昭和のアイドル歌謡のようなタイトルですが、今回は年式の話。
かつて、日本の自動車はアメリカ車とおなじモデルイヤー制度を採用していました。
いまでも慣例として「平成○年式」という言い方がありますが、ちょっと違います。
最大の特徴は、当時は製造年での管理という点です。年式の切り替えが前年の秋(起点日は10月→9月と変わる。全日本自動車ショーは翌年式のクルマを展示するイベントだった)など色々複雑な制度ですが、初度登録年度で管理している現在とは異なる部分です。
当時はフレームの車台番号を見るだけで年式が判る仕組みになっている、というのは有名な話。
この制度は1964年7月14日に廃止、とここまでは少し調べれば出てきますが、旧車趣味の先輩から面白い話を聞きました。
なんと当時は、ガラスにも製造年が入っているんですね。

こちらは1964年式のプリンス・グランドグロリアのウインドシールドに使われているガラスの刻印。書式は現在のものと同じですが、米国認証や欧州認証の表記がなくシンプルです。
(JIS) LP NIPPON SAFETY C-G-64
64という数字がバッチリ入っています。
日本板硝子製、LPは合わせガラス(ラミネート+ポリッシュ)ですね。
いわゆる“優良部品”だけでなく、たとえメーカー純正品であっても、事故や飛び石などで交換すると年式打刻のない補用部品となってしまうそう。この刻印は三角窓など全てのガラスに入っているから、アメリカ車でいうナンバーズマッチ、みたいな感じですね。
草ヒロとなった古いクルマの刻印をチェックするのも楽しいです。
そして、こちらが年式打刻制度廃止後のウインドシールド。日産セドリック(130型)のものです。

旭硝子製のテンパーライト。これは強化ガラス(TP)です。年式表記はありません。
しかし、上が1968年で下が1969年と、見る人が見ればすぐに判ってしまうそう。
さて、違うところはどこでしょう…(制限時間15秒)
実は、ASAHIの「H」と「I」の下にこっそりが打たれたピリオドが製造年を示しているんですね~。
一年ごとにピリオドが右へ移動して、またAから始まります。
実はこれ今でも続いているとのことで、確認したら…あっ!
見えない世界が開けたようで、ちょっとワクワクします。
よく見るとTEMPERLITEのMとIの上にもピリオドが打たれているのがわかると思いますが、こちらは製造月です。
刻印は完成検査の終了時ではなくガラスの製造時に入れるものなので、年末年始をまたぐ場合はそのクルマの製造年と合わないこともあるはずです。
古い雑誌に解読方法が出ていたので転載しておきます。

そういえばピリオドやハイフンで偽装した製造日を識別していた某老舗もあった…と、つい余計なことを思い出してしまいました。
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Posted at
2013/04/24 22:12:04