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桜の花の季節になると近所の神社へ桜を見に行っていた。
桜の木は３本ほどだが、とても立派な木で、道を覆うように桜のトンネルができる。
トンネルの中でなが～い生き物を連れて散歩してた。

３週間前、病院の先生に『もう長くは無いでしょう』と言われた。
わかってたんだよ。心の中では。
もう長くはないことを。
でもそれを確かなものにしたくなかったんだよ。先生に断言されたくなかったんだよ。
命の長さなんて誰にもわからないし、有り得ないけど「もしかしたら・・・」ってやっぱり考えちゃうんだよ。
”でもね、先生”って否定的な事を考えちゃうよ。
やっぱり思うんだよ。
うちの子に限ってって。
奇跡が起こるだろうって。
学会でも発表されちゃうようなことになるんじゃないかって。

それでもまた元気に遊びまわってくれることを心のどこかで思ってた。
また神社の桜を見に行こうと思ってた。


今日、相方と私が看取りました。
心臓が止まるまでの間、最近感じたことの無いほどの力で私の指を握ってくれていた。

長いようで短かった５年とちょうど７ヶ月の時間。
そのうち我が家では５年４ヶ月余りを過ごしていた。
あっという間過ぎたな。
まだ私の横でペッタンしているんじゃないかってつい見回しちゃう。


この子と遊んでくれたたくさんの人たちにありがとうを伝えたくて。
カミカミの洗礼を受けてしまった人も、この子に変わってごめんなさい。


時々でいいです。
この黒い子を思い出してもらえればこの子も私もとても嬉しいです。