ああ、どうも。またお会いしましたね。
さて、前回はどこまでお話しましたかね、あ、そうそうチャイルドシートのショールームに行ったとこですね。
ていうかね、ちょっと小難しい話が入ってくるのでこの語り口はやめますね。
当初は業界大手「コンビ」「アップリカ」の製品を考えていたのですが、とりあえず試着がしてみたかったので他のメーカーも検討してみることに。
というわけで行ってきたのは大阪は本町にある「日本育児」のショールーム。
ベビー用品ではチャイルドシートより階段の柵や小物が主力といった感じのするメーカーです。
おそらく「チャイルドシートの試着」ができるのは大阪ではここだけではないでしょうか(大げさ)。
私がネットで調べて最初に目を付けたのがここの製品「スマートキャリー」
対応表では15系ハードトップに装着可能とありました。
特徴としては赤ちゃんを入れたまま持ち運びができる取っ手つき。ゆりかごにもなるし、専用のベビーカーとドッキングもできる。そして普通は新生児用は4才までの使用を考慮しているところ、1才半までと対象を絞ってそのぶん小型化・軽量化を図っているようです。
まずは近くの駐車場に止めて、地図を見ながら歩いてお店に向かうと、土地柄によく似合ったオシャレなセレクトショップといった雰囲気の店でした。
そして対応してもらったのは私よりちょっと年上のおっちゃん。
スマートキャリー一本に絞って見に行ったので、まず商品の説明を聞き、装着する車種は15ハードトップではなくセダンだと言うと
「そんなに仕様は変わらないとは思うので、大丈夫だと思います。もし良かったら車を回して貰ったら装着してみますよ」
早速車を店の前に回すと
「何か想像してたのと違う・・・」というお約束の反応
そりゃそうでしょう。フェンダーミラーの黒塗りがチャイルドシートを買いに来るなんて想像できる人はいないでしょうね。
しかし手際よくスマートキャリーをリヤシートにセッティングをして、シートベルトを本体に回すと
「あ、これめっちゃ短い」

(※写真は後ろ向きチャイルドシートの装着イメージです)
シートベルトが短すぎて、装着はぎりぎり出来るのですが、外すときにはALR機能が働いて外す事が出来ないのです。
普通、シートベルトといえばこの車で言うと前席と後席左右の3点式、後席中央の2点式があるのですが、3点式シートベルトは普通に引き出すとスルスル出てきて、勢いよく引き出すとロックが掛かります。で、少し戻すとロックが解除されてまた出てきます。これがELR機能といって、普通の3点式には標準的に付いている機能です。ところがもう一つ、引き出している途中で手を止めるとロックが掛かり、巻き取りはするけどいっぱいまで巻き取らないとロック解除がされないというALR機能があります。
この世代の車では標準的に後席左右のシートベルトにはチャイルドシート固定用にいっぱいまで引き出したらELRからALRに切り替わるという「ELR/ALR式」通称「チャイルドシート固定機能付きシートベルト」が装備されています。
普通の1歳児以上用の前向きチャイルドシートを装着する時は確実にロック出来る便利な機能なのですが、今回装着しようとしている製品は後ろ向きのため使うベルトの長さがかなり必要で、普通にベルトをいっぱいまで引き出して通すと、自動的にALRに切り替わって、チャイルドシートをグイグイ締め上げて、結果ベルトに余裕が無くなってチャイルドシートを外す事が出来ないというもの。
余談ながらこのALR機能、子供がシートベルト着用中に遊んでいるうちにALRモードに入れてしまい子供をグイグイ締め上げて窒息したなんていう事故が起こったりしたので、クラウンでは次の17系初期車ではISOFIX非対応でも全席ALR機能のないELRシートベルトになっています。
それだけ昔に廃止された「チャイルドシート固定機能」なものですから、メーカーも最近はALRを見越して設計していないようです。逆にALRがなくてもちゃんと固定出来るように設計されています。
しかも15系が出たときはチャイルドシートが義務ではなかった時代。自分で座れる子にはチャイルドシートをあてがっても、首も据わらない乳幼児はカゴのまま乗るかお母さんが抱いていれば大丈夫という発想だったのでしょうか。それとも後ろ向きチャイルドシートが高機能化で大きくなってシートベルトが足りなくなったのか・・・
話を店に戻し、ショールームのおじさんがリヤシートで格闘すること小一時間
どう装着してもやっぱりALR機能のせいで縛り付けられた本体が上手に外せません。
縦にしたら外せるのですが、それでは中の子供が落ちてしまいます。
横に振ったら外せるのですが、それも中の子供が落ちてしまいます。
「やっぱ無理ですね。」
「取り付ける方法はあるのですがメーカーとして推奨できる方法ではないので、メーカーの者としてそれは試せません。」
そうですか、それは残念です。他をあたってみますと帰ろうとすると
「逆に試してみたい製品がもう一つあるので、もう一度チャンスを下さい。」
おじさん、プロ根性に火が付いたのか、OEMで別の会社に出している製品だけど持ってくるというのです。
後日またお店を訪問。
今度用意されたのは「0-4才用」のちょっと大きい製品。
普通の人がまず選ぶ年齢幅のチャイルドシートで、1才までは後ろ向き、その後は前向きにして使うというオーソドックスな製品です。
前回のスマートキャリーよりやはり大きく見えますが、ベルトの通し方が違うので、短く済むかもしれないとのこと。
まず普通に通すと・・・やっぱりダメどころかシートベルトが全然届きません。
大きさが違いすぎました。
ところがちょっと知恵の輪のような動作をすると、見事に装着できました。
「やっぱり推奨される方法ではないけれど、これは違法ではないし、ちゃんと固定されています。」
けれども、やはりそこはメーカーさん、自分では納得していない様子。
私もこれだといってスマートキャリーを見に来たのに普通の製品をオススメされても・・・と遺恨を残す格好に。
これがダメならと、他社製品の対応表を調べてもらったり、メーカーさん目線でチャイルドシートの選び方まで教えてもらっているときに
「いやまてよ」
と何か思いついた様子。
ふたたび車に最初のスマートキャリーを持ち込んで、装着を始めました。
今までは「あらかじめベルトを引き出して通す」という固定概念が先にあったので、一気にベルトを引き出して設置したので、結果的に引き出しすぎてALR機能が作動して縛り上げることになっていたのですが、逆にALRモードに入らないようにそろりそろりと引き出しながら通してやればいいんじゃないかと。
この作戦が大成功。
ぎりぎりALR機能が入らずにチャイルドシートを設置することが出来ました。
のべ2日間も日本育児の店員さんにはお世話になったので
「今買って帰ります!」と言ったところ。
「いや、ここでは売ってないです。ヤフーとか楽天とかアマゾンで売っているのでそっちで買ってください。来月だったらセールでポイントつきますよ。なんとかホンポの会員とかならそっちで取り寄せてもらったらポイントが付くだろうし」
おいおいこんなに苦労かけたのに売る気が無かったなんて・・・なんていい人なんや・・・