7月1日
さくるどの誕生日でもあり、素潜り漁の解禁日でもある特別な一日
5:30からもうハッピバースデーメッセージが届いた。LINEで。母親から。
母親にとって、苦痛に耐えてさくるどを産んだ日は、さくるどが「自分の誕生日」と自覚する以上に特別なのだろう。子供を産めない体なのでその辺は理解できないけど、、あんたの息子で良かったよ
でもね、それどころじゃない
今日はアワビの解禁日
海に潜らにゃならんの
今までは底引き網のいち乗組員で、捕れても捕れなくても仕事してりゃ決まった給料もらえてたけど、これからの2ヶ月はちがう
獲らなきゃ金にならんの
完全歩合制。能力が全て。
底引き網の船頭も、毎日がこんな気持ちなのかな
自分だけじゃない、俺達の生活も背負ってるんだもんな。プレッシャーやばいだろう
過酷な初日で画像がありません
どんよりとした空で時折小雨が降る
潜ってりゃどうせズブ濡れなんだから、雨はどうでも良いんだけど、海が濁ってる
4,5mぐらい潜ればクリアな視界だったんだけど、水面での視界はゼロだ
底が見えない。狙った場所に潜れない
潜って探して、苦しくなって浮上する間際にアワビを見つけても、潮とかで体が流されて、息吸って次に潜った時には同じ景色じゃないんだ
澄んでる時ならアワビ見つけたら一度浮上して、息整えてから潜ってとるんだけど、濁ってる時はそうはいかない。見失う確率が高いので、一発勝負なんだ
浮上直前にアワビ見つけても、デカそうなら無理して獲りに行かなきゃいけない
でもその辺のマージンの管理は無意識に出来てるんだろうな。生きてる者の本能なんだろう。意外と無理が効くもんです
「あー、あー、もうやべぇ」と思ってから必至に水面まで浮かんでも、ヤバくて心拍数は上がるが死ぬことはない
でもやべぇ時はおしっこ出ます。失禁なのかね
ウェットスーツの中ではおしっこは垂れ流し。基本なの。
10ヶ月ぶりにヒトに獲られるアワビたちは平均的にサイズが大きかった
去年の解禁日に潜って見事に空振りしたポイントに果敢に挑んだのだけれど、満足の行く漁ができた。
嬉しかった事が2つ
狭くて底の深い岩の隙間にでっかいアワビが居たんだけど、ああこれ無理って思って諦めた
去年岩の隙間に体ねじ込んで割とヤバイ体験してるんで、無理はしないの
でも泳ぎ回ってるうちにまた同じアワビ見つけたのよ
濁ってどこ泳いでるか正確に分からないけど、同じ隙間に同じアワビがいた
多分うまく剥がしても底に落ちて拾えないけど、やってみようか
すばやくガッと剥がし、なさし(アワビ剥がすヘラみたいなの)を左手に持ち替え、岩の隙間に体入れてアワビが落ちる前にシャッとかすめ取る
とれた…!
この日一番デカいアワビがこいつだった。リスクに見合う獲物だった。
もう一つ嬉しかったこと。
今回潜ったのは個人的に潜りやすいお得意ポイントなのだが、さくるど以外にもお得意様がいるんだ。
鯛。
泳いでると4,5匹の真鯛が寄ってくる
8月頃になればどこからか黒鯛も来る
ちっさいアワビ、ホントは獲っちゃいけないんだけど、獲って殻から剥がしてポイってすると、ゆっくり沈んでいく訳だけど、それに群がるわけだ
ヒトを警戒して一定の距離は保ちつつも、届かない距離をキープしつつアワビめっちゃ食う
デカい鯛が強い
隙きを見て小さい鯛がすかさずアワビ食っても、デカい鯛に追い回された挙げ句、観念して食ったアワビを吐き出す
そしてデカい鯛がぶん取る。弱肉強食だ
で、嬉しかった話に戻るが、去年よく餌付けしてた鯛
お腹の白い部分、左腹に黒いシミのある鯛
おんなじ鯛がいたのです。
割と感動した
暗い海に潜る孤独な素潜り漁
一緒に泳ぐ鯛は、言わばお友達に近い
鯛とかみても、「ああ鯛か」としか思わないんだけど、去年と同じ鯛ってのは嬉しい
さくるどの親友です
なんとか規定の30個とれた
さぁさ、水揚げして家に帰ろう
生産者とはいえ、自家消費分であっても規定数以上にアワビを捕ることは密漁になる
自分で獲っても全部漁協のもの。食いたいなら買わにゃならんの
ペッ
あわびの水貝
でも食うんだ
高いが、美味いんだ
サザエ刺し
サザエも食うんだ
ちょーうめぇの。
ところで、初日のアワビの値段でしたが、キロ6300円と、去年より4割程安い
人生詰んだか…?
Posted at 2020/07/02 05:51:00 | |
トラックバック(0) |
採集・釣り | 日記