
レンタカーのコペンを借りてみようと前々から思っているのだが、
5月のある日、レンタカー屋のHPをチェックすると、S660が入荷されているではないか。
問い合わせると、すでに1ヶ月先まで予約が埋まっていた。
6月は梅雨だが、晴れることを祈って48時間予約。
当日は晴れ、曇、雨の3パターンを体験できた。
H27年5月に登録されたばかりの6MT、グレードはα。
走行2600キロほど、カロッツェリアのゼスチャー機能付きナビと
ユピテルのドライブレコーダーが装着されていた。
第一印象は「小さい」。車高がすごく低いので、駐車場だと他の車に埋もれて
見つけにくいかもしれない。
最近のホンダデザインはゴテゴテとデコレーションが多く、あまり好きでは
ないんだけど、S660はカッコいいと思う。
リヤは特に未来的。センターの1本出しマフラーが似合う。
フロントバンパーのダクト風に見える部分だが、フィットなどと同じく
穴は開いていない。
他のダクトというかスリット部分は、ちゃんと穴が開いていた。
Fフェンダー部分。
リヤタイヤ前。
リヤエンブレム下。
リヤバンパー部分。
タイヤは前165/55R15、後195/45R16と異径。
この気合の入ったパターンを見よ。
リヤフェンダーをよく見ると、小さな樹脂のモールがついている。
これがないとタイヤがはみ出るんだろうな。
指定空気圧は、前190kPa、後200kPa。スペアタイヤはない。
走行前に測ると、全輪250kPaほど入っていた。
新車ではよくあることだが、本来の乗り心地を知りたいので
指定空気圧ピタリに調整した。
ちなみにこのモノタロウ空気圧計の精度はかなり高い。
先日工具屋さんに置いてあったエアゲージ精度チェッカーで
テストしてみたが、優秀な成績であった。
タイヤの前には、前後ともエアスパッツというのか、整流板がついていた。
最近の車ではもう当たり前の装備になったようだ。
ライトはローがLEDの2灯式、ハイがハロゲンだった。
LEDやHIDは、ライトの照射範囲がはっきりしていて、境目の外に
ぼんやり光が広がらないので好きではないのだが、雨の夜運転してみると
その明るさに圧倒された。
LEDを直視すると、もはや危険なほど明るい。
リヤは、スモールが「⊂」の形に光り、ブレーキを踏むと⊂の中の
ストップランプが光る。
ブレーキを踏むと面積が同じで照度が変わるのではなく、面積が変わる
タイプなので、こちらのほうが被視認性がいいと思う。
⊂の中の5つの六角形がストップランプ。
バックランプはエンブレム部分のガーニッシュに隠れている。
バルブを見ると明るそうだなと思ったが、夜光らせてみるとそうでも
なかった。
ペダル。
軽にしてはペダル間隔が広く、操作しやすい。
シート位置が車体中央にあるので、タイヤハウスが前に出せて
足元に余裕があるのだろう。
純正でペダルカバーがついており、滑りにくいというか、もはや
靴裏に引っかかる。
シート位置が非常に低く、靴のかかとも引っかかって運転しにくいので
10年ぐらい前のダンロップのスポーツシューズを久々に履いたのだが、
靴裏のゴムがペダルカバーの抵抗に負けて剥がれてしまったw
かかとの出っ張った靴でも運転しにくいし、靴を選ぶ車である。
ドライビングシューズがいるかもしれない。
アクセルペダルはストロークが深く、適度な反発力がある。
ブレーキペダルのタッチは良かった。安心して踏める。
クラッチペダルはやや軽めではあるが、これも適度な抵抗があって良い。
クラッチのつながり方は、普通の軽と同じだと思う。
特にエンストしやすいなどということはない。
フットレストも大きめのしっかりしたものがつく。
クラッチペダルがセンターコンソール側から生えているな。
フロアマットのエンブレム。S660は、スポーツカーには珍しく、
室内に赤のアクセントがほとんどなかったのだが、フロアマットの
バイピングは赤だった。
ステアリングコラム下にはフューズボックスがあるのかな?
膝がコラム下に当たる人がいるかもしれないが、ここはツルツルしていた。
ステアリングはチルト付き。テレスコピックはしない。
オープンカーらしく、膝に向けてエアコンの吹き出し口がある。
ボンネット&エンジンフード&フューエルリッドオープナー。
オープンカーの中には、フューエルリッドオープナーを小物入れの中などに
隠してある場合もあるが、S660は通常の位置にある。
というかフタができる小物入れ自体がない。
ボンネットを開けたところ。軽には珍しくダンパー付き。
ルーフを両手で抱えたままでも開けやすくとの配慮だろう。
照明がないので、夜ルーフの出し入れをするにはライトを片手で
持ってないといけない。
自分の車なら、ボンネット照明をつけたいと思った。
ボンネットはダブルヒンジになっている。
ルーフ入れ(ユーティリティボックス)。
ユーティリティボックスを開けたところ。
紫っぽい袋は工具入れ。
ロールトップの収納のしかた。
ユーティリティボックスは二重底になっており、下にはジャッキと
パンク修理キットが入っている。
ボックス自体も取り外すことができる。
金属のクリップを回すと外せるが、再びつけるとき、クリップが嵌まりにく
かった。
ボックスを外すとバッテリーが見える。
エンジンフードを開けたところ。こちらは棒で支える方式。
ところどころ塗装がピンクの部分があるな。
エンジンフードのコーションシール。
スリットから見えるHONDAロゴがセンターから少しズレている。
フューエルリッド。バイオ混合ガソリンも使えるらしい。
レギュラー仕様。
ドアを開いたところ。長いドアなので、狭い駐車場では隣に当てないよう
注意が必要。
ドアハンドルは横から引っ張るタイプ。車高が低く、ドアハンドル位置も
低いので、横から開けるのはやりにくい。
ドアポケットはない。内張りはカーボン風の模様がある。
パワーウィンドウにワンタッチはないが、開け閉めの速度は早い。
「REAR」は後ろの小窓。
リヤ窓を開けると、エンジン音が後ろからよく聞こえるが、
信号待ちのとき、むわ~と熱気も伝わってくる。
リヤ窓の上にハイマウントストップランプがひさしのように張り出している
ので、少し開けたぐらいでは大雨でも室内が濡れない。
換気にはちょうどいいと思う。
オープンにしたときの風の巻き込みだが、小窓をあげても巻き込みは
けっこうある。
開け閉めできるのは、真ん中の小窓のみ。
ドアヒンジ部。
ドアキャッチ部だが、ウレタンかゴムのブロックがついている。
シートはヘッドレスト一体型で、座面と背もたれ部分はバックスキンという
のか、スウェード調で肌触りがよい。横のホールドも適度で、乗り込んで
しまえば卑屈ではない。
シート調整は、前後と背もたれの角度のみ。リフトはしない。
スポーツカーはこういうところにやたらと赤を使いたがるもんだが、
意図的に赤を避けてるのだとしたら好感が持てる。
特別仕様向けに取ってあるのかもしれんが。
座った感じは普通のスポーツ風シートだった(異常に低いことを除けば)。
48時間で1000キロほど走ったのだが、体のどこも痛くならなかった。
こんなシートは珍しい。
自分のポジション(かなり前)に合わせると、シート裏にカバンをおける
スペースができる。ルーフをここに置くのはさすがに無理だな。
シートベルトは革のストラップを通る。
とにかくシートが低いので乗り降りが面倒。
おまけにステアリング右横のドアミラースイッチ部分と、シートの
サイドエアバッグ部分が出っ張っているので、余計に乗り込みにくい。
眺めのいいパーキングに寄っても、気軽に降りて風景を楽しむという
わけにはいなかった。
今思いついたが、映画みたいにドアを閉じたまま、オープン状態で
飛び乗るのはどうか?
想像しただけで立ちどころにボツだが、試してみればよかったw
足を収めるときに当たるので、ドアスピーカーやサイドシルの前のほうが
汚れてしまう。
いったいシートがどれぐらい低いのか、測ってみた。
地面からサイドシル上までが約35センチ。
サイドシル上にものさしを水平に置き、シート座面お尻の一番低いところ
までは約10センチ。
ということは、地面から25センチぐらいのところに座っていることになる。
ちなみにうちの23Sアルトで同じように測ってみたところ、46センチぐらいだった(ものさしより1センチほど座面が凹んでいる)。
アルトとS660では、21センチほど地面からの座面高が違う。
シート座面長さは51センチぐらいで、軽としてはやや長めか。
横幅の一番広いところは48センチで、大きそうに見えたがここは
アルトと同じだった。
ステアリング。このステアリングは良い。
握りやすく滑りにくいし、D型なのでステアリングのどの辺りを握ってるかも
わかりやすい(本来同じ位置を握るべきではあるが)。
ステッチが白なのもいい。
下スポーク部のメッシュは、外観のダクト/メッシュモチーフの繰り返しか。
スポーク部のカーボン風模様(おそらく本物のカーボンではないはず)は、
私的にはカーボンでない部分にカーボン風の模様だけってのはカッコ悪い
と思うのだが、こういうのも需要があるんだろうと思う。
回した感じはやや軽めだが、待ってましたと言わんばかりに車のほうから
向きを変える。月並みな表現だが、オンザレールとはこのことかと思った。
エンジン始動のときはステアリングが一瞬ブルっと震え、切ったときは
ウィーンとモーター音がする。ステアリングロックの音のようだ。
ステアリング左右のスイッチも操作しやすい。
ただし、左はオーディオコントロールなのだが、左右が曲選択、
長押しでフォルダ選択なので、大容量のUSBメモリでフォルダが
たくさんある場合は、目的のフォルダにたどり着くまでがたいへんだ
(スキップするやり方があるのかもしれないが)。
オーディオの音質は、純正にしては良かった。
右はクルーズコントロールで、MTの場合ギヤチェンジしたらどうなるんだろう
と思っていたが、キャンセルされるだけだった。
クラッチを切っただけではキャンセルされない。
ホーンの音は軽トラ風でものすごくチープ。
ライトスイッチ。オートライト付き。回し切っても、少しガタというのか、
もう少し回りそうな遊びがある。ピタっと止まって欲しかった。
レバーを向こうに倒してハイ、手前に引いてパッシングと普通の操作方式。
昔のホンダ車はハイ/ロー切り替えも手前に引くやり方だったが、普通になった。
エンジンスタートはボタン式だが、エンジンがかかるまで長押しする
必要はない。最初のうちはずっと長押ししていた。
ボタンのリングはつや消しのほうがいいが、これぐらいならまあいいか。
MT車にアイドリングストップはついていなかった。
ワイパースイッチ。奥のセレクトボタンは、押すとメーター照明が赤になり、
燃費計がターボブースト計表示に変わる。CVTの場合はスポーツモードに
なるようだが、MTではそれだけ。けっこう謎のボタンである。
メーター。アナログタコメーターの中心にデジタル速度計がつく。
燃費計はあるが、水温計は警告灯なのも今風っぽい。
警告灯表示状態。エンジンをかけるとタコメーターがスワイプする。
これも当たり前の機構になってしまった。アルトバンでさえ現行はそうだ。
普段は白基調のメーターだが、セレクトボタンを押すと赤くなる。
ピンぼけで申し訳ないが、夜はこのように光る。
赤じゃないところがいい。
ステアリングスイッチやエアコン照明も白。
ナビはカロッツェリアのゼスチャーナビ。
エアコン下の赤いのはハザードスイッチ。
乗り込むときに邪魔な右側のドアミラースイッチ部。
左右シンメトリーデザインにするためか。
ドアミラーの鏡面調整は電動だが、折りたたみは手動。
折りたたみといっても、わずかに倒れるだけ。
これだけしか倒れない。
ドアミラーは横に長く、上下に押しつぶされたような形をしている。
てっきりドアミラーウインカーかと思っていたら、そうではなかった。
幅の狭いセンターコンソール。エアコンを操作したとき、ピッピッと音がせず、
無音なのが良かった。エアコン風量は7段階。ハザードスイッチは押しやすい位置にある。
この車には、CDプレーヤーがついていなかった。
通常の1DINは入らない。
「禁煙車」の無粋なステッカーが目立つが、こうでもしないとタバコ吸う
人がいるんだろう。
一番下の奥は、12VソケットとAUX IN、USB端子。
左側がメッシュで仕切られているのがおもしろい。
ナビはカロッツェリアのゼスチャー動作するナビがついていたが、
よくなかった。太陽光を背にして走ってると、影が動くのを誤認して
勝手に時計の大表示になったり、地図が知らないうちに縮小されて
日本列島が写っていたりする。
純正オプションでこれがあるのかわからないけど、太陽光が室内に
差し込みやすいオープンカーにゼスチャーナビは特に向いてないと思う。
非常に薄いグローブボックス。取っ手は横押しタイプ。
ETCが助手席側につけられていたのはありがたい。
運転席側だと、膝が当たることがある。
オープンカーということを考えるとグローブボックス内につけるべきだろうが、
つけるスペースが多分ないんだろうな。
純正のETC取付位置は決まってるんだろうか?
グローブボックスの上に、エアコン吹き出し口が見える。
ほとんど車検証入れぐらいしか入らない。
S660のレンタカーを借りた2へ続く