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2009年07月01日

黒部開発の死闘を思う

黒部開発の死闘を思う
この写真は、立山黒部アルペンルート、日本最高標高
区間を走るトロリーバス、立山トンネル内の様子です。

トンネル内はバス1台片側通行幅しかないので最深部
には、すれ違い区間が設けられています。左壁に見る
黄色い標識灯は「立山の直下」を示しています。また
難工事だった「破砕帯」を示す青い標識灯もあります。



この立山トンネルの「60m の破砕帯」突破に一ヵ年を要したほどの難工事だったそうで
今では、この破砕帯の地下水は、観光の拠点、室堂平にも供給され、立山から滲み出た
水温2~5度の天然水は訪れる観光客に「立山玉殿の湧水」としても親しまれています。


(閑話休題)


時は1959~63年、戦後の電力不足を解消するため数々の難工事を乗り越え延べ1000万人
もの人によって造られたのが黒部第四発電所ダム(通称、黒四ダム黒部ダム)でした。
中でも難関を極めた工事が、後立山連峰の直下を深く貫く全長約5.4キロ、関電トンネル
「80m の破砕帯」突破でした。

掘削途中半ばで遭遇した「80m の破砕帯」は夏でもなお手が凍えるほどの大量の地下水
が噴出する軟弱地盤帯でした。掘削面が崩れたり、大量の泥水や土砂流出に苦しめられ
死を覚悟するほど前進は困難を極めたといいます。工事の遅れ、あきらめと苦悶の日々。

ようやく破砕帯突破に成功し、黒部ダムの建設資材運搬のためのトンネルが全貫通して
巨大ダムが完成した時の歓喜も悲しみも、筆舌を越えるものだったに違いありませんが
しかし、不屈の闘志と人間ドラマに迫る「プロジェクトⅩ」の挑戦者的美談とは裏腹に
当時の工事現場責任者(現在91歳)は、破砕帯に阻まれ工事が進まなくなった精神的な
重圧で円形脱毛症になったそうで、名もなき英雄達も、やはり一人の人間だったのです。


(閑話休題)


立山の直下を貫く立山トンネルと、後立山連峰の直下を貫く関電トンネルは、日本屈指
の山岳観光ルート、立山黒部アルペンルートの重要な移動区間をなしていて、全線地下
トンネルを走るトロリーバス(日本ではこの2路線のみ)が観光時期に運行されている
のは、ご存知の通りです。

信州側出発地、扇沢駅をあとに、黒部ダム区間の関電トンネルをトロリーバスでゆくと
どこまでも続く堅牢なるコンリート壁の一角に、破砕帯を示す青い標識灯を見ることが
できます。工事歴史等を説明する車内放送に耳を傾けつつ、観光トロリーバスは破砕帯
区間を何事もなく通り過ぎていきます。

関電トンネル左右に掘られた水抜き坑には、今でも最大毎分660リットルもの大量の地下水
がゴウゴウと流れているそうです。一般の人がそれに触れる機会はまずないでしょうが
あまりの冷たさ勢いに驚くといいいます。黒部開発の死闘を思うとき、あきらめること
をしない人間の意思の強さに圧倒されるばかりです。そして、長い長い関電トンネル
抜け出たあと、深く急峻な峡谷に造られた巨大な黒部ダムを見下ろすとき、その思いは
さらに強くなります。171 名もの犠牲を出したというダム堰堤近くにある殉職者慰霊碑。
悲しくも壮大だった黒部の開発を静かに物語っています。(合掌)


↓おすすめスポット黒部ダム関連記事(汗)
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Posted at 2009/07/01 22:43:27

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この記事へのコメント

2009年7月2日 2:06
15年以上前に行ったのを思い出しました。
色々乗り継いで料金が結構掛かったな(^^ゞ
コメントへの返答
2009年7月2日 12:00
あ、確かに全線走破、往復とも、それなりの
値段になりますね(^^;

2009年7月2日 5:29
工事関係者の殉職者が171人でしたか・・・

高度成長を支えた電力事情ですがご冥福を祈ります。

一度は行って花を捧げたいと思います。
コメントへの返答
2009年7月2日 12:33
これほどの犠牲者ですから、かなりの難工事
だったのでしょう。

急峻で嶮しい地形にもかかわらず、よくぞ
あのようなモノを作り上げたものだと感心します。

今でも落石や雪崩れの洗礼を受けているようで
補修や施設のメンテナンスも大変そうです。

昭和の英知の結晶、ぜひ見学してみて下さい。
2009年7月5日 16:27
『断層破砕帯』。実は、海面下の津軽海峡を掘削した青函トンネルも貫いているらしいです。それは、この黒部のトンネルマンを初めとして鉄道・道路トンネルの難工事と闘う努力によって世界最長の海底トンネルを掘削出来る技術に我々ニッポン人は昇華しましたからね。お隣さんの経済成長の著しい隣国の方はこんな真似が出来たでしょうか?
ニッポンが海に囲まれている国だからこそ出来たとも言えそうですね。
そして後年、ナポレオンの夢であった英仏海峡を掘削する際に日本製TBMが大活躍したのはこれまたニッポン人の栄誉でしょう。
でも、地中に高水圧が掛かっている中、断層破砕帯が動かない事を折にお祈りしています。現状のコンクリートは安定していると聞いております。遠い将来、コンクリの老巧化で万が一最悪のケースは潜水艦の出水事故の様にピューと海水が吹き出し、開いた穴が大きくなり常時稼働している排水ポンプの排水能力を越えた場合は水没してしまうかも知れませんし。でも、そんなに心配しなくとも…と言われております。在来線のあんなに古い頃に施工された関門トンネルが出水事故を一度も起こしていませんし。(^^;;;
中部縦貫自動車道の安房トンネルも焼岳の火山の側を掘削すると言うのも凄いです。
コメントへの返答
2009年7月5日 23:56
今日本のトンネル掘削技術、掘削マシンは
世界のトップレベルだと聞きますね。

黒部開発当時も、それなりのものはあった
のでしょうが(水抜きとか凝固剤注入とか)
今あるような高性能高速の掘削マシンのない
時代でしょうから、当時の最先端技術でも
破砕帯という魔物との格闘は大変だったん
だろうと思います。

黒部開発、電源開発に付随したトンネルは
大小いろいろ掘られているそうで火山性の
溶解雫が作業用トロッコ鉄路を溶かす高熱
の隧道があったりで、メンテナンス作業員
労働環境は今でも劣悪だとか。かと思えば
絶えず地下の冷水が溢れ出す関電トンネル
の破砕帯付近とて夏場でもジッと立ってる
と体が凍えるほどの気温でしょうから雪に
閉ざされるオフ期間の作業なんかも観光客
には知るすべもなしです。

こと黒部一帯に関していえば、忍者も逃げ
出すような、あの険悪な地形の峡谷沿いに
観光トロッコ軌道だけでなく事業用軌道が
延々と作られているといいますから犠牲の
多さに肯いてしまいますね。(^^;)

安房トンネルのおかげで高山や白川郷方面が
ずいぶんと近くなりましたが、焼岳隣接高熱地層
の影響はどうだったんでしょう?

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