つまり誰しもがハタハタを想う

連日漁港がお祭り状態だ
漁する人、手伝いに来る人、もらいに来る人、
荷受け→競りをする人、それで商売する仲買、運ぶ人間
釣りに来る人、買いに来る人…

24時間、ありとあらゆる人間がせわしなく動き回る

ハタハタの選別作業中に売ってくれなんて来る人もいる
横流しは禁止ですよー


全てはハタハタを想う気持ちが原動力となっている


さすが県魚だ
誰もが身を粉に労を惜しまずハタハタを求める
トランス状態と言っても過言でないな


ただね、周りのことも見て欲しいんだよね…

漁港って、漁協職員とか漁業者、水産業者の仕事場なわけよ
よく、漁港は漁師のものじゃないとか、漁師が我が物顔で占有とか言われる
別に公共の場だから釣りしたり何したりしても良いんだけどね
むしろ公共の場だからこそ、好きな場所に車停めて好き勝手釣りするべきじゃないよね

この手の件をググったりすると、漁師はすぐ怒るとか目くじら立ててくるとか書かれてる
なるほどその通りだね

怒られた側にとっては、車がちょっと邪魔になったぐらいでいきなり怒鳴り散らされたと感じるだろう
でも、怒り爆発させた側は、同じケースが重なって徐々にボルテージ上げられてるわけよ

寝る間も惜しんで仕事して、いくらも寝ず夜中に起きてまた忙しい一日が始まるって時に、仕事場に車が停められないとかどうよ
今岸壁に船留めるって時でも、船に竿ぶつかるまでボーっと釣りされたら？
係留ロープ取ったらサビキの針が絡まってて手に刺さったとか、
仕事終わって疲れて、束の間の休息をとりに帰ろうとして、車出れませんなんて

そりゃ誰でもキレるわ


漁協職員だって怒る
漁師が獲ってくる大量のハタハタを、決められた時間に競りを開けるよう段取りしないといけない
仲買やトラックの運ちゃんも、決められた時間までに市場に届けられるよう、急いで出荷作業しないと行けない

そんな時、道路にはみ出して車停めたり、漁協の庭先で釣り道具広げたり
クッソ忙しい中ヨチヨチ歩いてきて「ハタハタ売ってくれますか」なんて、

そりゃみんなキレるわ笑





今日は荒天で底引きはお休み
陸でハタハタ獲るよ

底引き網のハタハタ、さくるどの船は今季の漁獲枠いっぱい獲ったのでもう終わり
他の船はまだ枠残ってるそうだが、陸で季節ハタハタが始まれば底引きのハタハタなど二束三文になるので、高いうちに枠こなすのがベター。穫れるならね

さくるどが陸でやってるのは、「わかべ網」と呼ばれる、小規模な定置網みたいなもん
移動したり撤去したり網入れたりが割と自由自在でその気になればどこにでも設置可能

回遊するハタハタを、左右に広がる袖から追い込んで袋状になった網に誘い込む方式
袋状になった網を手で引っ張り起こしてケツまで追ってやり、タモで少しずつ船に汲み取る




手で引き起こすと言うと簡単そうに聞こえるが、場所が良すぎるのか、魚が入りすぎる
大の大人5人で引っ張っても網を起こせないのだ
片舷から引き上げるため、転覆しそうなぐらい船が傾げる

あれこれ試行錯誤し、時間と労力をかけなんとかハタハタを汲んできた
あと10cmも喫水下がれば船沈めるってことまで頑張った笑
わかべ網としては、こんだけでもかなりの漁だが、これでも船に積みきれず半分放流してきたんだ

小さな漁港の一角で、2,3時間網の口広げただけでこんなに穫れる
ハタハタって凄まじい…


さくるど達の陸でのハタハタ漁は、「時化で沖に出れない12月の暇つぶし」を自称してるので、だいたい昼かちょい過ぎぐらいにはやめる
漁や値段が良くてなんぼでも金になる時は楽しくて昼夜動くが、あくまで遊びだ




ハタハタのお礼で頂いた、「ししとう味噌」
ご飯かキュウリにつけてねって言われたので、長芋につけて食べてみたら美味い
南蛮味噌とはちょっと違う、ししとう独特の味がクセになる！

ハタハタの激安につき明日は稼働しないことになったので、
うふふ本日はいつもより多めにうふふ


多忙ゆえ家は散らかる一方
やりたいことも溜まる一方

でもこの時期になるとつくづく思う

忙しくて楽しいと思えるなんて、これは天職