2021年9月初回投稿
2023年7月部分改訂(少し加筆とデータ追加)
令和3年8月大雨備忘録として。
今後の避難のタイミングを見誤らない為の記録として。
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私の住む地域はここ何年も梅雨末期になると恐ろしい程の雨に見舞われている。
平野部につき土砂災害は心配してないが、田園地帯なんでクリークや用水路が多く冠水し易い。
そもそも佐賀県自体がゼロメートル地帯と言われ、海面より低い所に陸地があるとの事だ。
そら水害に弱いな‥
そして私の自宅のすぐ裏には一級河川が流れており、氾濫危険水位を越えると切実に怖い。
それから梅雨が明けると秋口まで今度は台風の恐怖に曝される。
だから夏は嫌いだ。
もう1年中冬でいいとさえ本気で思っている。
今年の梅雨は何事もなく終わった。
避難指示も線状降水帯も1回も無く終わった。
素直に嬉しかった。
夏となり1番の楽しみは何をするでも無いが盆休みだ。
だが今年の盆休みは一足違った。
災害級の大雨の予報が出ている。
しかも1週間ほどそれが続くと言う嘘みたいな予報。
台風ならまだ解る。
なのに何故に梅雨明けてしてから災害級の大雨なんだ。
休みに入る頃には気分はどーんと落ち込んでしまった。
8月12日から休みに入った。
その12日は朝からずっと雨。
結構強い雨が断続的に降り、時折激しい雨に変わる。
河川の水位は上がって来ているが、まだこの程度であれば問題ない。
しかし夜になって激しい雨と強い雨の比率が逆転した。
おのずと河川の水位情報をチェックする頻度が上がる。
13日早朝、水位上昇が気になり5時前に目が覚めた。
外は意外と明るく雨は止んでいた。
裏の一級河川の上がった水位を直接見ようと、外へ出て土手を登る。
メチャクチャ増水している‥
雨の予報はまだ数日続くと言うのに。
この河川は過去に何度も氾濫危険水位を超えたが、私が知る限り実際に氾濫した事は無い。
優秀な河川の部類だとは思う。
だが今回ばかりはダメかも知れないなと思った。
あと数日降り続く予報なだけに‥
まずはS2000を避難させなければ。
気兼ねなく停めれる有料の立体駐車場は空きが無く、災害支援として好意で立体駐車場を解放してくれている、某施設へ置かせて貰う事にする。
これに関しては感謝しか無い。
あとは水位の変動を見ながら自分達がどうするか様子を見る。
15時頃だったか、客先から販売した機械が壊れて仕事にならん‥何とかしてくれと電話が入る。
本来技術担当の仕事だが、携帯に出ないとの事で、私に連絡を取ってくれとの事だ。
だが、こんな大雨の中を部下を行かせるのも気が引ける。
症状を聞けば営業マンの私でも解る部位の簡単な故障だったので、出向いて1時間程で終わらせた。
帰宅途中の道路はあちこちで冠水寸前になっていた。
この辺はすぐに冠水する地域だ。
おそらく数時間程度で水に浸かる‥。
何もなければ外出なんて考えないよな天候だったが、出ざる得ない状況となり、外の様子を見る事が出来て逆に良かった。
繰り返すが大雨予報はまだ数日続く‥強い不安を覚えざる得ない。
帰宅すると避難用にと嫁がバックに色々詰めて置いていた。
裏の河川も土手を越水程度で済めば良いのだが、もし決壊なんて事になれば、場所にもよるが家ごと流される可能性すら有り得る。
そうなった場合を考え、クローゼットにしまい込んでたS2000の予備のEPSを持ち出す事にした。
新品がもう手に入らない為、予備で購入した中古だが大事な部品だ。
購入して保管する際、いつか大雨でもし建物ごと流されるような事があった場合、なんべく壊れないようにと、緩衝材でグルグルに巻き、何重もの厚いビニールに巻いて防水仕様にしていた。
よって改めて濡らさない準備などせず、持ち出すだけで良い。
これに関しては自分の用心深さを褒めたいと思った。
雨の予報はあくまでも大雑把な地域毎なので、自分の住むエリアを限定して考えると、刻々と微妙に変わっていく。
日中の予報から少し変化があり、23時頃だったか、激しい雨は一旦小康状態へ。
雨雲レーダーを見ると夜中は激しい雨は降らないようで少し安心した。
更に2時間位すると河川水位も赤(危険水位)から黄色(注意)へ下がった。
何とか夜中に避難せずにすみそうだなと寝る事にする。
朝の4時前に物凄い雨音で目を覚ました。
まだ眠いが起きたからには水位情報を見ないと怖い。
黄色まで下がっていたし、寝てから2時間位しか経ってないから大丈夫だろう。
そう思いつつ確認すると、何とまさかの紫(危険水位超過)になっていた。
驚いて雨雲レーダーを見ると、今まさにリアルに線状降水帯の真っ只中だった。
こんなに予報が変わるとは‥。
これは嫁を起こして身構えた方がいいのではないかと考え始めた所、けたたましいサイレンがなり出した。
避難指示である‥。
◯◯川沿いの住民は特に急ぐようにとの補足の付いた放送も流れた。
エリアメールも鳴り止まない。
流石に危険を感じ、嫁を起こして避難所へ向かった。
私も嫁もコロナのワクチンを打っていない事を踏まえ、お互いの実家へ避難するのは遠慮すると決めていた。
こんな時間帯だと言うのも勿論あった。
避難所でのコロナの感染リスクを考え、トイレを借りに行く以外は駐車場で車内に残っていた。
とにかく足がキツかった。
しばらくすると、同じ佐賀県内でも私の町から離れた地域の河川が溢れ出し、大きく報道されたように大変な事になった。
失礼ながら佐賀人の私からすると六角川や牛津川は昔からしょっちゅう氾濫しているイメージしかない。
ウチの裏の河川は昔は氾濫の危険なんか考えた事すら無いのうな優秀な河川だ。
そんな優秀な河川ですら近年こんな危険な状態となるのに、昔からの暴れ川がタダで済む訳が無い。
本当に気の毒だが、住むのを考えた方が良い土地なんだろうなと切なくなった。
避難して10時間後位に心が折れ、実家へ避難させて貰おうと向かってみた。
しかし数キロも動けば東西南北全ての道が冠水で通れなくなっており、結局避難所へ引き返すしか無かった。
南北は完全に遮断されていたが、東西は車高の高い四駆なら何とか通れそうではあった。
私はS2000で無くこう言う車種に乗ったがいいのだろう。
興味が持てない自分が残念だ。
この避難での救いは車で動ける範囲内にコンビニ2軒とスーパーが1軒あった事だ。
弁当やパンや惣菜は何も無いが、贅沢さえ言わなければ食べれる物は手に入った。
夕方頃に再び線状降水帯に発展の可能性がある激しい雨の予報が出ていた。
取り敢えずこれを乗り切れればピークは越えそうだった。
予報の通り夕方になり雨が激しく降り出した。
だが思ったほどでは無い(ような気がした)
そして1時間だかそこらで小康状態へ。
ピークはまだか、早く終われと思っていたら実はそれがピークだった。
もう雨に対する感覚が完全におかしくなっていた。
ちなみに河川水位はまだ氾濫危険水位越えの紫だ。
ピークは超えてもこれが紫だと怖くて帰れない。
それから4、5時間程経って水位が黄色へ変わった。
取り敢えず危機は脱したか?
足が痛いし、何より精神的に参ってるし、予報を信じて帰る事にした。
結局日付けが変わった頃に帰宅した。
帰宅してみると裏の空き地を昨年買い、家を建て引っ越して来た若い夫婦が不安そうに外に出ていた。
河川からでは無く、少し離れた用水路の水が溢れ、駐車場の半分ほどまで来ていた。
幸い私の所は近隣住宅より10センチほど高くなっているので、本当にギリギリ水は来ていなかった。
夫婦はこの河川が増水して危険な状態になるとは想像もしてなかったようだ。
こんな事っは良くあるのかと聞かれたので、避難勧告だけなら毎年複数回、避難指示は出ない年もあるが、年に2回、下手すりゃ3回位までなら出た事があると伝えると絶句していた。
まだローン払い始めたばかりだろうと思うと正直可哀想だと思う。
ちなみに帰った時点ではトイレは使えなかった。
ビニールに水を入れて排水部分に蓋をしていたが、無かったら逆流していたかも知れない。
15日早朝、取り敢えず晴れている。
一応のピークは超えたようなのでS2000を取りに行った。
本当に某施設はありがたかった。
結果から言うと実害は何も無かった。
後付けで言えばS2000も含めて避難は必要無く、大袈裟に行動して疲れただけだ。
無駄に体は疲れ、精神的に消耗した。
だけど1つだけ良く解ったのが、次回からの避難のタイミングだ。
今まで河川水位情報は紫になったらヤバイから即避難と思っていたが、過信は禁物ながら紫でも数時間は大丈夫だと知る事が出来た。
裏の河川もあれだけの雨に本当に良く持ち堪えてくれたなと感動すら覚える。
避難所もこの河川の近くでありつつ、恐らくその位置で土手は切れにくい構造になっている。
そして非常に水捌けが良く作られており、周辺は浅く冠水していたが、ここだけは全く浸からなかった。
次回から某施設まで持っていけないのであれば、S2000の避難はここで良いだろう。
今回は休みの日だったので某施設まで持って行けたが、いつもは仕事から戻ってからになる。
これまでは既に冠水して引き返さねばならなかったり、行けたとしても停める場所が空いてなかった。
これが解った事だけで収穫だったなと思う事にした。
とにかく、とにかく疲れた盆休みだった‥。
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データ追記
降雨期間8月11日〜15日※14までが実質期間
佐賀県雨量計1035ml
居住地推測雨量計855ml
自宅裏一級河川12日夜〜14日夜まで避難判断(赤)〜氾濫危険水位を変動(紫)
15日に11日以来初めて氾濫注意(黄)まで下がる
去年は珍しく特に恐怖を感じる事も無く平穏に過ごせた。
今年もそうなればいいな‥