
以前スイフトを借りてすごく良かったんだが、勢いがついてるうちに
前々から気になっていたゴルフを借りてみた。
ポロも借りてみたかったんだが、よりスタンダードなのはゴルフだろうと
思って、まずはゴルフにした。
借りたのはゴルフ6(おそらくTSI Trendline Premium Edition)で、12000kmほど
走行していた。
結論から言うと、スイフトでネガティブに感じられた部分がほとんど解消されていて、
それはもういいクルマだった。スイフトとは値段が倍ほど違うので、比較するのも
どうかと思うんだが、あまりたくさんの車種に乗ったことがないので、
どうしてもスイフトとの比較になってしまう。
スイフトの1.2Lエンジンは、状況によってはややアンダーパワーに
感じられたが、ゴルフは同じ1.2Lでもターボつきなので高速の追い越しでも
余裕がある。ターボラグなどは感じられないが、シューンと音を立てて
気持よく回る。
7速DSGの出来もよく、CVTのような滑る感じがしない。
クリープではわずかに微振動があるが、そこを超えるとポンポン小気味よく
シフトアップしていき、下り坂ではシフトダウンしてエンブレまで効かしてくれる。
シフトレバーを左に倒せばマニュアルモードにできるし、これで故障しなければ
本当に気持ちのよい変速機だ。スイフトにも、次期モデルではDCT搭載を望みたい。
DSGのクリープ制御はおもしろいところがあって、フットブレーキを離すと
一瞬間があって、クリープがグググと微振動を伴って発生する。
速度は低いがトルクは強く、重いハンドブレーキを引いても、クリープの
トルクに負けてわずかに車体が前進してしまう。
坂道発進だと、フットブレーキを離すと車体が一瞬後退するが、すぐに
クリープが発生してグググと車体が前に出る。
ちなみにスイフトのCVTは、停まる寸前にわずかな振動が発生することが
あった。これはスイフトだけではなく、CVT一般の現象らしい。
ステアリングやペダルには適度な重さがある。スイフトの操作系はとても
軽く、アルトより軽いんじゃないかと思うほどだった。
ステアリングやペダルが軽いのはいいが、スイフトのシフトレバーの軽さは
何かが外れたような節度感のない軽さで、ここはもっと重いほうがいいと
感じた。ゴルフのステアリングは特に回し始めに適度な反力があり、
どこかで乗ったような感じだと過去の記憶を思い出すと、昔のFRセドリックのステアリングが
こんな感じだった。FR車っぽいステアリングの感触である。
アクセルペダルはオルガン式(ゴルフ7は吊り下げ式になったらしい)で、
遊びがなく、板を踏んでるようだった。
外車だからといって、右や左にオフセットはしておらず、自然な配置である。
アクセルペダルの右側に、見ようによってはフットレストとも解釈できる
カバーみたいなのがついてるんだが、ネットで誰かが「右側フットレスト」と
呼んでいた。
レンタカーにはセンターパネル右側の左膝が当たる部分に、ETC車載器が
取り付けてあったのだが、この場所はいただけない。
運転中に左膝で車載器のボタンを知らず知らずのうちに押してしまい、
「音声が~」と急にしゃべりだしてびっくりする。
フロアマットは2本のスナップピンのようなものでガッチリ固定されており、
これならズレたり外れたりすることはないだろう。
フロアマットをめくると、なぜかカーペットそのものに踵当てみたいなのが
ついていた。
造形がおもしろかったのが、トノカバーの吊り紐についてるストッパーというか、普段はトノカバーの裏側にあって見えない吊り紐のエンド部分。
ただのプラスチックかゴムでも良さそうだが、なんでこんな風車みたいな
形をしているのか。
ここのトノカバーを吊るす紐の、トノカバー側のエンド部分。
レンタカーを返してから気づいたのだが、トノカバーを取り外したときに、
紐を紛失しないよう、トノカバーの裏にでもハメる場所があるのかも
しれない。そこにはまりやすいように、風車状にしてクッションにしてる
とかかな。
トランクはほどよい広さで、スイフトの倍以上はありそう。
リアシートを倒すときのレバーというかボタンに、しっかり感があった。
運転席から振り向くとこんな視界で、Cピラーは太いがリア窓が切れ上がって
ないのでスイフトより視界がいい。リア窓がスモークでないのもいい。
オーディオの電源スイッチ兼ボリュームボタンが、右側にあった。
これは右ハンドルでの使い勝手を考慮したと思われ、心配りである。
世界シェアとしては左ハンドルのほうが多いので、オーディオ類の
スイッチは左ハンドルに合わせてあるのが多い。後付の1DINオーディオの
ボリュームスイッチはほぼ左だし、国産車の純正でも左ハンドル用の
オーディオをつけてると思われる車種もある中、右ハンドルには
右ハンドル用にスイッチを配置したVWはえらい。
シフトレバーのマニュアルモードが、シフトを左(助手席側)に倒して
操作するタイプだったのだが、国産車では右(運転席側)に倒して
操作するタイプが多いので、左ハンドル用のパターンをそのまま
流用したのかと思ったら、左ハンドルでは逆(右側に倒してMTモード)
になっていた。つまり、これも右ハンドル用のパターンということである。
サイドブレーキの位置はさすがに左ハンドルと同じだった。
右ハンドルでは少し遠くなる。
レンタカーを借りて走りだしたときに、どうも空気圧が低い感じがしたので、スタンドで
チェックしてみると180kPaぐらいしか入っておらず、左リヤに至っては150kPaしかなかった。
このまま高速に入るとスタンディングウェーブ現象が発生するかもしれず、危険なレベルでは
ないのか。外装などが少々汚れているのはかまわないが、空気圧のチェックはしてもらいたい。
ゴルフの空気圧表示がどこにあるのかわからなかったが、
給油口の裏にあった。
タイヤサイズは195/65 R15。一般的な使い方なら、65扁平ぐらいが
ちょうどいいと思う。スイフトXLやRSの16インチ55扁平は大きすぎるのではないか。
ドイツ車はもっとゴツゴツした乗り味なのかと
思っていたが、表面は柔らかいのだが腰のあるしっかりした感じで
絶妙によい。ロードノイズもすごく抑えられている。
おそらく遮音材をふんだんに使ってるんだろう。
自分が乗ったクルマの中では、一番よい乗り心地だった。
スイフトより300キロぐらい重いが、そこがまたどっしり感が出ていて
良い方向に活かされていた。
おもしろかったのは、エンジン音やロードノイズはすごく抑えられているんだが、
ホーンを鳴らすと車内に盛大に入ってくること。
これは意図的にそうしてるんだろうか?
ホーンボタンが滅法固く、チョンチョンと鳴らせないのもあるが、
びっくりするほど大きな音だった。
普段ホイールキャップ付きのスチールホイールに乗っているので、
アルミは空気圧点検がやりやすい。
ウインカーレバーは外車お約束の左側。気をつけてはいたが、
やはり何度か間違えてワイパーを動かしてしまった。
ゴルフの場合、ライトスイッチはダッシュボードパネル右側についた
ダイヤルで操作するのだが、アッパー/ロアー切り替えはウインカー
スイッチで操作するようになっている。ISOか何かで右ハンドルでも
ウインカーレバーは左と決まってるのはわかるのだが、仮にMT車だと
した場合、山道などでシフト操作を忙しくやりながら、コマ目にライトの
アッパー/ロアーを切り替えるという状況を想定すると、左手が
忙しくなりすぎないだろうか。やはり右ハンドルには右ウインカーの
ほうが理にかなってると思う。
ドアミラーには鏡面の端のほうに点線が書いてあり、そこから外側は
曲面になって視界を広くしてあるらしい。わざわざ点線の表示があるのが
律儀でドイツっぽいと思った。ミラーの上側が下がっている(への字になっている)のが
何か気になったが、空力を考えて小さくしてるんだろうか。
メーターは30キロと50キロの部分に赤い目印がある。
240キロまであるが、国内だと法的には100キロまでしか出せないんだし、
150キロぐらいまででいいんじゃないだろうか。240キロまであると、
日常的に使う40~70キロぐらいの表示が小さくなるので見難いと思う。
外車の中には360キロメーターなんてのもあるそうだが、
日常速度領域が見難いので国内での使用はまったくナンセンス。
画像はエンジンオンの位置だが、8.0℃の外気温表示の下にある
丸っこいのが3つ並んだ表示は、リアシートのシートベルト状態を
示しているらしい。
エンジンルーム。ダンパー式のボンネットは開け閉めが楽。
オイルエレメントが、すばらしくメンテしやすい場所にある。
冷却水のリザーブタンクが球状でかわいかった。
ドアポケットの内側は、フェルトが貼ってあって触り心地がいい。
地図は入らないが、最近の車はみんなこうなんだろうか?
400キロほど乗り回したが、いやーいいクルマだった。
別に外車贔屓というわけではないのだが(乗ったことないし)、
このクルマを買って維持できる人は幸せだと思う。
ゴルフ7はさらに良くなってるそうだし、7やポロにも
レンタカーで乗ってみたい。