それはある日のこと、ふと何気なく某オークションサイトの「官公庁オークション」を覗いていたときのこと。
ちょくちょくラインナップが入れ替わるのですが、その回の「自動車車体」カテゴリには恐らく差押物件と思われる普通の車や、消防車・ゴミ収集車といった特殊車両に混じって、7~8台ほどの「黒塗り」が公有財産払い下げという形で出品されていました。
大きい物ではセンチュリーもあったような気がしますが、クラウンは130系ワイドボディが数台、150系は1台だけあったと思います。
その中で1台だけあった150系は写真の写し方もあまり上手とは言えず、薄暗い倉庫の奥深くにしまってあったような感じで、紹介コメントも特に書かれていなかったので特に気にもとめていなかったのですが、この1台だけは私の行動範囲内に置いてありました。
官公庁オークションではだいたい「下見会」といって、関係者立ち会いのもとで現物を確認する日が設定されているのですが、たまたまこの車の下見会の日が、私が仕事で近くまで行く日。
少し時間を調整して参加することができました。
元々黒塗りの「はたらく車」が好きだった私は
「後生の記念に黒塗りの車を運転できたらいいや」
程度に思っていました。
さて、迎えた下見会の日
ただでさえ用事がないと行かない県庁という役所の中でも普段行かないような部署を訪ねていくと、「オークション担当」という方は私を待っていましたという感じで車の場所に案内していきます。
車の置いてある場所は写真の感じからどこかの倉庫かと思っていたら、なんとこの県庁の地下にある公用車駐車場。薄暗い従業員通路を延々案内されます。
「今日の下見会は他の参加者は?」と聞いたところ
「あなただけです。というか私も何度か出品していますが下見会に来たのはあなたが初めてです」とのこと
ちなみに申込件数については
「まあ・・・ハハハそれなりですね。」と、はぐらかされ気味
という言葉とともに地下駐車場の扉が開けられると、そこはまさに「黒塗り公用車展示場」
ピッカピカのセンチュリーから現行クラウンHV、セドリックセダンまでもがずらりと並べられていて、いずれもきれいに磨き上げられた様子はハイヤーマニアが見れば天国のような光景。写真を撮ってこなかったのが残念です。
そしてそのお目当ての車は・・・・
やっぱりその車庫の一番奥深く。写真の通り残念ながら本当に埃をかぶっていました。
外周などをみたところ、埃はそこそこかぶってツヤが無いのが心配でしたが、それ以外にはこのときは傷一つ無いように見えて、動作の不具合やエンジンの異音もありませんでした。
自動車管理担当の方から一通りの説明を聞き、たっぷり13年分の分厚い点検記録簿の説明を受けますが、記録簿に書かれている内容よりも、この車の出自はしっかりしているなという印象以上のことは残念ながら自動車の査定をしたことなど当然ない私にはわかりません。また担当氏も下見会の説明などしたこともないのか、特に話しもなく、もう帰ろうと思っていたところ
「乗ってみますか?」と言われたので、ワクワクして運転席に。
とはいっても、車庫内の直線を10m往復しただけ。
これでも「黒塗りのはたらく車を運転できた」と十分満足した気分で帰ってきました。
ところがその日のうちに担当氏から電話がかかってきて
「はやく入札申込書を提出してくださいね」
ここからの流れは普通のオークションとは違い
1.入札申込書を郵送で提出
2.入札保証金を支払う(クレジットカード可)
3.申し込みの受理をメールで通知
4.入札金額をオークションサイトで入力
5.入札締切日に行われる入札結果を確認
6.落札は出品者と取引。落札者以外には保証金の返還
という手続きです。
オークションのように刻々とあがる入札金額を見て進退の判断をするのではなく、締め切り日までに「自分が払える値段」を一度入れればあとは締め切りを待つだけ。
私はこのJZS151の価値を、出品者の見積価格(最低入札価格)の3倍程と提示して入札しました。
もちろんこのとき私はこの車を手に入れようという気持ちはほとんど無く
かといって最低入札価格でタナボタを狙ったと思われるのも癪なので「次点で落選くらいの価格」と考えてみました。
そして迎えた結果公表日
クラウンはいずれも同じような見積価格でスタートしたのですが、そのうち最初に目に飛び込んできたのは見積価格の10倍以上の値がつけられていました。
個人的にはこれくらいのレベルでの取引を予想していたので特に驚きはありません。
続いて最低落札価格で落札されたのが2台
これらはいずれもエアコンやエンジンに不調があると明記されている車
曰く付きとはいえこちらの取引価格の低さの方が私には驚きです。
さて、今回唯一の150系クラウンセダンは、と。
私が入れた金額と同額。
落札者名を2度見しましたよ
この瞬間、私が初めてのマイカー持ちになることがほぼ決定しました。
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Posted at
2011/11/07 23:48:06