背中には
疲れ果てた男の哀愁が漂っている。しかし表情は明るく、その視線の先には
真っ赤なコ-トに身を包んだ、顔立ちのハッキリとした美しい女性が、
微かに微笑みながら、その男を見つめていた・・・
少し足早にその女性に駈け寄り、男は口を開いた。
「Merry X‘Mas」・・・女は黙って男の胸に飛び込んだ・・・
粉雪が舞い散る、京都「四条大橋」の上で・・・
そう、このアヒルニヒルな男こそ、「マドロスぽんちゃん」その人だったのです。
相手は当然Mちゃん。Nちゃんはどうしても都合が付かないので、前日の23日に
Mちゃんに電話を入れておきました。「Iveに逢いたい」・・・と
少し戸惑った様子のMちゃんでしたが、結構アッサリとOKしてくれました。
これで・・・本当に最後です・・・(何回言うてんねんッ!!)。
誤解の無いように言っておきますが、独身最後のクリスマスって事ですよ!
ぽんちゃんの「女好き」はお医者様でも草津の湯でも治りません!!(キッパリッ!)
でも、心の底では、「H」は止めておこうって思っていました。(出来るの??)
長年連れ添った2人には、クリスマスだからって特別なセレモニ-は不要です。
一緒にご飯を食べて、飲んで歌ってバカ騒ぎしているだけで充分なんです。
いつも良く行く先斗町の料理屋に行き、お互いに知り過ぎている好みの料理を
注文して、二人で乾杯です。いやぁ~楽しいですねぇ!ほろ酔い気分でお店を
出て、腕を組みながら先斗町を歩きます。一筋向こうの木屋町は概ね、
若者の通り(オイオイあんたも若者やってッ!)で、反対の先斗町は
アダルトな雰囲気が漂っています。後々もこの「先斗町」には、お世話に
なる事になります。先斗町から河原町通りに出て祇園方面に向かいました。
そう、同伴です。Mちゃんと供にお店に入り、ゆっくりと飲み始めました。
12時丁度位だったでしょうか、ママがシャンパンを抜いて持って来て
くれました。改めて乾杯をし、ラストまで店で飲んでいました。その後
またまた2人で飲みに(なんぼ飲むねんッ!)行き、アレコレ話をしていると、
「今日は帰らへんよ」「一緒に泊まろうね」って、不意にMちゃんが言い出しました
(かなり酔った感じでした)。「泊まってもエエけど、Hはせ~へんでッ!」
「一緒に寝るダケやで」・・・「それでも、ウチはええから・・・今日は・・・」
「一緒に居たい・・・」時間にして4時頃だったでしょうか。Hotel街へと、
2人は消えて行きました・・・続く。
Posted at 2006/06/03 17:33:50 | |
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一人神田川 第二章 | 日記
2006年05月14日
散々に考え抜いた挙句、やはり「マドロスに酢豚は似合わない!」との結論に
達し、「酢豚」は処分する事にしました。夜中に「酢豚」に翻弄される
「マドロス」も珍しいのですが・・・厳重に梱包?して、私を苦しめた
「酢豚」はゴミ箱に勢い良く滑り落ちて行きました。あとは「伊藤さん」に
ゴミチェック!!をされないようにするダケです。(次のゴミの日は金曜日)
翌日にはキレイに洗った「タッパ」を持って、お隣を訪ねました。
インタ-ホンを押すと「5秒!!」で出てきます。なぜか四六時中監視されている
ような気がしてなりません・・・「すんません!ご馳走様でした」
「昨日は思ったより早く帰って来たのね!」・・・(見てたんか?怖ッ)
「所でどうだった?美味しかった?」・・・「はい、旨かったです」・・・
「そう、じゃまた作ったらお裾分けするわね!ウチは家族が少ないじゃない・・・」
「沢山作った方が美味しいのよねッ!!」(いや・・・ホンマにもうイランて・・・)
ガックリと肩を落とし、ぽんちゃんは家に帰りました・・・憂鬱・・・憂鬱・・・
まぁ、結婚するまでの辛抱やッ!!そんな月に何回も「酢豚」せ~へんやろッ!!
今日みたいに「捨てちゃえば簡単じゃんッ!」って割と楽観視していました。
だって・・・「伊藤さんの好物」だって知らなかったから・・・プロロ-グ・・・
それからMちゃんとは、お店で会うだけの仲になりました。Nちゃんは私が
休みになるとやって来て、「結婚式場」「家具屋」「電気屋」「旅行会社」「雑貨屋」
と、目の回るような休日を送っていました。もう、結婚真近ですもんね。
「衣装合わせ」や「司会」の方との打ち合わせも同時進行で進めました。
招待客のリストアップや席順(これが一番厄介でした・・・ホント)、
引き出物や料理の内容も決めないといけません(どないせいっちゅんじゃッ!!)。
そんな事を次々とこなしている内に、街は早くもクリスマスモ-ドに突入です!!
ぽんちゃん独身最後のクリスマスが目前に迫ってきていました。
「今年のクリスマス・・・どうしよう・・・」(Nは用事でダメみたいです)
「俺・・・1人で・・・最後のクリスマスけ?」と、心に呟いていました。
まさか、「マドロス」がそんな寂しいクリスマスを迎える訳が有りません・・・
よね?・・・ぽんちゃんの頭の中では「怪しい不埒な考え」が、マグマのように
吹き出し初めていました。続く。
Posted at 2006/05/14 13:47:24 | |
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一人神田川 第二章 | 日記
2006年04月29日
その夜はMちゃんの店で暫くの楽しい時を過ごし、日付が変わる頃に
家に帰りました。鍵を開けようとモソモソしてると、何かが目に付きました。
しゃがんでよく見ると、タッパのような物が置いて有りました。
家に入って見て見ると「レンジで暖めて食べて下さい・・・伊藤」!!!
おいおい!なんでやねん!なんで「酢豚」が置いてあんねんッ!!
伊藤さん!!もうエエてッ!俺・・・風呂に入って寝たいねん!!
なぜそこまで僕を苦しめるの???風呂に入っているあいだ中も、「酢豚」
が、頭の中を支配しています。今日のMちゃんとの甘ずっぱい思いでも、
「酢豚」の甘酢に同化されてしまいそうです。風呂から上がり、夜の夜中に
1人「酢豚」と対峙していました。明日、このまま返したら気ぃ悪いやろなぁ~とか、
いっそ捨ててしまって、笑顔でご馳走様でした!と、タッパを返そうか?
(でも・・・またゴミチェックされたら・・・)、などとウツラウツラと
考えていました。ここは一発!食べてしまおうか?そしたら問題は無いし!!
でも・・・食べて「美味しかった」なんて言ったら、また「酢豚」が我が家に
運ばれてくる可能性も有るし、ニヒルなマドロスが「好物は酢豚!!」って
近所で評判になるのも、絶対避けたい・・・どうすればいいんだッ!!
もう、泣けてきそうでした。「酢豚」に翻弄される男ぽんちゃん!
いやはや・・・近所付き合いって難しい・・・皆さんどう思います?続く。
Posted at 2006/04/29 10:23:36 | |
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一人神田川 第二章 | 日記
2006年04月16日
12時20分前に四条河原町に着きました。そこには早くもMちゃんが
待っていてくれてました。通常「飲み屋」のおねぇ~ちゃん達は、
2時~3時まで仕事をして、人にもよるのでしょうが帰宅して寝ちゃう人や、
ママやお店の女の子達で飲みに行ったり、ご飯を食べて帰ったりして、
帰宅するのは明け方近くやもう朝になってからって言うのが多いみたいです。
当然Mちゃんの行動も同じで、いつもお店が終わるとご飯を食べに行き、
マンションに帰るのは朝の7時頃です。それからシャワ-を浴びて寝るみたいです。
起きるのが昼過ぎで、それから買い物や美容院に行ってから一旦部屋に戻り、
お客様に電話での営業をかけたり、本を読んだりTVを見たりして過ごします。
となると、10時に電話で叩き起こされ、更に12時に待ち合わせって言うのは、
かなり辛いと思うのですが、私が着いた時にはもうMちゃんは
そこに待っていました。ホントに随分と久し振りです。素ッピンに近い
ナチュラルメイクの顔や、ケベケバの服を着ていないMちゃんを見るのも、
神田川荘で半同棲生活をしていた時以来です。久し振りに胸が高鳴りました。
Mちゃんも嬉しそうに私を見ていました。
「悪いのぉ~急に呼び出して」「今日は時間エエんか?」
「うん、時間はエエよ・・・それよりどないしたん?今日は平日やんか?」
「仕事辞めたん?・・・まさかなぁ~(笑)」「今日はどうするの?」
って会話をしながら河原町通りを歩き出しました。ピッタリと腕を組んで
寄り添ってくるMちゃんが、たまらなく可愛いと思えました。
通りのアチコチに有るお店のウインドゥショッピングを楽しみながら、
「どや?久し振りに??」 「エッ!!何が??」「せやから久し振りにどやねん?」
少し俯きながら「うちは・・・エエよ」「よっしゃ!ほな今から行こか!!」
「せやケドまだ・・・お昼やよ」「エエやないか昼間でも」
「夜やないとアカンのけ?」「そやないケド・・・折角久し振りにおおたんやから
もうちょっとデ-トらしい事がしたいわぁ・・・(顔真っ赤)」
「デ-トらしいて、お前何考えてんねん??」「だって・・・Hの事やろ??」
「アホか!お前は!!久し振りに映画観に行こって言うてんねん!!」
「何、勘違いしとんねん!!」「もう・・・知らんッ!!ぽんちゃんのあほッ!」
ってな、可愛らしい(どこが可愛いねんッ!)会話をしながら2人で映画を観に
行きました。ハッキリ覚えていませんが「稲村ジェ-ン」だったように思います。
映画館を出て、お昼ご飯を食べていない事に気づき(何時や思てんねんッ!)、
軽めの昼食を取りました。「ぽんちゃん、これからどないすんの??」
「どないしょうか?お前、店は何時に入るねん?今日やったら同伴出来るで」
「どないしょう・・・今日は休んでもエエよ。今から2人でどっか行こか?」
こんな事は今まで有りませんでした。Mちゃんが店を休んでもエエやなんて・・・
以前、一緒に住んでた時も「たまには休めやぁ!」って私が言っても、
店だけは絶対に休む事は有りませんでした(度々行方不明にはなってましたが)。
その頃、ぽんちゃんの脳裏では例の「天使と悪魔」が囁き始めました。
天「結納も交したんやから、悪いことしたらアカン」
悪「かまへんかまへん!据え膳喰わぬは男の恥じやッ!!」
天「いや!強い意志を持ってこの難局を乗り越えるのが男ぞッ!」
悪「なにぬかしとんねん!お前もスキなくせに・・・」
天「そら・・・スキやけど・・・」
悪「自分に嘘は付いたらアカン!ワレ天使やのに嘘付くんけッ!!」
天「そらそうや・・・」
って感じで、頭の中で天使が悪魔に丸め込まれそうになっていました。
さて、どうしたもんでしょうね?このまま帰ったら(伊藤さんに捕まりそうやし)、
ぽんちゃんは随分と悩むのでした。続く。
Posted at 2006/04/16 16:43:14 | |
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一人神田川 第二章 | 日記