
「悪魔の音程」とは不気味な名前ですが、説明します。
ちょうど目の前に、ドレミのドから始まる1オクターブ分の長さの弦があったとします。そのちょうど真ん中を押さえると、ファとソの中間の音が鳴ります。この音(ファ#)と、ドの音が、「悪魔の音程」という関係になっていて、これを同時に鳴らすと、非常に不安定な不協和音が鳴ります。正しくは、「トライトーン(三全音/増四度/減五度)」と言うそうです。
「悪魔の音程」、「音楽の悪魔」という名前は、この不安定な音の響きからとも、あるいは、中世の声楽でこの音程を出そうとすると、非常に音をはずし易くて、正確な音程を保つのが難しかったからと、どこかで見たことがありますが正確にはよく分かりません。
この不協和音、皆さんもよくお聞きになったであろう、緊急地震速報に使われています。何度聴いても薄っ気味悪い嫌な音ですね。
ご存知の方も多いと思いますが、これ実はジミ・ヘンドリックスが多用した事で有名な「ジミヘンコード」が使われています。「ジミヘンコード」はその中にトライトーンを含む和音ですが、その和音と、それをそのまま半音上にずらした和音を繰り返すことによって、この不安を煽るような警報音を作っているわけです。
「ジミヘンコード」は、緊張感を含んだ和音ですが、上手く使えば、カッコいい感じになります。ジミヘンがこのコードを使った、初期の代表作が「パープルヘイズ」です。有名なリフが終わった後にかき鳴らされるギターの音がそのコードです。
なんですが、実は冒頭からトライトーンが使われています。一見、ただのオクターブの跳躍と思いきや、ベースとギターが、トライトーンの関係(ミとシ♭)になっていて、独特のただならぬ雰囲気が出ているわけです。この発想は天才ならではですね。
トライトーンを使ったロックの有名曲というと、レッドツェッペリンの「移民の歌」がまさにそうです。ファ#のオクターブ跳躍のギターのリフを背後に、シャウトするヴォーカルの、「アアアーア」の「アー」の部分がドの音で、ギターとヴォーカルの関係がトライトーンになってます。それであの不気味な感じが出ているわけです。
同じくレッドツェッペリンの「ロックンロール」での、冒頭のドラムに続くジミーペイジによるギターリフも、トライトーンを多用したもので、こちらは格好よく決まっています。
他の有名曲というと、ディープパープルの「スモークオンザウォーター」があります。あの冒頭のカッコいいギターのリフ、「ダッダッダー、ダッダッダダー」の最後の「ダダー」の重音部分にそれが隠れています(ソとド#)。これ重音だからこそ、トライトーンになっているのがポイントです。単音で弾いてみると、つまらなく感じるのはそのためです。
ロック以外で、日本の曲の例を挙げると、「ズンドコ節」があります。「ズンズンズンズン、ズンズンドッコ」の部分にトライトーンが上手く使われていて、独特のスリリングな感じが出ています。
最後に菅野よう子作曲の、「TANK!」を挙げときます。SFアニメ「カウボーイビバップ」のテーマ曲です。アメリカ人は、この曲が好きみたいで、YOUTUBEにプロ、アマチュアを問わず演奏がいろいろアップされています。
ベースのリフが印象的ですが、これの、「ダーデッダ、デ、ダーダラ」の1番目の「ダー」(ド)と2番目の「ダ」(ファ#)が、トライトーンになってます。それが緊張感のある格好いいリフになっている理由のひとつだと思います。
他にも探すと、トライトーンが隠れている名曲がいろいろと出てくると思います。(^^)
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Posted at
2013/04/10 15:14:45