
なにげにネットを見てると、三菱ディーラーであの
三本和彦氏も絶賛していたアウトランダーPHEVの一泊二日試乗キャンペーンというのをやっているではないか。
これはチャンスだと思い近くのディーラーへ電話すると、すんなり予約ができた。
600キロほど乗り回した結論から言うと、すごく出来のいい車だった。
映画などで、「出来のいいCG」は見てCGとわかるので、すげーなーと
驚かれるが、「すごく出来のいいCG」は、もはやCGと気づかれることがないので、何事もなくスルーされる。アウトランダーPHEVは、そんなスルーされるような車だと思った。
お借りしたのは、走行距離600キロにも満たない新車の、おそらくナビパッケージだった。
かすかに聞こえる電車のような音と共に、ほとんど無音でスィーっと動き出す感覚は独特なものであるが、自然だ。
変速機はどうなってるんだろうと思って後で調べると、なんとないらしい。
山坂道も、1.8トンもある車体だとは微塵も思わせず、ヒラリヒラリと軽やかに気持ちよく走る。
乗り心地も、固すぎもせず柔らかすぎもせずで、締まったよい乗り心地だった。
用水路の段差が連続する
金浦中学校前の道も走ってみたが、
タイヤが大きいせいか、軽くいなしてトトンと乗り越えていた。
アルトだと盛大にショックが来る道だ。
路面によってはロードノイズが大きく感じる。
他のノイズがとても低いのもあるが、4WD用のマッド&スノータイヤの
パターンのせいもあると思う。
四駆なので不整地の走行性も確保しなければならず、難しいところなんだろう。
タイヤ空気圧表示。前後輪ともに240kPa(2.4kgf/cm^2)。
試乗車は、225/55R18だった。
普段軽に乗ってるので、全幅1800mmはかなり幅広に感じる。
こういう車高の高いSUVを運転するのも実は初めてだったのだが、
特に左前下の死角が気になった。
有名女子アナが駐車場で人を轢き殺す事故があったが、あれも加害車両は
大型SUVだった。乗ってたのが軽なら、轢いてないか轢いたとしても
死亡事故にはならなかったんじゃないだろうか。
参考動画:
Parents run child over(親が自分の子をSUVで轢く瞬間。
衝撃動画注意。この子は助かったらしい。動画を見るにはCONTINUEをクリック)。
試乗車には、SUVでよく見かけるキノコみたいなサイドアンダーミラーは
ついておらず、左ドアミラー下にサイドビューカメラがついていた。
サイドビューカメラだと、左前輪の横は見えるのだが、左前方直前は見えない。
左前方直前の死角をカバーするカメラかミラーが欲しいと思った。
運転席からの眺め。
サイドビューカメラ。
ステアリングについてる三角形のスイッチを押すと、モニターに
サイドビューカメラの画像が表示される。走り出してしばらくすると勝手に元に戻る。
サイドビューカメラモニター画像。当たり前だが夜は真っ暗だった。
リヤガラスの視界。ガラスの黒枠が太いので、若干視界が狭くなっている。でも、最近の車は大体ガラス面積が狭いみたいだ。
試乗車にはバックカメラも装着されていた。
バックカメラの位置。
リヤサイドガラスをいっぱいに締めた状態。
後席の天井に、妙なものがあると思ったら、後ろ中央シート用の
シートベルトだった。最近の車はこんな凝った仕掛けがしてあるのか。
天井から長く伸びてくるシートベルト。この挿し方で合ってるはずだ。
図体が大きいのと慣れない試乗車なので、狭い道に入るときは
気をつかった。
道後山の登れるところまで行ってみようと思ってたのだが、
道がとても狭かったので途中で断念w
Uターンしてみると、思いがけず小回りが効いた。
カタログ値では最小回転半径が5.3m。スイフトが5.2mなのでほとんど変わらない。
運転席への乗り降りも、車高があるのでちょっとやりにくい。
特に降りるとき、足が地面につきにくかった。
ペダル画像。アクセルは一般的な吊り下げ式。
ブレーキはストロークが深い。普段MTに乗ってるせいもあるが、
ふんわり停車するのが難しかった。モーターでもクリープがあるので、
停まる直前にブレーキをゆるめてもスィーと少し進んでしまう。
まあこの辺は慣れだろう。
試乗車には自動テールゲートがついていた。
そんなもん手で閉めるわ!と思うところだが、使ってみると意外と便利かも。
しかしゲート部分にモーターがつくので、その分出っ張りがあるのと、
うっかり障害物ギリギリまで下げて自動オープンすると、ゲートがぶつかってしまう。
ゲートのスイッチはハッチの裏側にある。運転席や、キーにもスイッチがついていた。
クローザー部分の出っ張り。
荷室のフタを開けると、通常の12Vバッテリーがあった。カバーを開けるとマイナス端子が
見える。
大容量のリチウムイオンバッテリーを積んでるのだから、12Vバッテリーは
もういらないんじゃないかとも思うのだが、そうはいかないようだ。
プリウスやリーフも12V鉛バッテリーは積んでるし、リーフは12Vバッテリーが上がると、リチウムイオン電池が満充電でも
起動(発進)できない。
12Vバッテリーの横にあるのは、車載の充電ケーブル。
プラグが三極なので、200V普通充電用だと思う。
この車はボンネットが重かった。重い上に、つっかえ棒が右にあるので
左手でボンネットを持たねばならず、さらに重く感じる。
ダンパー式なら楽ちんなんだけど。
モーター部とエンジンが並んでいる。空気取り入れ口が薄型で
ギリギリまで高くしてあるのは、四駆だから冠水路とかの想定も
してあるんだろうか?
リヤを下から覗いた画像。新車なのでピカピカ。
60キロほど走ると電池はなくなってエンジンに切り替わった。
切り替わったといっても、運転してると気づかない。
登り坂になると、そういえばエンジンの音がするなという気がするぐらいで、
状況に応じてモーターのみ(EV走行モード)、エンジンで発電してモーター走行(シリーズ走行モード)、エンジン+モーター走行(パラレル走行モード)と切り替わるんだが、そういう制御をしてるとほとんど意識させない自然な運転感覚である。
ステアリングやペダルなどの操作系は軽いタッチである。
ステアリングはちょっと軽すぎると感じる人がいるかもしれない。
本革ステアリングの感触だけど、新車ということもあるかもしれんが、
なんか紙みたいで滑りやすく、ステッチ部分に一部ささくれたところが
あって指が痛かった。
内装は黒一色で無愛想なものだが、変にオシャレにしようとしないほうが
三菱はいいだろうと思う。
インパネのガーニッシュというのか、ぐるっと取り囲んでる銀色の飾りが、
ネットでも書かれていたが、ヘビが脱皮した抜け殻みたいだった。
毒々しい木目よりはずっといいが、ヘビの抜け殻を思い浮かべて眺めると、
ますますヘビの抜け殻に見えてくる。
合成皮革&ファブリックの黒いシート。
シートポジション合わせの詰めが甘かったのかもしれんが、
100キロほど走るとお尻が痛かった。
シフトレバーは中立に戻るジョイスティック風のもの。
最近はプリウスなどもこのタイプなので、これが工学的に優れているんだろうが、モニターを見ないと今どのポジションに入っているかわからない。
シフトレバー位置がちょっと低い感じがした。
パーキングはボタン式だが、レバーの向こう側にあるので押しにくい。
試乗車には回生ブレーキの強度を変えられるパドルがステアリングについていた。
こんなの触らないだろとも思ったんだが、下り坂でこれを使ってこまめに
調整すると案外走りやすい。操作しやすいので多用した。
回生ブレーキレベルはメーター内に表示されるので、できればマツダの
ヘッドアップ・ディスプレイのように、視線を下に移動させなくても表示が見えればより安全だと思った。
気になったのはウインカーレバーとナビのボリュームスイッチの感触。
ウインカーレバー操作時に、妙な引っ掛かりがあって気持ちよくない。
曲げてはいけないものを曲げてる感じがする。
ボリュームスイッチは妙に小さく、ギザギザがついてないので滑りやすかった。
限られたスペースで画面をできるだけ大きくしてるので、相対的にスイッチが小さくなってるんだろう。
オートエアコンの操作部も、温度調整はダイヤル式のほうがいいかな。
ドアポケットには地図が収納できる。
鳥取県日野郡の
日南町役場で、やってみたかった急速充電をしてみた。
充電リッドは車体右側、ガソリンリッドは左側にある。
合計4ヶ所ぐらいで充電したが、当然ではあるが充電リッドが右側にあることを考えて駐車しないといけない。
充電スポットによっては、進行方向と逆側に車を向けないといけないところもあった。
充電リッドには照明がある。この照明に、三菱の心遣いを感じた。
右側が急速充電用、左側が普通充電用。
特にリッドを開けるスイッチなどはなく、車内のカギを開けてる状態で
リッドを押さえると開く。
ガソリンリッドは普通だった。
重い充電プラグを差し込んで、充電スタートボタンを押すが
エラーになってしまった。
確かめると、プラグがきちんと奥まで入ってなかった。
カチンとロックがかかるまで、しっかり差し込む必要がある。
このタイプの充電プラグは、レバーを深く握って、レバーにカバー(赤矢印)をかけるとロックされる。
ロックされてない状態。エラーになる。
充電スタートボタンを押すと、充電器のファンが盛大に回って充電が始まる。車体側も、ファンが回る音がしている。
メーターではバッテリーが空の状態でも、30%ぐらいは残ってるようだ。
充電器の裏に、PCについてるようなファンが3連で並んでいた。
充電を始めてから気づいたが、使用手続きをしろと注意書きがあるではないか。
役所の中に入ると、簡単なアンケート(観光目的だとか、どこから来たのかなど)を書かされた。
充電中、暑いので車内でエアコンでも効かせようと思ったんだが、
急速充電中に車を起動させると、充電が止まってしまう。
電池の保護か何かでこうなってるのかもしれんが、充電器のそばには
特にベンチとかがあるわけでもないので、これは困ると思った。
ラジオも聞けないのではないだろうか。
別の場所で急速充電中のリーフを見かけたが、ドライバーは車内で
スマホをいじっていた。リーフは急速充電中でもエアコンが効くらしい。
大体30分ほどで充電率80%になった。
これを100%まで充電しようと思うと、1時間以上かかるようだ。
満充電に近くなると、電流を絞るのでそうなってしまうらしい。
しかし充電中の30分は長くて手持ちぶさたである。
建物からポツンと離れたところに充電スポットがあるところも多く、
真夏だと暑いので車内で待ってることもできない。
ショッピングモールなどだと暇つぶしはできるかもしれんが、
今度は30分できちんと帰ってこないといけないので、時間を気にすることになる。
せめて10分ぐらいにならないものか。
おまけ:日南町役場に停まっていた、なんとなく頼りなさ気な原子力防災車。
岡山道上り(岡山方面)
高梁SAでも充電してみた。グーグルストリートビューに充電器は写っていないが、設置前の画像のようだ。
日南町役場とは違った外観の充電器だが、操作は同じ。
プラグの取っての形状が少し違う。充電器のケーブルは重くて太く、屋外にあるので汚れている。気をつけないと服が汚れるかも。
ロックの形が違った。
急速充電器の横に、非常用コンセントがあった。これは心強い。
アウトランダーPHEVはガソリンでも走れるからいいが、リーフやアイミーブのようなEVで、電池ギリギリで充電スポットまで辿り着いても、充電器が故障や調整中で使えなかったらそこで終わりである。
高梁SAで充電中の図。充電リッドの関係で、車を止める位置が前後逆になる。
広島県三原市、三原バイパス沿いにある道の駅みはら神明の里(
地図)。
日が暮れてから行ったが、端っこのほうに充電スポットがあった。
なぜか「プラグインハイブリッド車専用充電コンセント」と看板がある。
EVは充電してはいけないのか?
ここは充電率が80%までと上限が設定されていた。
充電中、道の駅内をうろついてみたが、みはら神明の里はやたら注意書きの貼り紙が多い。
こちらの管理人はうるさ型とみた。
構内にあった貼り紙。
翌日、道の駅笠岡ベイファームでも充電してみた。
ストリートビューは充電器設置前のもの。この辺りに設置されている。
道の駅笠岡ベイファームの充電器はメイン駐車場や建物の近くではなく、第二駐車場とでもいうのか、充電スポット以外は地面が砂利の駐車場の隅にあり、建物から死角になっていて発見しにくい。
どこにあるのかしばらく探しまわってしまった。
道の駅本体建物から道を隔てたところにあるし、死角になってるので
なんだか車上荒らしをしやすそうな場所である。
こちらの充電プラグもまた形状が少し違うが、しっかり奥まで差し込んで
ロックするのは同じである。
ナビを頼りに、高梁市観光駐車場の充電スポットにも行ってみた(
ストリートビュー)。
ところがスペースが狭く、スポットの隣にでかい車が停まっていたので
スルーして吉備高原都市へ向かった。
ちなみに、観光駐車場向かいの
川から上がってくる狭い道に、
信号取り締まりでもしてるのか、パトカーが車体を上向きにして
ずっと張っていたのが気になった。
きびプラザ(
地図)につくも、こちらはリーフが充電中だった。
しばらく待ったが終わらないので、岡山空港へ向かった。
岡山空港の充電スポット。ガソリンスタンドの隣にある(
ストリートビュー)。
こちらも充電リッドを充電器側にするには、車体を進行方向逆向きにしないといけない。
ロックの形状。
岡山空港の充電器は液晶表示が暗く、ほとんど見えなかった。
試乗車にはFCMだのLDWだのACCだのと、いろんな電子装備がたくさんついてた。
FCMというのは衝突被害軽減ブレーキシステムで、レーダーで前方を監視し、いざというときは自動ブレーキがかかるらしい。
試乗前の説明で、アクセルを操作しながらだと作動しないので、
試さないようにとディーラーマンから言われた。
試乗中、一度だけ「ブレーキ!」という表示がメーターにちらっと写ってたので、それがFCMだと思う。
途中、すごい夕立に遭ったんだが、豪雨が止んだあと、「FCMエラー」
「FCMが使えません」というような表示がメーターに出た。
何か自分がやらかしたのかと思ったが、大雨だとこういうことが
あるらしい。しばらくすると元に戻った。
おそらくFCMのレーダー部だと思うのだが、ルームミラー裏に黒い出っ張りがある。
けっこう出っ張りが大きいのと、ガラスの黒いドットの面積が大きいのも
気になった。
LDWは車線逸脱警報システムで、車線のラインをはみ出すと警報で
教えてくれるものである。自動でステアリングを切って修正はしてくれない。
LDWは、しょっちゅうピコピコ鳴っていた。ラインを踏んだりはみ出しても鳴るが、誤作動も多いようだ。車線内にいるのに、別の白線が増えたりすると、ピコピコ鳴っていた。
ACCはレーダークルーズコントロールシステムで、クルーズコントロールのとき、前方に設定速度より遅い車両がいても、その車両に速度を合わせて追従し、いなくなると元の設定速度まで加速してくれる装置である。
高速で使ったがすんごい便利だった。
クルーズコントロールの便利さは、こういう追従機能がないと半減するんじゃないだろうか。
ただ、追従時の車間距離を3段階に設定できるんだけど、一番離れた設定にしてもまだ近いと感じた。
車速で車間距離が変わるのかどうかわからんが、85キロぐらいの設定で、車間距離はおそらく50メートルぐらい。
交通量の少ない田舎の高速だと、100メートルぐらいは開けたいところだ。
先行車がいなくなると元の車速に戻るのだが、カーブで先行車が正面から外れてもいなくなったと判断し、カーブ手前で加速を始めることがある。
一般道では使わないほうがいい。
クルーズコントロールをセットして、オートライトでワイパーも水滴感応のオートモードにすると、運転中はステアリングを握るだけである(ラインを越えるとLDWが教えてくれる)。
眠くなるかと思ったが、不思議とそうでもなかった。
ライト点灯中は、メーターに表示が出るのだが、これもライトの状態が
ひと目でわかって便利だった。最近の車はこれが普通なんだろうか?
(左のパワーメーター右上)。
できればトンネルに入ってからではなく、入る前にライトが点いて欲しいんだけど、これは地図と連動でもしないことには無理だろう。
ワイパーの作動音もよく押さえられていた。古い車だと盛大にガタゴト音がする。
4輪ロック機能などもあったのだが、新車の試乗車を不整地に持っていくのもどうかと思って試さなかった。まあオフロードなんてほとんど走ったこともないのに、スタックしても困るし。
燃費は600キロ走って4回ほど急速充電して、22キロ/Lぐらいだった。
急速充電器は、どこもカードなど不必要で、すべて無料で使えた。
充電した場所は、道の駅と役所、高速SAで、ディーラーでは充電していない。
ハイテクを極めていて、逆に普通の車になっているという印象だった。
400万以上もするのでとても自分には買えないのだが、狭い道を走るのに
車体はやっぱり大きいなと感じた。アイミーブPHEVをぜひ作って欲しい。
しかし一泊二日も無料で貸してくれるとは、三菱ディーラーも太っ腹だ。
車の性格上、キャンプへ行ったりオフロード走行する人もいるだろう。
AC100W給電機能を利用して、大雨などの災害で活躍したPHEVもいるかもしれない。
いやーいい体験できた。三菱さんどうもありがとう。
車内にあった試乗用パンフレット。
