
集英社新書「電線一本で世界を救う」著者 山下 博
およそ世の中には自動車用パーツと称するもの、つまり自動車メーカー製純正パーツをはじめサードパーティー製パーツ、はたまた手作りのワンオフパーツなど、その数や種類はきっと天文学的な数字になるだろうことは想像に難くない。
時として私たちはその中に奇妙なパーツと遭遇することがある。それは自動車メーカー製純正パーツや著名なチューニングショップ製パーツなどではなく、奇想天外な理論や荒唐無稽としか思えない効能を謳うもので、例えば「このパーツを付けるだけで燃費○○%アップ」だとか「これを入れるだけで△△馬力アップ」などといった類のもので、これらは総称して”オカルトパーツ”と呼ばれている。
しかし一括りにオカルトパーツといっても、おそらくピンキリで限りなくホンモノに近いものもあれば、サギまがいのものもあるだろう。
タイトルに掲げた”3Q”もオカルトパーツに属するもので、3Q自動車とか3Q Carsというブランドで主にモリコシリーズ等の電気デバイス、レアボルト等のネジ、Qヒューズ等、電気をテーマに開発されたパーツを数多くラインナップしている。
3Qがピンかキリか問われれば、私はピンと答えたい。
しかしその説明根拠が弱いのも事実。公的機関による実証結果などは無く、あくまでドライバーという人間のインプレッションに拠るところが大きいためだ。
ゆえにプラシーボ効果を持ち出されると反論の術が無い。
使ってみればわかるというのは、いわば逃げのセリフで肯定派にとっては何とも歯がゆい。
常々この3Qパーツの効果に対して、自分自身を納得させる理屈がないものかと思っていたが、ネット検索から偶然一冊の本が目に付き、もしかすると3Qパーツの効果を説明できるのではという期待から某通販大手から購入した。
それが今回紹介する「電線一本で世界を救う」という本である。
本の内容はかなり割愛するが、元々オーディオマニアでオーディオ機器の製造販売会社を経営している著者の山下博氏が、(長崎県諫早市出身 同郷・・・)
オーディオケーブルに使う銀線を偶然クルマに取り付けたところ排気ガスの成分の変化や燃費が劇的に向上したそうだ。
いわゆるアースチューンなのだが、なぜ銀なのかをわかりやすく論理的に説明してところが面白い。
キーワードは”電子の平均速度”で電気抵抗ではないとのこと。
一般的に用いられる銅線は電気抵抗は銀線と同等だが、電子の平均速度は銀線が圧倒的によく、エンジンから出るノイズの原因である静電気を最も効率良くアースでき、そのため燃焼効率が向上し排ガス中の汚染物質も減少する理屈らしい。
この点で3Qパーツの肝であるレアメタルと何か共通するものが感じられなくはないだろうか。
この本自体の技術論は専門家にとっては稚拙かもしれないが、私たち一般ユーザーにとって十分楽しめるものであった。自分の車のアース線を銀線にしてみたくなる気にもなる。(高価だが・・・)
一つ注文をつけるならば、もっと技術論に特化した構成であればなお良かったと思える。
日本の自動車メーカーへ売り込みに行って門前払いにされたり、オーディオのうんちくの件はページを割く必要はないと思える。このあたりの章は私は読み飛ばしたからだ。
世界を救うという題名は大袈裟だか、全体として新書版であり難解な専門用語もなく、読み物としてスラーっと読めるので、興味がある方はご一読してみてはいかがでしょうか。
Posted at 2014/04/17 23:12:08 | |
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