2013年02月24日
友へ
お前が逝ってから,明日で13年だな。
俺たちはもうすっかりおじさんになってしまったが,お前はどうだ?
そっちは歳とかとらないのかな???
忘れもしない2000年2月25日。。
あの日,俺はその日から始まる会社のイベントに備え,朝5時に起きなきゃいけなくてさ。でもこの時期の早起きってのは寒いし,なかなか布団から出られずにいたんだ。
そこに一本の電話だ。
着信は悪友の『ドラ』からだった。こんな時間の電話だからな。俺はまたドラが明け方まで飲んで,その勢いでイタ電でもしてきたのかと思ったよ。
でも・・・・普通じゃない低い声のトーン。
お前が死んだ。。。そう言ったっきりドラは何も喋らなかった。
俺はドラに「おいおい,エイプリルフールじゃねーんだからよ,つまんねードッキリで電話したって無駄だぜ!!」って言い返したんだ。
覚えてるか?俺たちは,親友というか悪友で,騙したり陥れたり,そういう事をよくやって遊んでただろ?ファミレスで駄弁ってるときに,仲間の誰かがトイレに立つと,席に残った奴らは誰も何も言わないのに,当たり前のように席を立った奴の水の入ったグラスに『塩』や『スティックシュガー』をバンバン混ぜてさ,そして何事もなかったように普通に会話を始めて,トイレから戻ってきた奴が水を飲んだときの反応を楽しんだりさ。
そういう仲間からの『訃報』をいきなり信じろっていう方が難しいだろ?
でもドラは電話の向こうで黙ったままだった。
その沈黙で本当だって分かったよ。でもな同時に信じたくねぇって,嘘つくなよってそんな思いが込み上げてきて,俺はドラに「悪い冗談やめろって!!タチの悪い冗談だが,今謝れば許してやるからよ!!」ってちょい強い口調で言ったんだ。
でもさ,あいつは一言,それまで聞いたことも無い暗い声で「嘘じゃねぇ」って,そう言った。
でもそれでもまだどこかで信じてない自分がいてさ。
だってそうだろ?俺たちは平気でそういう騙しをする仲間だったろ?有りもしない通夜と葬儀の場所と日時を俺に教えてさ,俺が喪服姿で誰も居ない葬祭場でオロオロしてるのを,影から笑いながらお前たちが出てくる・・・みたいなさ。
お前の家に着くまでの間,車を運転しながらずっと,ずっとそういうドッキリであってくれって,それだけを願ってた。
でも・・・・・現実は違った。
お前の家の前には,大勢の弔問客がていさ。
お前は普通に眠っているかのような,そんな顔で・・・・。。
なんでだよ?
翌週の土曜日には,お前の新婚家庭に突撃するからって,そう約束してたじゃないか。俺が一人で行くからって,そう電話では言ったけどさ,他の仲間も大勢誘って押しかけるつもりだったんだよ。玄関を開けたときのお前の戸惑う姿を想像してさ,俺は色々と騙しのプランを練ってたんだぞ。
2月初めのお前の結婚式,お前は本当に幸せそうな顔をしていて,俺たちも心から嬉しかった。その日ばっかりはいつものイタズラは封印してさ,その代わりに新居突撃で大暴れする予定だった。
それなのに・・・・・
結婚式から1ヶ月も経ってないってのに・・・・。
残された奥さんや,ご両親の気持ちを考えると,ホントに辛いだろうなって思う。
でも一番辛いし悔しいのは,やっぱりお前自身だよな。
俺はお前の無念さを思うと,ホントにやりきれなくなる。
年に2回の墓参りと,盆の実家へのお参り・・・これが俺たち3人の決め事でさ。どんなに忙しくてもお前に会いに行く時間だけは作るって決めてるんだ。(うちの親父からは「お前,家の墓には参らないくせに,友達のとこにはいつも行ってるなぁ」って言われるんだよ。ちゃんと実家の墓にも参ってるんだけどな。)
お前との色々な楽しかった事を風化させたくないっていうかさ,お前がこれからも現在進行形で俺たちの仲間であって欲しいというか,俺たち3人誰も口には出さないけど,みんな同じ想いで集まるんだ。
だから,変な感じだけど墓参りというより,ただ普通に家に遊びに行く感覚に近いかもな。悔しさも悲しさも,あの日からずっと変わらず持ち続けてるけどさ,なんていうか俺たちまでしんみりしてても,仕方ないもんな。
今日もさ,おっさん3人が墓の前で大声出して笑ってさ。端から見たらきっと不謹慎に思われるんだろうな。ローソクと線香は忘れても,お前の好きだったタバコとコーヒーだけは絶対に忘れないのも,俺たちらしいだろ?
3人とも,結婚して子供も産まれて,仕事もそれなりの立場でさ,毎日必死で頑張ってるよ。だからさ,そっちに逝くのはまだまだ後になるけど,それまではそっちの世界で楽しくしといてくれ。
桜の咲く頃に,また遊びに行くからさ。
Posted at 2013/02/24 21:32:38 | |
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