
さて、レポート第四弾はホンダ CR-Vになります。
今回検討対象としたのは、 CR-V ガソリン EX 5人乗り FF
(但し、レポート内の試乗車は、AWDグレードです。)
5代目CR-Vのエンジンは、ガソリン1.5Lターボとi-MMDと呼ばれる2.0Lハイブリット、それぞれFFとAWDが選べます。
グレードはEXと上級グレードのEX MASTER PIECEの2種類。
ガソリン車は5人乗りと7人乗りの選択が可能です。
CR-Vは4代目で、一旦国内販売を中止し、5代目にあたる本車は既に、北米や欧米では登場済みの車両を昨今のSUVブームに乗って、国内でもまたCR-Vを復活して販売を開始したと言うものです。
初代のCMでは、「ホンダ買うボーイ」のキャッチコピーで、ユーモアを感じさせるものでしたが、今回5代目CR-VのCMの中でも初代へのオマージュと言う事で、チラッと初代CR-Vとカウボーイハットを被った外国人男性が登場していて、クスっと笑えます。
初代CR-Vは同じく初代ステップワゴンとパワートレーン等を共有し、ハンドルコラムシフトによるフロントウォークスルーや、荷室のカーゴボードに足を付けるとテーブルになったり、中々面白いライトクロカンでした。
2代目は、全長を伸ばし居住性をアップさせ、ハンドルコラムシフトからインパネコラムシフトにするなど洗練方向になりました。
私は過去、2代目CR-Vか、初代エクストレイルの購入で悩みに悩み、走行性能は圧倒的にCR-Vが良かったにも関わらず、デザインが気に入らず、エクストレイルを購入したと言う経緯がありました。
3代目では、既にメインマーケットは北米に移行し、ライトクロカンと言うキャラクターから上級化+ズアップ。
4代目では、3代目のマイナーチェンジ?と言う感じで、ほぼスキンチェンジでしたが、何だかコストダウンが目立つ感じに・・・
でいつの間にか、日本市場からフェードアウトして行きました。
初代:エポックメイク、2代目そのブラッシュアップ、3代目:コンセプト変更、4代目:コンセプト変更、走行性能アップ、しかしエクステリアとインテリアは3代目の方が良かったかも?
CR-Vの初代から4代目への流れを見ていると、同じホンダのオデッセイに通じるところが多少あるように見えるのは私だけでしょうか・・・。
で、少しのブランクを経て、今回5代目は、北米、欧州で既に過年度にデビュー済みの車両が、ようやく日本デビューと言う、まるで輸入車のような立ち位置で、CR-Vは日本市場に帰って来ました。
さて前置きが長くなりすぎました。
と、言う訳で、今回5代目CR-Vのカタログを見た一言目は
「これだけ、サイズも車格もアップしたのだからCR-Vって名前使わなきゃ良かったのに」
と言う事を感じたとともに
「ついでに、日本でも売りました」
って感じが少々・・・
この既視感はシビックの日本販売復活の時も感じたような気がします。
と、言うのも、装備差によるグレードの選択肢殆どない、メーカーオプション殆どない、そしてライバル他車より高い!!
いや高いの分かるんですよ、純正のインターナビやバックカメラついて、ETC2.0ついて、エンジンだって普通の自然吸気ではなく、ダウンサイジングターボって事は補器類が色々つく分高くつくだろうし・・・
でも、このクラスの優等生、フォレスターやCX-5から比べると25万円位は高いと思うのです。
同じ予算でCR-Vを選ぼうとすると、FFの選択肢となります。
CR-Vと言うネーミングのために、もっとライトとなものを想像してしまうのですが、今回の内容だとアコードクロスオーバーとか、シビッククロスオーバーとか、何か違う名前にした方が良い気もします。
とは言え、8月末にデビューしたての、出たてほやほや、デザインは嫌いじゃありません。
さて、5代目となった現行 CR-Vはいかがでしょうか?
【試乗前の感想】
・全幅1855mm、このクラス標準となった1840mmから比べると、ほんのちょっととは言え、やっぱり大きい。
・ホンダのディーラーは殆ど地域単位なので、マツダやスバルのように転勤先でも同じ販売会社と言う期待は出来ません。
・デザインは塊感がありつつ、角を取ったと言う感じで、悪くないです。
・内装 については、インパネはSUVと言うよりミニバンに近い感じ。インパネシフトのようなシフトセレクターが、そう言う印象を持たせるのではないかと思い、明らかに運転席と助手席を隔てているCX-5あたりとは考えが異なる気がします。
・雑誌で見た欧州仕様車は独自のインフォテントシステム搭載と言う事で、ナビ回りはiPadのような黒いフレームで綺麗な感じでカッコ良いですが、日本仕様はギャサズの7インチナビが標準となっており、ここは欧州仕様から見ると著しくデザインを損ねています。
・ナビ、ETCまで標準で、メーカーオプションも殆どなく、グレードさえ選べば後は悩む要素も無さそうですが、問題はその価格が高いこと。
・安全運転支援装置はほどほど充実。
ホンダセンシングはのACCは全車速対応のもので良し。
踏み間違い防止、誤発進抑制、LKA、オートハイビーム(アダプティブ制御LED)で問題なし。
カメラ系については、バックカメラは標準、フロントビュー、サイドビューカメラはディーラーオプションで選んで下さいになっていますが、標準装着のナビとの連携はバッチリのようで、フロントビューカメラについて、場所を登録しておくと自動表示出来ると言うのはすごく良いと思います。
・見た目のサイドウィンドウ、クォーターウィンドウのサイズはほどほどの広さ。デザインと視界の間で、いい塩梅を取ったと言うかんじでしょうか、乗ってみたらどんな風に感じるか楽しみです。
【試乗後の感想】
(パワートレイン)
・1.5LのVTECターボエンジンは190馬力。数字を見ると結構ハイチューンのエンジンでは?
と言う感じですが、出だしも軽いですし、扱いやすいですね。車自身はそこそこ重たいはずなのに、もっと小さい車に乗っている気分にさせてくれる感じで、するする進んでいきます。
この辺は同じエンジンを積むステップワゴンでも感じましたが、それよりももっと軽快な感じでした。
この性能をハイオクではなく、レギュラーガソリンで実現しているところも◎
・CVTのミッションも、街中を軽く流す分には、流れるようなフィーリングで特に良くも悪くもないと言う感じですが、燃費には効きそうです。
(エクステリア)
・プレミアムレッドクリスタルメタリックは、マツダのソウルレッドメタリックと並ぶほどで、明るくキラキラ感があっていい色ですね。
・Aピラーは太さを感じるもののSUVとしては標準的、位置も悪くありません。
ドアミラーの位置はピラーマウントなので、ドアマウントや三角窓付きの車両からすると、若干前側方が見づらい感じはありました。
ボンネットは左右の峰が盛り上がっているデザインで、前方の感覚はつかみやすい方ですね。
・サイドウィンドウ、リアウィンドウ及びクォーターウィンドウの面積はフォレスターほど広くはありませんが、それぞれほどほどのサイズで見づらくはありませんでした。
・気が付いたら、ホンダ車のスマートキーによるドアの解除も、リクエストスイッチによる開錠ではなく、トヨタ車みたいにドアノブを握って開錠になったようで、これは私にとっては歓迎すべきことです。
(インテリア)
・運転席メモリー機能付きパワーシートが選べるのが〇
ファブリックのシートのEXグレードでも、本革シートのEX ASTER PIECEのどちらでも標準装備。
残念ながらフォレスターのような、シートメモリと連動してドアミラーの鏡面の位置のメモリーについては、無いようです。
・デジタルメーターは、ちょっとグラフィックに乏しいかな。プレミアムと言う感じよりも少し幼稚な感じがします。 バーグラフ調のタコメーターはホンダ車好きですね。
・最新の車でありがら、HUD(ヘッドアップディスプレイ)が無いのは残念。
但しこの残念さは、もっと残念がありまして、欧州仕様では装備選べるんですよ(怒)
日本仕様は省かれています。
独自のインフォテントシステムが組み込めなかったのと関係しているのでしょうか?
HUDはACCの作動状況を知るのに是非とも欲しい装備です。
・収納スペースはSUVとしてはほぼ十分、アームレスト下のスペースには色々工夫が凝らされていて、最大に広げるとハンドバック位は置けそうな感じです。
(乗り心地)
・とりあえずスムーズ、235の18インチのシューズを履いていることを考えると当たりも角が取れていて、スムーズ、非常にリラックスして乗れるかなと思います。
反面大らかすぎて、そんなにきびきび感は無い感じで、正直言うと記憶に残らないと言う感じでした。
・この車に関しては、奥さまと試乗に臨まなかったため、後席の印象は分かりません。
後席のシートについては、標準的なサイズが確保され、フォレスターのようにヘッドレストの高さが低いと言う事はありません。
(荷室)
・パワーゲートがEX MASTER PIECEで無いと選べないのは×××(怒)
EXではメーカーオプションも設定されておらず、パワーゲートが欲しいだけで、36万(ガソリン・FFの場合)サンルーフ、本革シート付の車両を選ばなければならないなんてナンセンス。
・開口部もそこそ、高さもまずまずで使いやすそうです。トノカバーも標準装備で〇
(安全運転支援装備)
・ホンダセンシングは、現在渋滞追従制御機能付きとそうでないものに分かれますが、CR-Vは制御付き。
ACCはアイサイトツーリングアシストのレベルには達していない気がしますが、基準となっているC-HRのTSSP(トヨタセーフティセンスP)より格段自然
(駐車支援装備)
・ステップワゴンとかにある上から俯瞰した画像の360°ビューモニターは残念ながら選べず。
フロント及びサイドビューモニターはディーラーオプションで選択可能。
オプション品の操作性は特に問題なしです。
【奥さまの評価】(試乗はしていません)
・明らかに大きな車に見える。
・デザインは好きでも嫌いもないが、優しい感じはする。赤い色はCX-5と同じでキレイで良い。
・後席は窓も大きく解放感もあり、前席側も良く見える。但し乗り降りに関してはCX-5よりも座面が高く、チャイルドシートを載せた際の位置も高い。
・ドアが分厚く、運転席の乗り降りは少し地面が遠い。
サイドシルプロテクターもあってすそが汚れづらいのは助かる。
【総評】
こちらも2018年デビューの車両で、新しさ感はいっぱい。
久々にホンダ車でフロントフェイスがちょっといいかもと思いました。
と言うのも、アコードから続き、新型シビック、フェイスリフト後ステップワゴン スパーダへと続く、薄目LEDライトに横長メッキグリルがかかるUSホンダ顔に食傷気味でしたが、CR-Vは毒されていないかなと・・・(苦笑)
あまり飛び道具が無いと書いてしまったスバル フォレスターに対し、こちらは車両価格が400万オーバーとなってしまいますが、2モーターハイブリットのi-MMDのAWDもありますし、ガソリン車も
ダウンサイジングターボエンジンとなっています。
欲を言えば、ガソリン車のトランスミッションが8速ATなら、もっと今どき感があったでしょう。
(この辺はプライスタグがワンランク上となってしまいますが、ボルボXC40やXC60、BMW X1は強いです。)
ただしですね、CR-Vのプライスタグって、今までの感覚で言うとフォレスター、エクストレイル、CX-5あたりを意識していたと思うのですが、それでいくとあと25万円程度プライスを落とさないと、最初に候補から外れてしまうと思います。まさに我が家のような感じです。
設定しているライバルがトヨタ ハリアーや7人乗れるグレードもあると言う事でマツダ CX-8あたりのプライスになっているかと。
で、あらば今度はそれらと対抗しうる質感をもっているかと言うと、「木目調が明らかにプラスチックに見えて何が悪い」と言わんばかりの、アクセントパネルや、グラフィックに乏しいスピードメーターなど、もう少し高級感アップに努めないと、こちらの競合他車に見た目で負けてしまっています。
シャーシ、パワートレーン等は絶対負けていないと思いますよ。
確かにブランニューの車両として、今乗り換えるならこう言う装備が欲しいな、こう言うスペックが欲しいなと言うものを備えている車両だと思います。
正直欲しいなって思わせる部分もあります。
でも、これだけのプライスになってくると、他に選べるもっとすごい車が出てくるんですよ。
フォルクスワーゲンのティグアンとかBMWのX1とか、ここまで来たらもう一頑張したら手が届くかも・・・って。
いいシャーシ、そこそこ視界の良いエクステリアデザイン、ガソリンエンジンとしては、悪くない燃費と、全体的に優等生です。
フォレスターのところで途中まで似たような事を書きましたが、こちらは「この車買いたい!」とか、奥さまに「この車なら買ってもいいわ」と、言わせる何かはあると思います。
しかし、競合他車を見渡すと
「この値段なら、あちらの車の方が、よっぽど装備が良い(or 安く買える)」
と、言うことで、CR-V指名買いと言うコアなホンダファンや、i-MMD+AWDと言う、先進性に惹かれた…と言う方には良いと思いますが、私の感想は前者の方です。
さらに言えば、このCR-V、北米向けには2016年の11月にデビューしています。
日本の仕向けにこれだけ時間を要したのではなく、日本のSUV市場が加熱してきたため、投入したと言う事でしょう。
競合他車も多かれ少なかれ、北米市場で売ることを見据えて設計していると思いますが、この車はあからさまに…と言う事をより感じます。
特にほぼモノグレードになったグレート設定に代表する売り方のように。
さらに、欧州仕様にあるインフォテントシステム全般が日本仕様では省かれた事も大いに不満です。
どうも日本市場は片手間と言う気にさせられてしまうわけです。
この辺は同じような北米&日本のマーケットで戦おうとしている、スバル フォレスターとは大きな温度差を感じてしまうわけです。
いい車を作り上げたエンジニアの方に敬意を表しつつも、それを魅力的な商品として売り出せない企画サイドに不満です。
以上、ホンダ CR-Vの感想でした。