第1から5話までは、
こちら。
翌日、みひろと会った。
みひろはかなり怯えているようだった。
オレは思い切って、話しを切り出した。
「オレ達のことをひがんでいるヤツがいるのかな?」
「私、ラウダ君と再会する前、2年位前かな?
付き合ってた彼がいたの。
初めのうちは優しくていい人だと思っていたんだけど、
段々私を束縛するようになって、残業で家に帰るのが遅くなっただけで、
怒鳴ったりするようになったの。
時には会社の前で待っていたり、携帯電話のメールや着信履歴まで調べるようになったわ。
それで私、彼とは別れることにしたの。」
「すぐには別れられなかっただろう?」
「そうなの。しつこくつきまとってきたわ。怖くなって警察にも相談した。
私は平日はマンションと会社の往復だけ、休日はマンションに引きこもっていたの、怖くて。
そんな生活が1年近く続けたら、彼も姿を現さなくなったわ。
私に他に彼氏でもできたのか?とでも思っていたんじゃないか?と思うの。
それでも私は用心していたけど、もう大丈夫だろう、とラウダ君に会うことにしたんだ。」
「そうだったか・・・。でもヤツはみひろを尾行してたってわけだ・・・。」
「え?なんで?」
「尾行してなければ、オレの部屋を知るすべはなうでしょ?」
「ああ、そうだね・・・。ゴメンね、嫌な目に遭わせちゃって・・・。」
「いや、大丈夫だよ。確かに気味は悪いけど、逆にみひろへの愛情の強さが確かめられた。」
「え?」
「何があっても、みひろを愛していたい、ってことだよ。」
「本当!?有難う・・・。」
「でもしばらく、注意は必要だな・・・。ヤツはサラリーマン?」
「私と付き合ってた時は、サラリーマンだったよ。多分、今でも勤めていると思うけど・・・。」
「みひろ、しばらくオレの部屋で生活しないか?
こうやって会っている時だって、どこで見てるかわからない。
気をつけたいのは、お互いがお互いの家に帰る時、つまり一人になった時だと思うんだけど。」
「そうしたいんだけど・・・、いいの?」
「オレは一向に構わないよ。みひろの会社もうちからの方が近いくらいじゃない?」
「じゃあ、今から私のマンションまで付き合ってくれる?必要最低限の生活用品だけ持ち出すから。」
「そうだね。付き合うよ。オレの車で荷物、運ぼう。」
オレとみひろは早速行動に移った。
まず二人でオレのマンションまで行き、車を出してみひろのマンションに向かった。
みひろが荷物をまとめている時も、オレはみひろのそばにいた。
時々、外を確かめに行ったが、怪しい人影はなかった。
大きめのスーツケース1個とボストンバッグが2つ。
それを車に載せて、オレのマンションに運んだ。
マンションの駐車場からオレの部屋に向かう時も、周囲には気をつけた。
かなり緊張したが、無事に部屋に着いた。
オレもみひろも、ホッとしたせいか、疲れが出た。
みひろが「でも・・・、」と話し始めた。
「ん?なに?」
「こんな形でも、ラウダ君と一緒に暮らせるなんて、幸せかな?」
いつものみひろの笑顔だった。
「そうかもしれないなあ。ビールしかないけど、乾杯しようか!?」
「そうだね!」
時折、みひろのマンションの掃除や空気の入れ替えに行ったり、
居酒屋で一杯やったり、と「ストーカーまがいのヤツ」の事を
変に気をつけよう、という気持ちも薄くなっていった。
そんな生活が2ヶ月ほど続いた・・・。
しかし、「ヤツ」の心は確実に、嫉妬から憎悪へと変わっていた。
「ヤツ」なりに考え、オレとみひろが油断するのを待っていたのだ。
そして、「ヤツ」はある週末の夜、突然、オレ達二人の前に姿を現した・・・。
Posted at 2015/03/03 19:55:08 | |
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