[読売新聞 2014年2月27日]
佐賀市内で2007年9月、知的障害者の安永健太さん(当時25歳)が警察官に取り押さえられた
直後に死亡した問題で、遺族が県を相手取り、慰謝料など約4200万円の損害賠償を求めた
国家賠償請求訴訟の判決が28日、佐賀地裁で言い渡される。
地裁の付審判決定で特別公務員暴行陵虐致傷罪に問われた警察官の審判では無罪が
確定したが、遺族側は、警察官の取り押さえ行為の違法性を訴えている。
(光安素子)
訴状などによると、安永さんは2007年9月25日午後6時頃、同市南佐賀の車道上を自転車で
走っていた際、複数の警察官が手錠をかけるなどして取り押さえたが、直後に意識を失い
搬送先の病院で死亡したとしている。
裁判では、取り押さえた行為の違法性と、安永さんの死の予見可能性が大きな争点となっている。
遺族側は「取り押さえる前に知的障害に気付くことは可能で、暴れた際に背中の後ろに手錠をかけた
行為は、許容範囲を超えており違法。異変に気付くことができ、生命を守る配慮がなかった」と主張。
県側は「声をかけたところ、突然暴れたので知的障害に気付くことは不可能。
激しい抵抗にあったので、背中側での手錠はやむを得なかった。
異変は突然のことで、死亡を予見することはできなかった」と反論している。
地裁は昨年11月、和解案を提示したが、双方応じなかった。
安永さんの死を巡っては、父・孝行さん(52)が2008年に刑事告訴。
佐賀地検は不起訴(嫌疑なし)と判断。
孝行さんは付審判請求し、2009年3月、佐賀地裁は男性警察官1人について付審判を決定。
2012年9月、最高裁の上告棄却で無罪が確定している。
遺族側の河西龍太郎弁護団長は「知的障害に対する県警の理解のなさで、安永さんは死亡した。
同じようなことが起こる前に、判決では警察の責任を問い、教育の重要性を示してほしい」と
話している。