2012年08月21日
続いてスワップ協定の誤解について書いてみます。
全体的な流れでいきましょう。
韓国関連は色々書いていますので、根本的な原因が、内需と為替のファイナンスによるスタグフレーション(不況)の輸出だとは理解出来るかと思います。
この韓国の経済成長の構造的な参考は
ー1997
アジア通貨危機
アジア通貨危機の原因となった、新興国の新たな成長戦略、高金利と長期ドル安トレンドを利用した外資の呼び込みですね。
これは新しい手法でした。
『当時の為替状況を利用した、経常赤字の経済成長へのファイナンスです。』
「安定した高金利」を維持すれば外資が来て経済成長する。
経済赤字に使うドル建ての借金はドル安によってどんどん値減りする。
リスクの少ない財政ファイナンスの手法ですね、少し前の記事で書きました。
ドルの状況が変わり、リスクの高まった経済成長戦略をヘッジファンドが攻撃したのが、アジア通貨危機です。
アジア通貨危機で外資に乗っ取られた韓国の財閥(及び財閥に逆らえない韓国政府)はこの財政ファイナンスの上に、さらに新しい負の経済成長の手法を見つけます。
「雇用規制緩和と金融緩和による」内需のファイナンスです。
具体的には、この内需のファイナンスこそが
「ダンピング」による不況の輸出だったのです。
※スタグフレーションの近隣国への波及効果
この不況の輸出は、外貨準備金の量を調整するスワップ協定とは別の観点になります。
ダンピングによって得た利益を外貨準備金に移せという話ですが、法人税云々は内政干渉になり、
都合の悪い事に、帳簿上にはしっかり潤沢な外貨準備金が用意されてるんですよね。
ここら辺はオトナの倫理(笑)(笑)
では、日本政府としてスタグフレーションの波及効果を止めるには、どうすれば良かったのか。
同じような状況から抜け出すために、各国が動いた例が過去にあります。
これが、1929年からの世界恐慌に対して行われた、1930年代の「ブロック経済」です。
関税障壁によるスタグフレーション(orデフレ不況)波及の阻止ですね。
世界恐慌に学ぶ事は多いんです、ブロック経済は失敗と言われていますが、
この不況を輸出する韓国と、競合関係にある経済圏は、約20年もの間デフレに悩まされる事になりました。
・「失われた20年」
説明を長くしてもしょうがない、ニクソンショックとオイルショックの影響からようやく抜け出し、止まりようのない過熱景気にあったアメリカの金融規制の一貫であるドル高対策のプラザ合意は
円高となって日本の国際競争力を奪いました。
「途上国と国際競争力の拮抗してきた」1990年代から、為替から景気への影響が顕著になります。
仕事は無いがカネはある→こ状況が実態のないバブルの成長へと発展しました。
余ったカネを膨らませて、失ったのがバブル崩壊です。
一見してプラスマイナス0に思えますが、(過熱景気で失った貿易赤字は除いて)この分配は等分には行われませんでした、
この負の遺産が「不良債権」です。
これ以上のバブルの話は脱線になりますから割愛。
プラスマイナス0から原点である製造業に戻るハズの日本に襲いかかったのが、韓国による不況の輸出でした。
※リーマンショックまではキャリートレードによる円安で少しバランスしていました
一方で、失われた20年の間、日本政府はバブル崩壊の経験を生かし、バブルの過熱を尽く潰してきましたが、
財界は、製造業の構造的不況を無視し、健全的といえる金融の引き締め行為を批判し続けていました、その典型例が左翼の主張である、金融立国です。
そしてリーマンショックを契機に先進国の現実的な金融立国の道が潰えた上で、
キャリートレードの解消による円高と、バランスのとれなくなった韓国による不況の輸出が、日本の製造業を同時に襲ってきたのです。
・スワップ協定の誤解の責任は韓国政府にある
通貨安政策を進めて来たともされる韓国政府の内需のファイナンスの手法は、真っ黒とは言えません、グレーゾーンでの非常に上手いやりくりでした。
※韓国国内は不況になりましたけど(笑)
グレーゾーンでの上手いやりくり言えば、ホリエモンこと堀江貴文さんです。
ライブドア事件のように、真の問題はグレーゾーンのやりくりが、まさに全体のシステムにまで波及しようとした時に提起されます。
それが2008と2011の韓国での通貨危機、及び日本の製造業の大不況、そしてデフレによる内需の不調だったんですね。
このために、ヘッジファンドによる通貨危機を未然に防ぐためのスワップ協定が、不況を輸出する韓国のデフォルトを防いだとして、ネットでやり玉にあげられてしまいます。
・悪いのはどう考えてもスワップ協定ではない
さて、この通貨スワップ協定、日韓だけの協力ではなく、全体で見るとASEAN中心の金融安定のための多国間で組まれた協定です。
皆さん、この事はご存知でしたでしょうか?
前々回の記事でもやりました、スワップ協定は援助ではない。
そして、スワップ協定の破棄は、国際金融安定のシステムへの攻撃の示唆である。
そして、第一として原因を取り除かずに、不況は終わりません。
スワップ協定への攻撃は対処療法にもならない選択と言えます、むしろ、韓国発の通貨危機は不況を大幅に拡大させるかもしれません。※金融不安かつWW1ドイツ発の不況の焼き増し
日本政府の領土問題とスワップ協定の影響は、意義としても対処としても間違った外交と言えます。
・ブロック経済の再評価をするしかない
グローバル化の問題点はいくつかありまして、
不況の輸出云々を韓国だけのせいにしてはいけません。
安い人件費の利用は途上国にも当てはまります。
今回の記事で書きました、国際競争力が拮抗してきた場合に、為替は景気に反映しやすくなる。
拮抗してきた上で人件費の競争にまで及ぶとなると、これは過当競争の範囲になります。
この人件費競争を抑制しなければ、不況は解決しないのです。
ブロック経済のマクロ評価には、人件費の競争による低下は入っていません。
今の不況から脱するには、スワップ協定への攻撃ではなく、ブロック経済の再評価からの、経済での国際協力しかないのです。
これが出来なければ、不景気によって世界各地で紛争が起こるでしょう。
この記事の構造はドイツ賠償で繰り広げられた
ベルティル・オリーンとケインズの論争
でのケインズ側の主張に似ています。
経済は協力なんです。
協定出来なければ、産業単位で不況が波及し、みんな困るんだと。
貨幣中立説をやっていませんが、次の記事ではブロック経済についてやってみましょう。

Posted at 2012/08/21 20:09:03 | |
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