
皆様お久しぶりでございます。
最近凹む事が続き、意味もなく阪奈道路や六甲山を疾走することが多くなりました。月曜日の深夜4時頃ぶっ飛ばしがてら阪奈を越えて遅くまで開いているラーメン屋に一人で行き、満腹になって帰ってくる道中の出来事です。
曲がりくねった登りを相当なスピードで抜け、UKの足回りの良さに心底惚れ直しつつ、嫌なことも全て忘れて運転に集中していました。それは恥ずかしながら私にとって至福のひと時であり、危険行為を正当化するつもりはこれまでもこれからも全くありませんが、これがないと生きていけないとさえ思っていたのも事実です。
百楽(阪奈の頂点にある中華料理屋)と信貴生駒スカイラインの入り口を通り過ぎると、緩やかなRを描く下りカーブに差し掛かります。そこをかなりのスピード超過で走っていたときにそれは起こりました。リアがムズムズとスライドし始め、無意識にカウンターを当てて必死にそれを押し殺そうとしていました。無事に車が直進状態に戻ったのとほぼ同時に、いつも気にしていた轍にステアリングを取られ、車は全くコントロール不能な状態に陥りました。サファリというラブホテルを過ぎた緩い右カーブで、ステアリングを右方向に取られ、私のUKはテールを振り出しながらコンクリート製の中央分離帯に吸い込まれるように曲がってゆきます。衝突の寸前にチラッとスピードメーターが見えました。数字は読めませんでしたが、針は12時の辺りを指していました。これはだめだ、死ぬ、とその時思ったのをよく覚えています。一瞬で、私は全てを諦めました。
衝撃の後、ややあって(実際には0.3秒程度だそうですが)ボンという音とともに視界に白い袋状のものが飛び込んできました。それに身を預けた瞬間、奇妙な安堵のような感情とともに、「この心地よい袋に埋まって死ぬなら、それも悪くない」と思いました。異常に冷静で、極度に興奮していて、それらが矛盾なく私の意識の中で両立していました。
車が中央分離帯で弾かれる様にして、横滑りしながらコーナー外側に達した時、私は自分が生きている事を実感しました。車は後ろを向いて、最初に接触したのとは反対側の壁に刺さっています。スイッチに手が触れたのか、ワイパーが勝手に動いていて、また半ドアの警告音が車内に響き渡っていました。当然ルームランプも点灯しており、自分の前方にある二個のエアバッグと、散乱したCD、そしてその他に普段と何等変わった様子のないインテリアを、ひときわ明るく映し出していました。
次第にエアバッグを膨張させた火薬の煙が車内に充満し始め、全ての窓を全開にして初めて、外に出なければ、と思いました。車が停止するまでの冷静さとは打って変わり、明らかに動揺していました。ドアを開け、ハザードランプを炊き、携帯電話の充電が切れていたので通りかかる車に助けを求めました。一台の軽自動車が止まってくれた事、携帯電話を貸して頂き警察と保険会社に連絡を取った事、危険防止の為に使った発炎筒がものの五分で燃え尽きてしまった事、ハザードが消えヘッドライトが次第に暗くなってゆく様が物悲しく映った事、後続車が寸前で回避していった事、警察の方が来るまで心細かった事、レッカー車に乗せて頂き最寄の駅まで送って頂いた事、そこで捕まえたタクシーの運転手さんが事故現場を通り過ぎていた事、私が車を降りてから覚えていたのはこの程度です。
首に違和感を覚え、病院に行ってきました。それ以外には治まっていたヘルニアが少し再発した程度で、打撲や骨折、傷などの外傷は一切ありませんでした。
事故車両から車載品を引き上げにも行きました。明るい太陽の下でみたそれは、ラーメン屋の窓越しに見たUKとは別物でした。自分が起こした事故がどれだけ重大なものだったか、反対に、怪我をしなかったことが如何に奇跡的だったかを、思い知らされました。
その日の夜、私は眠ることができませんでした。自分が得意になって常態的に暴走行為を繰り返していたことに対する恥ずかしさと、今回の事故でもし他人を巻き込んでいたら(その可能性は非常に高かったと思います)という恐怖と、命の次に大事にしていると公言していた愛車を自分の考えの無さ故に失ってしまったという後悔、そして事故を起こした時の映像が、間断なく頭を駆け巡り続けていました。
今は、事後処理が少しずつ進んできて、多少の落ち着きを取り戻しています。変わらず首と腰は痛みますが、日常生活に支障が出るほどではありません。いつもお世話になっている板金屋さんにも、UKを探して欲しいという旨を伝えました。何だか、あの日の事故が少しずつですが、自分から遠ざかってゆく気がしています。
この長い長い文章は、私自身がこの事故を記憶にとどめておくために書きました。読んで下さった方、心配して下さった方、本当に有難うございました。そして、申し訳ありませんでした。次の車が見つかるまで、新しい記事を投稿する事は無いかもしれませんが、皆さんのブログは拝見させて頂きたいと思っております。大馬鹿者ですが、これからもお付き合い頂けたら、それだけで私は幸せです。
Posted at 2006/07/12 02:31:33 | |
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