
アイミーブには、3~4年前、三菱ディーラーが1時間500円レンタルをしてたときに、
1時間だけ乗ったことがあった。
最近になってEVへの興味が増し、じっくり乗ってみたいとレンタカーを捜していたのだが、いざ予約しようとすると、ネット上ではありになっていても
軒並み廃止になっている。
鳥取の
キャルレンタカーで、ほとんど借りかけていたんだけれど、
ネットで倉敷アイビースクエアにアイミーブがあるという情報を入手、問い合わせすると本当だったので、一泊二日で借りた。
24時間4500円とあったので、当初は48時間借りようかと思っていたんだけど、
料金を確かめてみると、日が変わると別料金になるらしい。
例えば1日のAM9時に借りて、48時間後の3日のAM9時に返した場合、
料金は9000円ではなく、3日分の13500円かかると言う。
ちょっと料金の仕組みがよくわからない点もあるが、朝から翌日の夕方まで借りた。
他に必要なのは、任意だが保険料が1日あたり1080円(オール補償の場合は1620円)かかる。
レンタカー担当の方もホテルマンなのか、物腰の柔らかな紳士であった。
「1時間500円」と大きく表示があるので、短時間での貸出を主に想定してるようだ。
日産は、リーフを無償で1~2週間貸出している。EVはじっくり乗らないと
メリット・デメリットがわかりにくい部分があるので、できれば長時間乗って欲しい。
借りたのは、東芝のSCiB電池を載せたアイミーブMであった。
登録は去年になっていたが、シートヒーターがなかったので
おそらく前期モデルだと思う。走行3000キロほど。
車体にぺたぺたレンタカーである表示が貼ってあって、けっこう恥ずかしい。
真横から見ると、ホイールベースが長く、前オーバーハングが極端に短い特徴的なフォルムがよくわかる。
このプロポーションはFFには無理だな。
リアガラスの視界を妨げる部分にも貼ってあるのはいただけない。
外観で目につくのは、前腕の骨を彷彿とさせる2本アームのシングルワイパー。
確か三菱のサイトに、なぜ2本アームなのか解説があったような気が
したのだが、発見できなかった。
ワイパーがAピラー沿いに来たとき、Aピラーと平行になるためだったか。
しかし、別に1本アームでも問題ないようにも思える。
ワイパーアームにウォッシャーノズルが内蔵されていた。
ウッシャー液のチューブが、アーム根元に見える。
ワイパーが動いてる間はずっと曲げ伸ばしを繰り返すので、劣化しそう。
ライトはLEDかと思っていたら、ハロゲンのプロジェクターだった。
プロジェクターは照射範囲のカットがはっきりしている。
対向車への幻惑は少ないが、照射範囲以外は真っ暗なので
見えにくいと感じた。
ブラックアウトされているので、なんだか昆虫の目みたいな印象だ。
タイヤはダンロップのエナセーブ2030。前後異サイズで、前は145/65 R15。
後ろは175/55 R15だった。アイミーブは車体が重いので、タイヤが
減りやすいという報告を聞いたことがある。しかも前後異サイズなので、
タイヤ代がかかるかも。
空気圧は、前後共に250kPa(2.5kgf/cm^2)。
リヤモーター・リヤ駆動なのだが、前のボンネットを開けるといろいろ
詰まっていてモノを入れる余地はない。
真ん中の大きなタンクはコンデンスタンク(温水ヒーター液)。
その右側には、通常の12V鉛電池も見える。
ボンネットを保持するつっかえ棒なんだが、すごく短いL字型の金具を
引っ掛けるようになっている。軽いボンネットなんだから、ダンパー式に
すればいいのに。
フロントナンバー下に、ラジエーターが剥き出しになっていた。
モーターを水で冷やしているらしい。
跳ね石などがモロに当たりそうなところなので、カバーか網でもかけた
ほうがよくないか。
ナンバーに銀色の枠みたいなのがあるが、プラスチック製で触ると
ガタガタしてたし、とても安っぽかった。ないほうがいいな。
下を後ろから覗くと、スズキ車でもおなじみの、斜めに伸びるラテラル・ロッドが見える。
車内。軽としては高額なアイミーブだが、内装のクオリティは(デビューした当時の)普通の軽相応。
高いのは電池だな。
充電口は、急速充電と普通充電に左右に分かれている。
シート右下のこのスイッチを引っぱると、左後ろの急速充電口が開く。
左後ろのチャデモ(急速充電)コネクタ。照明はない。
普通充電口を開けるには、ダッシュボード下のコンセントマークのスイッチを引っ張る。
普通充電口は右後ろ。汚れがたまってるな。
シートはざっくりとした滑りにくい素材で、風合いがいい。
ペダル。
ペダル自体は問題ないが、アクセル手前のフロアに少し出っ張りがあって、不自然に感じることがあった(赤矢印)。
視界はよいほうだと思う。後席窓が切れ上がってないので、よく見える。
ホイールベースがとても長いので、車体の前のほうに座ってる感覚がした。
後席窓は全部下がる。
ちょっとCピラーが太いが、こんなものだろう。
レンタカーを示すシートをガラスに貼ってるのが邪魔だ。
前は三角窓付き。Aピラーが前に出た車は、ダッシュボード上面の奥行きが深い。このスペースを何かに使えないものか。
ほとんど平行四角形の助手席ガラス。
トランク。開口部がやや高め。
黒い袋に、普通充電のケーブルが入っていた。買い物袋みたいだな。
トランク右横に、ジャッキが押し込められていた。パンク修理キットは、リヤシートの下にあるらしい。
これは
取説を読まないとわからない。
後席を倒すとフラットになる。
トランクのカーペットをめくると、モーターなどのカバーが見える。
小物を入れるスペースはない。
パワーウインドーのスイッチが、全席ワンタッチ式であった。
ドアポケットには、A4サイズがギリギリ入る。
円を組み合わせたデザインは、メーターのモチーフを繰り返しているんだろうか。
オートエアコンがついていた。ダイヤル式スイッチは、軽く回り過ぎる。
ハザードもだが、反射のないつや消し塗装のほうがいいと思う。
シフトレバー。操作系はステアリングもペダルも軽いのだが、
シフトレバーだけ妙に固い。慣れもあるんだろうが、ジグザグゲート式の
レバーは操作性いまいち。
もちろんメーターにシフトポジション表示はあるのだが、レバー自体に
照明がないため、夜間レバーを見ただけではポジションがわからない。
ステアリングコラム右のスイッチは、左からASC(アクティブスタビリティコントロール)オフ、車両接近警報オフ、デフォッガー。
自分のポジションからだと、スイッチを目視できなかった。
始動方式はオーソドックスな鍵を回すタイプ。オーソドックスと言っても、もはやボタン式がスタンダードになりつつあるか。
ライトスイッチは、手前に軽く引っ張ってパッシング、強く引っぱるとハイ/ロー切り替え。
アウトランダーPHEVも同じだったので、三菱はこうなんだろう。昔のホンダも同じだったので懐かしい。
ウインカーの電子音が、テクノ曲の「ポップコーン」の出だしに音程といい音色といい似ていた。
ハザードも同じ音なのだが、スピーカーがひとつのようで、バックに入れてピーピー音が鳴り出すと、ハザードの音は消えてしまう。
グラブボックス&ドリンクホルダー。グラブボックスは上にも小さいのが
ついている。
シートヒーターはついてなかった。スイッチ穴がハメ殺しになっている。
真冬にも借りて、EVの寒さを実感してみたい。
後席に座ったとき、つま先を前席の下に入れられない。床下に電池が詰まったEVの宿命か。
メーター。ミッキーマウスのようなデザインである。
左の「E」は、シフトレバーをエコモードにしてるという意味。「エンプティ」のEではない。
右下のノブを押すと、航続可能距離、オド、トリップなどに切り替わる。
簡潔なメーターで良いと思うが、バッテリー残量計は%表示も欲しいと思った。
ガソリン車のようにキーを差し込み、回して少し保持すると、
ポーンと電子音がしてメーターに「READY」表示が出る。それが発進OKのサイン。
さてやっと走った感想であるが、500キロほど乗り回した結果、
あまり良いものではなかった。
乗り心地は、固めでハーシュネスがきついと感じるときがあった。
車重が重いのでしょうがないのかもしれないが、65タイヤぐらいの
固さが好みだ。
騒音は意外とうるさい。止まっていると静かなはずが、
頻繁にウィーンというモーター音が後ろのほうから聞こえる。
調べてみると、ブレーキの負圧を作るポンプの音のようだ。
EVでなくても、最近の車はアイドリングストップするので、
モーター音が聞こえる分、アイミーブのほうがうるさいことになる。
また、
車両接近通報装置がついており、
オフにしても始動するたびにオンになる。ヒーという高い音と、グアーンという低い音の2種類を
ミックスしているようだ。
高い音は高齢者に聞き取りにくく、安全という面では正しいのだろうが、
低い警告音は車内にも響き、何の音かと最初はびっくりした。
接近警告音は走り始めから鳴り出し、速度を上げると消え(ロードノイズが大きくなる)、速度を落とすとまた鳴り始め、
車両が止まった後、一呼吸置いて消える。
あんまりうるさいので、歩行者がいないところを走るときはいちいち消していた。
自分も駐車場などで、知らないうちにプリウスが後ろにいて驚いたことも
あるので、接近警告音が必要なのはわかるが、車内に響いてくると
EVの静かさが失われてしまう。
低音も指向性があればいいんだが、難しいのだろう。
加速はとてもいい。ほとんどエコモードで走ったが、それでも十分だった。
3~4年前に借りたときは、100キロほど出すとキーンという大きめの高周波音が
聞こえていた記憶があったのだが、今回は特にそのような音はしなかった。制御が変わったんだろうか?
電車が発進するときと似たような高い音は、接近警報を切っても聞こえる。
ロードノイズもけっこう大きく、EVにしてはいろいろ賑やかな車であった。
リヤ駆動ということで、特徴的な動きがあるかと思ったが、山道を走っても
特に違いはわからなかった。鼻先が軽い感じはした。
航続距離は、100%充電でメーターに表示されるのが110キロぐらい。
ただし、登り坂や高速で飛ばすとみるみる減る。
暖房をつけてもガクンと減る。ヒートポンプでない前期型は、条件が悪いと航続距離が40キロほどになることもあるそうだ。
充電時間はとても短い。笠岡ベイファームで残り航続距離2キロから、
85%充電まで14分だった。
残り2キロはバッテリーのセグメントがゼロになって点滅し始め、
かなり焦る状況なのだが、それでも16%ほど残っていた。
経過時間が11秒になってるのは、車体側の設定で85%で終了したため、継ぎ足し充電を始めたから。
このぐらいの時間であれば、トイレにでも行ってる間にすぐ充電が終わるので楽である。
しかし、充電器に先客がいた場合は、1台いれば30分ほどは待たねばなるまい。
残念ながら、アイミーブは急速充電中にエアコンが効かないし、
電欠寸前なら、暑さ寒さに耐えながら待たないといけない。
レンタル中も、うっかり上着を忘れて早朝出かけ、さんわ182ステーションで低速充電器を
使ってる間は寒かった。
念願のアイミーブではあったが、リーフやアウトランダーPHEVに乗ってしまった後というのか悪かったのか、乗り心地悪いし
うるさいしすぐ電池減るしと、ちょっと期待はずれであった。
ただ、軽サイズなので取り回しはすごくいいし、視界もいい。
充電時間も短いし、Mグレードは東芝のSCiB電池なので寿命も長い。
再来年ぐらいに出ると言われている、日産と三菱共同開発のアイミーブ
後継車はどんな車になるんだろう?