「流れ星の伝説」

昔、作った詩をひとつ・・・。


（1番）
ひとつ残った駅の灯（ひ）が
まばたきしたあと
駅は眠りについた。
見えるものも聞こえる音もなく
時だけが戻る。
オフィス街は煙草の煙に消え
ハイウェイは地下に沈む。
何もない、時さえもない空間に
駅だけが眠っている。
昇ることのない陽（ひ）を待っている。
ふいに現れた汽車は
ひとりの女の子を乗せると
やがて静かに地を離れ
闇の中に向かった。

（2番）
いつも笑ってたあの子は
海が好きだった。
海は眠りについた。
砂浜、港、真っ白の船、
ここには何もない。
空に消えたあの子は海を探して
闇の中をさまよう。
何もない、時さえもない空間に
あの子は「寂しい・・・」と泣いた。
瞳からこぼれた光る涙、
それは明るい星となって
暗い闇の中を流れた。
男の子がそれを見上げて
「流れ星だ！」と言った。