
先日,非常にキレイに乗っているクレスタ(GX81)に遭遇しました。
ナンバーも当時のもので,リアにカーテンをつけているので運転手をハッキリとは確認できませんでしたが,ご年配の方とお見受けしました。
実は,この型のクレスタには沢山の思い出があるんです。
私が中学3年生のときに,父親がクレスタを購入しましてね。
私はもちろん2.5リッターの『スーパールーセントG』を薦めるワケですが,父親は最初からディーゼルに決めていたので,上申空しく『スーパーカスタム』という低グレードになってしまいました。。
当時はマークⅡ三兄弟が飛ぶように売れていた時代。私の実家のようなど田舎でも見ない日はないというほど,走ってましたよ。
ある日(購入前),営業マンが家に来て商談となったワケですが,とにかく寡黙な営業マンでしてね(笑)喋らないんですよ!!社会のイロハを知らない中坊の私でさえ,この営業マンは失格だろと思うほどに。
大げさではなく,カタログをテーブルに置いたままずーっと下を向いていて,聞こえてくるのは鼻をすする音だけ(爆)
父親がカタログを開き,アレコレ質問しても一切答えられず。その状況に耐えかねて私が説明をするという異常事態だったのを,ハッキリと覚えています。
そうして,何とか無事に納車された我が家のクレスタですが,ボディーカラーは当時大人気だったスーパーホワイトⅣなのですが,低グレードのためにドアミラーは黒。更にホイールキャップに至っては,今ではまずお目に掛かれないスチール製!!
当時の私には,その二点だけで十分嫌いになれましたよ。
それに一番酷いのはシートでしたね。フロントシートはまだイイとして,リアは最低でした。一言で言えば「キチンと座れないシート」そんな感じです。もう20年以上前の事なので,具体的な説明は無理ですけど,とにかく座りにくいシートでした。それが証拠に納車の日に近所の家族とドライブに出かけたんですが,後ろから付いてくる友達に「お前落ち着きがないぞ,じっと座って乗ってられないのか?」って聞かれましたからね。
また,以前プログにも書いた,雨の日に洗車をさせられた車もクレスタでした。
さて,そんな感じでイマイチというかトヨタというだけで当時から三菱狂だった私には興味すらなかったこのクレスタですが,私が免許を取得すると,そうも言っていられない状況になります。免許取得後すぐに私は東京に行ったので,夏休みや冬休みに帰省した際に友達とドライブという事になれば,必然的に父親のクレスタか,母親のミニカ(H22A)を借りることになります。
あるとき,高校時代の仲間と遊ぶのに,クレスタを借りて(その日は母親がミニカを使う用事があったんでしょう。それ以外のときはミニカに乗って行ってましたから。)集合場所に行くと,数人の女の子が「あ~!ととま君てクレスタ乗ってんの?カッコイイ!私助手席に乗ってもイイ?」と。。
え????なに?????
クレスタってそんな力があったの???スゲー!!!(←バカ)
いやまあ断る理由なんてありませんから,そりゃ乗せましたけどね。
ただ,内心ドキドキしてた部分がありまして。
上にも書いたとおり,うちのクレスタは低グレードなワケですよ。自分の中では世間一般の大人気マークⅡブラザーズと言えば『グランデ』『アバンテ』『スーパールーセント』が最低ラインのグレードなんです。
外見で言えばドアミラーは同色じゃなく黒,ホイールカバーも樹脂製ではなくスチール,内装に目を向けると,エアコンもオプション扱いのグレードなので,スーパールーセント系以上に標準装備のプッシュ式オートエアコンどころか,レバー式マニュアルエアコン(あ,これもオプションで選ぶときに父親に,頼むからオートエアコンにしてくれってお願いしたんですが,マニュアルエアコン18万,オートエアコン21万という価格に即決でマニュアルを選択されました(涙)ちなみにこのグレードだとオートを選択してもプッシュ式ではなく,レバー式ですけどね。)シート生地だって部分革仕様ではなくファブリック。。。クレスタはクレスタだけど・・・・と。そこを突っ込まれたらどうしようかと(笑)
今考えれば,ものすごく阿呆な悩みですよね。そんなマニアックなとこ突いてくる女子なんてまずいませんし,そもそもそんな女子なら最初に見たときに乗りたいとか言いませんよねぇ(笑)
でも売れてる車ってのは凄いなぁって,そのときだけは感心しましたね。。
で,実際に運転した感想ですが,今思えばアクセルワークの基本はこの車で勉強できたような気がします。ガソリン車と違ってスピードを出そうとアクセルを床まで踏んだところで思ったような加速はできません。車速の上昇に合わせてジワ~っと踏んでいってやるのが,一番効率がいいんです。2000回転を過ぎた付近で,タコメーター内にあるターボインジケーターが緑色に点灯するんですが,そこから強大なトルクが発生するかといえば,実はそうでもなかったり。。。つまり,状況に応じてキチンと踏んでやらないと,黒鉛だけを撒き散らして走るという結果になるんです。ただFRなので,ステアフィールはすごく自然でよかった事は覚えています。(もちろん普通に走る分には・・・ですよ。)
さて,そうして1褒めても10の文句を私から言われ続けて来たクレスタも21万キロを超えて,お別れの日がやってきます。
その日私は東京にいました。母親からの電話で今日新しい車との入れ替えで,乗っていかれるんだと聞かされました。ところがそこで信じられない事が起こります。ただこれは嘘偽り無い事実であり,もしかしたら車にも意思というものがあるのではないかと思わされる,そんな出来事でした。
新しい車と入れ替えるのに,営業マン(前出の阿呆とは別人)がエンジンを掛けようとするんですが,掛かりません。まるで連れて行かれるのを拒絶するかのように。母親は寂しそうに「エンジンが掛からないのよ,行きたくないのかなぁ」と。電話で話しをしている途中でなんとかエンジンは始動。受話器の向こうでカラカラという音が寂しげに聞こえます。そのときでした。『パァ~ン!!』とクラクションの音が鳴り響きました。ただ・・・・その時運転席には誰も乗っていませんでした。エンジンが掛かった後,営業マンは一旦車から降りていたんです。
家族や私に最後の挨拶をするかのように鳴ったクラクション。
その音を聞いたとき,色んな思い出が頭の中でよみがえり,泣いてしまいました。
ありがとうクレスタ。もう会う事もないけど次のオーナーさんに可愛がってもらえよ。
そう思いながら受話器を置いたのでした。。
次に帰省したとき,近所に止まってましたけどね。。
Posted at 2012/02/13 00:25:51 | |
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