秋の休暇を利用して念願だった
黒部峡谷 下ノ廊下
を歩いてきました。
無事に帰還できてホント良かった…
何度死にかけたことか
「あぁ、生きてるってスバラシイ」
振り返れば心からそう思える旅でしたw
結論から言うと
「二度と歩きたくねぇw」なんですが(笑)
今回の旅は
日程、体力、資金wに余裕を持って出かけました。
21日の早朝に静岡を出発して昼に扇沢へ到着。
OBを無料駐車場(一番上だけがなぜか有料w)へ停めてしばしのお別れ。
15分ほどトロリーバスに乗って黒部ダムに出ました。
プロジェクトXの世界への誘いです。
(でも周りの観光客がTAIWAN,KOREAばっかり汗)
やっぱり流れてる
「地上の星」しかもリピートw
写真を撮ってそそくさと
ロッジくろよんへ向かいました。
今回は用心してツェルト、シュラフ、自炊道具を携行したので
ほとんどテント泊装備なのですが、楽したいが為に
小屋に泊まりました。
初めての小屋泊まり。
しかも相部屋…ムサクルシイwおっさんだったら嫌だなと思いつつ風呂に入って夕飯。
隣に座ったおっちゃん、中津川の木工職人さんでした。
毎年下ノ廊下へ来ている
ベテランでした。
初めての登山で剣岳を長次郎尾根から登ったことを話したら盛り上がってしまいました。
結局、その方と相部屋ということが食事後に発覚w
部屋に飾ってあった写真がこれまた
剣岳の写真w
幸先の良いスタートでした。
宿には他に団体が20名程、翌朝は5時に出発とのことだったので先行で出発。
同室のおっちゃんは4時過ぎには出発していました。
トロリーバス乗り場まではヘッドライトの明かりを頼りに進みます。
誰もいない乗り場を通過してダム下へ出ました。
真っ暗な下り道は結構危険。
殉職者の慰霊碑の事が頭に浮かんだりして…
まだ薄暗いダムを見上げますが
観光放水が終わり静寂に包まれた夜明け前の黒部川は気味が悪いくらいでした。
高感度に弱いD2Hじゃこんなもんです涙
下ノ廊下は正式には今年も未だ開通していない為、
危険を覚悟で歩かなければいけません。
あくまで自己責任の世界なので一般ルートとは呼べません。
この先は経験のあるリーダー同伴で行くべきで
単独行はできるだけ避けたいところです。
(自分が言うのも何なんですが…)
しかし途中まではなんてことないルートなのです。
あくまでも途中までは…
すっかり辺りも明るくなってきて見事な紅葉が気分を盛り上げてくれました。
しかし、それもつかの間。
いよいよ核心部へと進みます。
この辺りはまだ川からの高度が低いので落ちても何とかなるかもしれませんが…
単独で進むにはだんだんと不安になってきました…
危険な場所を通過すると普通の登山道となり、
秋の山歩きを楽しませてくれます。
黄葉の絨毯が実に見事。
遠くに滝も見えて
登山道の直下には雪渓が残り、カエデとのコントラストが素敵です。
先は長いです。
気を抜いていたらこんな高巻きが現れました。
実にやっかいなのは背中の荷物と一眼レフ、
そしていつもは装着してない望遠レンズを入れたウエストバック。
こいつが邪魔をして黒部川の藻屑となるところでした。
もう帰りたくなるようなドキドキの連続。
既にコース中盤まで進んでしまったのですが…
もし戻るとなるとまたあの高巻きが…涙
更に崩落したスノーブリッジを急いで通過。
一安心した時、前方から人が来ました。
小屋のお兄ちゃん。
先ほどの崩落現場で登山者を見守るとのことです。
ありがたい。でもちょっと遅かったなぁw
川からの高度も上がってきたところでまた見事な秋景色。
気を抜くとまたこれです。
2回目のこれ。涙モンです。久々に味わうこの得体の知れない恐怖感。
緊張で既に足が攣りそうでした。
十字峡へ到着し、ようやく大休憩をとりました。
既に身体中が緊張でおかしくなっていました。
いつもの登山とは明らかに違う状況。
ずっと恐怖で歩き続けている感じです。
なんてことないこんな橋も慎重にならざるを得ません(涙
下ノ廊下クライマックスは長めの吊橋。
これもスタスタと歩けばいいのに今回は駄目です。
足が前に進みませんでした(汗
途中で写真を撮る余裕もありません(冷汗
登山道の途中、関西電力の施設内を通過します。
ちょうど昼休み時間で、工事のおっちゃんが紅葉の撮影をしてました。
いい所で働いていらっしゃるw
ここで業務用車両のトンネルと交差します。
この反対側が高熱隧道(ずいどう)165℃の高熱岩盤をくり貫いた難工事の場所とのこと。
小説は敢えて読みませんでした。
今でも硫黄臭の熱気が凄くてレンズが曇ります。
多くの犠牲で成り立っている「現場」なんだと痛感。
先人に感謝しつつ、阿曽原温泉へ進む。
しかし、関西電力の宿舎横からが急な登り!
緊張続きの8時間歩行の疲れから脹脛に今までに無い痛みが@@
ぐったりしながら小屋に到着したは13:30でした。
11年ぶりに見た小屋のオヤジは白髪交じりのおじさんになってました。
でも相変わらずぶっきらぼうだけど豪快な笑い声が印象的。
部屋は定員超過するかもしれないとのことでしたが
普通に泊まれました。
温泉に浸かりビールを飲んで一服。
この温泉は開放的で登山中の風呂としては最高だと勝手に思っている温泉ですw
観光ではこれないからいいんだろうなぁww
夕飯は当日の宿泊者が定員近いこともあり、カレーとなりました。
人が少ないと季節のてんぷらとか出るそうです。
ハズレだなと思ったのですが、意外と
ウマイんです。
7杯食った輩もいるとのことでしたが2杯で満足でした。
今年でオヤジの実家の米作りは減反につき中止らしいです。
「今年で最後なので沢山食ってくれ」との言葉に翌朝もご飯お代わりしましたw
何もかも最高~~
当日は山岳写真家の佐伯邦夫先生夫妻が泊まっていて2009年山のカレンダーをしきりに「営業」してましたw
しかし、奥さんの撮ったカレンダーの方が売り切れてたのはご愛嬌かW
昨年は白籏史朗先生に涸沢でお会いしたし。
いよいよ山岳写真に目覚める時が来たのかも!!
なんてことはありませんw
部屋に戻ってから茨城の元農協組合長さんと山談義に花咲かせて熟睡しました。
50年前の北海道の話、砂漠の旅の話…為になりましたよw
小屋泊まりは意外と面白く、話が尽きることがありませんでした。
テント泊の楽しさも捨てがたいですが、たまにはこうした出会いも有りなのかもしれないなと思ってみたり。
8時前に就寝。
気がつくと午前2時…雨音が聞こえ
翌朝にはかなりの雨量に…
6時に朝食を済ませて雨が止むのを待っていたら…
7時過ぎに止みました。
オヤジから「気をつけてな、丸太が滑りやすいから!」と声をかけてもらい出発。
「また来ます、絶対にね。」
いつもテント専門の自分ですが、
何となく小屋利用のリピーターが多い理由が判った気がしました。
やっぱりここはイイ小屋なんだなぁ~
30分ほど登って振り返ると小屋の全景が見られました。
2日目は以前歩行した事のある道なのでたいしたことは無いんだろうと思っていましたが、嫌なことは忘れるものなのですね…
すっかり記憶から飛んでました。
ゴールの欅平が遠くに見えているのに…
こんなに紅葉が美しいのに…
またしても恐怖に苛まれつつ歩行するのでしたw
でも、何やかんや言っても
水平歩道が終わってふと見上げた景色には
秋の山が微笑んでくれていたのです。
最後の急坂を駆け下りて(既にピヨピヨですw)
無事に欅平到着。
待ち時間無しでトロッコの「3等客車」に乗り込み宇奈月温泉へ。
近くの公衆浴場に浸かり、間違って隣のおじいちゃんの石鹸を使ってしまいましたが、貸切風呂みたいな温泉を味わって富山地方鉄道で本場の「地方」を感じて魚津に出ました。
魚津でうまい物を…と意気込んでたのに足が動かねぇし、金欠の為、スーパーで地物の刺身と酒など仕入れてホテルで気持ちよく酔いつぶれたのでした(汗
翌朝は鈍行で糸魚川経由南小谷~信濃大町下車の各駅停車の旅でした。
バスで扇沢に戻り雨の中OBに乗り込んでJAZZを聴きつつ紅葉の中ドライブしながら帰宅しました。
途中、ふらっと立ち寄った蕎麦屋のBGMがこれまたJAZZ…スバラシイw
天気に恵まれ、人に恵まれ、すっかりリフレッシュできた文字通りのリフレッシュ休暇なのでした。
5年間頑張ったってことだなW
この間、日経平均続落だの円高だの世の中が急速に変化していることも蚊帳の外で過ごせたのは善いか悪いか???
まぁ、言えるのは
「生きてるってスバラシイ」ってことですw
今回のメニューはこちら
自炊無しw
今回の乗り物はこちら
OBの乗り心地が一番いい事に気がついたw
電車の旅はもう懲り懲りww
5年後…また新しい出会いがあるといいなぁ。