いよいよ、ポルシェミュージアム後編です!
後編では、ポルシェのレースカー(レンシュポルト)を中心にレポートします。(今回も長編なので、お時間に余裕をもってどうぞ~)
まずは、こちらのエリア↓から~
1958年 356A 1600S スピードスター(Speedster)
1960年 356B 2000GS カレラGT(2000GS Carrera GT)

Carreraの名が示すとおり4カムレーシングユニット“フールマンエンジン”搭載。
開閉できる部分のボデーパネルはアルミ製に換えられているとのこと。

ホワイト塗装のセンターマフラーがレーシィで良いですね!
1960年 356B 1600GS カレラGTL アバルト(1600GS Carrera GTL Abarth)

通称“カレラアバルト”ですね。356Bをベースにイタリア人デザイナー フランコ・スカリオーネによってデザインされ、トリノのカロッツェリア カルロ・アバルトによって製作されたGTレーサー。
ポルシェは、このモデルによって2リッタークラスのワールドチャンピオンを3度獲得した他、1962年のタルガフローリオにおいてクラス優勝も成し遂げました。

個人的にはこのリアビューがとてもお気に入りです。ポルシェ×アバルトの危険な融合!?(笑)が良く体現されていてカッコイイですよね^^;
大好きな1台です♪
1963年 356B 2000GS カレラGT(2000GS Carrera GT)

1963年のGTカテゴリーに向けてポルシェが送り出したのが、2リッターのフールマンエンジンを搭載した356B Carrera2をベースにしたこの'63 2000GS Carrera GT。
1963年のタルガフローリオでは、エドガー・バルト&ハーバート・リンゲの駆る2000GS Carrera GTが718GTR,Ferrari Dino 196SPに続く3位でフィニッシュしています。
また、このクルマのユニークなシルエットから“dreikant-schaver(トライアングルシェーバー)”や“wedge blade(カミソリの刃)”などの愛称で呼ばれたそうです。

まぁ、天井から上方向に柄を延ばせばカミソリに見えなくもない・・・^^;
実はこのクルマ、かねてから実車を見たいと思い続けていたクルマなんです!
この悩ましいスタイリングが魅力的なことは言わずもがなですが、356であって356でない、むしろフロントセクションは718W-RSや後の904の系統でありながら・・・

この角度から見ると、どう見ても'60年代のGTカーですよね。

しかも、ちょっとイタリアンGT的にも見える、何とも魅力的な'63 356B 2000GS Carrera GT。

ポルシェミュージアムが現在の巨大建造物にリニューアルしてすぐ2009年の雑誌の記事には、この2000GS Carrera GTが展示されている写真が確認できたのですが、その後2011年、2012年と訪れるも見れず仕舞い。今回ようやく実車を拝見できたことで、このクルマが増々好きになりました~♪
1962年 804 フォーミュラ1(Formel 1)

1.5リッターのフラット8ユニットを搭載したF1マシン。
グランプリではダン・ガーニーのドライブでフランスGPで1勝、ノンタイトル戦のシュトゥットガルト近郊のソリチュードGPで優勝しました。

コイル何個付いてるんだか・・・^^;
1964年 904 カレラGTS(904 Carrera GTS)

904です。ポルシェとして初めてプラスティック(FRP)製ボデーを採用したクルマ。4~8気筒の空冷フラットユニットが搭載されて、タルガ・フローリオをはじめ,
モンテカルロラリー,ルマンなどで成功を収めたモデル。日本でも日本グランプリでお馴染みですね。

ちなみに展示車は8気筒モデルだそうです!
1966年 906 カレラ6(906 Carrera 6)

解説にはポルシェ初の純レーシングカー(Thoroughbred Racing Car)であるとあります。904が生産性を考慮してボックス断面フレーム+FRPボデーだったのに対して、906が鋼管スペースフレーム+FRPカウリングという成り立ちに由来した認識でしょうか。そういえば、904は“Carrera GTS”ですが906は“Carrera 6”。904まではロードゴーイングも想定して造られているのでしょう。
1968年 909 ベルグスパイダー(909 Bergspyder)

欧州ヒルクライム選手権用に造られた2リッター空冷フラット8(275ps)搭載のマシン。

コンセプトは“可能な限り軽く造れ”という解りやすくも難しい要求に対して、薄肉プラスティック製カウル,アルミ鋼管スペースフレーム,ベリリウム製ブレーキディスク,特製燃料タンクなどを駆使して、なんと車重384kgに抑えられているという。マジすか・・・^^;
1969年 908 LH クーペ ♯64 (908 LH Coupe ♯64)

LHはラングヘッグ(ロングテール)の意味で、908のロングテールヴァージョンです。

この♯64号車は1969年のルマンでハンス・ヘルマンのドライブによって、ジャッキー・イクスの駆るフォードGT40と、最終ラップまで首位を入れ替えながらのデットヒートを繰り広げたクルマです。結果的にルマンは、ジャッキー・イクス&ジャッキー・オリバー組のGT40が優勝するも、その年のメイクスチャンピオンをポルシェにもたらしました。
1970年 908/3 スパイダー(908/3 Spyder)

908/3スパイダーは徹底した軽量構造シャシと、12kgしかないFRPカウリングにより車両重量545kgを実現しています。また、従来型908に比べ、ドライバー&エンジンユニットを前進させることで重量配分の適正化も行われました。

ポルシェワークスが908/3で参戦したレースは4回のみですが、そのうちの3回で優勝を挙げ、その中には1970年のタルガ・フローリオも含まれています♪
車両解説には書いてませんでしたが、この908/3の改良には前述の909ベルグスパイダーの徹底した軽量化技術が生かされたといわれています。エンジンは前年の908/2と同様に3リッターフラット8ユニット(350ps)が採用されています。
1971年 917 LH クーペ(917 LH Coupe)

917のロングテールヴァージョン。ロングテールによる空気抵抗低減(ロードラッグ)効果により、ルマンの6kmの直線“ユノディエール”で387km/hを記録した。この記録は1988年に地元フランスのルマン最高速ランナー(笑)WMプジョーによって破られるまで、ルマンでの最高速度記録を長らく維持しました。
1971年 917/20クーペ(917/20 Coupe)

1971年のルマン テストデイに登場したこの917は、その独特のフォルムから“Belta the Sow(雌豚ベルタ)”の愛称で呼ばれたことから、ルマン本戦では豚肉の部位の名称が描かれたユニークなペイントを施されたカラーリングで出場しました。

このカラーリングから、後に“ピッグ(Pig)”や“ピンクピッグ(Pink Pig)”などのニックネームで呼ばれる有名な917ですね。ちなみに決勝はリタイア。
また、ドライバーの1人が後にポルシェ及び現アウディの有力レーシングチーム“ヨースト”を率いるラインホルト・ヨーストであったのも興味深いですね♪
1974年 カレラRSR ターボ2.1(Carrera RSR Turbo 2.1)

ターボによって500psを発生するこの911カレラRSRは比較的軽量な車重も相まって、挙動変化が著しかったようです。そのために2m幅のリヤフェンダーと壮観(スペクタキュラー)なリヤウイングを備えたとのこと。

911のリヤセクションをベースに、これだけの空力付加物を生み出してしまうのだから、まさに一大スペクタクルですね^^;
1976年 934

1976年~1977年にかけてFIAのグループ4カテゴリーに合わせて、市販の911ターボをベースに製作されたGTレースカー。
1977年 936/77スパイダー(936/77 Spyder)

ワールド スポーツカー チャンピオンシップ(WSC)に向けて開発さられた936は、ルマンで1976年,1977年,1981年の3回の優勝を掴むなどの成果を挙げ、最も成功したポルシェのレーシングカーの1つです。また、ポルシェがターボエンジンによって、初めてルマンを征したクルマでもあります。

なんか、このアングルで撮って欲しそうな顔をしてるので1枚パシャリ^^;
1981年 924 GTPルマン(924 GTP Le Mans)

後の944開発のために924GTPのコードネームを与えられ、1981年のルマンにヴァルター・ロール&ユルゲン・バルト組のドライブで出場。
1982年 956

FIAのグループCカー規定で造られた956ですが・・・逆さまです^^;
321.4kmに達すると発生するダウンフォースによって、理論上は天井も走ることができます。という技術展示の1つです。
1986年 961

水冷4バルブヘッドとツインターボの組み合わせをテストする目的で開発した959のサーキットレース仕様。見事IMSA GTPクラス優勝を挙げ、総合でも7位に入りました。
1986年 959 パリ-ダカール(959 Paris Dakar)

ポルシェは、このハイテク車959の実走試験として、考えられる上で最も過酷と言われるパリダカールラリーに参戦。結果はレネ・メッジ&ドミニク・ルモイヌ組が総合優勝、ジャッキー・イクス&クロード・ブラッスール組が総合2位というダブルビクトリーを達成。さらにサポートカーとして参加していた3号車までもが6位を獲得しました。
昔この959パリ-ダカールを題材にしたスーパーファミコンのゲームソフト(“BIG RUN” by ジャレコ)が発売されていて、自分はめちゃくちゃハマってました♪
今思えば、アレ結構マニアックなゲームですよね・・・SS途中で故障したらサポートカミオンとか呼べるし・・・^^;
1990年 911カレラ2 カップカー(911 Carrera 2 Cup)
1996年 911 GT1 '96

1996年のGT1選手権、及びルマン出場を目標に市販車(993型911)をベースとして、僅か9か月間で製作されたレースカー。

ポルシェは、この新たなファクトリーカーによって、その年のGT1カテゴリー(BPR GT選手権)で成功を収めましたが、ルマンでは奇しくもヨースト・レーシングの走らせる別のポルシェ(WSC Spyder)に総合優勝を持っていかれ2位,3位となりました。
ちなみに、このWSC Spyderはポルシェがデイトナ(IMSA規格)への参戦を目指して製作するも、レギュレーション変更のあおりを受けて参戦を諦めたためにヨーストに売却したクルマと言われています・・・なんとも皮肉な・・・^^;
2001年?(年式失念) 911 GT3 RS
2006年 RSスパイダー(RS Spyder)

アメリカ ルマンシリーズ(ALMS)で、プライベータの手により上位クラスのAudiすらも下してしまう活躍が、まだ記憶に新しいですね^^;
2008年 カイエンS トランスシベリア(Cayenne S Transsyberia)

2006年,及び2007年にプライベートチームがトランスシベリアラリーに2年連続優勝したことを受けて、2008年大会へ向けてポルシェが開発したカイエンSのトランスシベリアラリー参戦車。結果、カイエンS トランスシベリアは上位6位までを独占したそうです・・・^^;
2013年 911 RSR

最後は昨年の世界耐久選手権(WEC)でお馴染みのこのクルマ。次年度LMP1クラス参戦へ向けたテスト的な意味合いも強かった2013シーズンですが、見事ルマンではLM GTE-Proクラス優勝を挙げました。
レンシュポルトは1台1台の輝かしいヒストリーが豊富で、やはりたっぷりな内容になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます!
ポルシェミュージアム後編は以上になります。
ここまで読んで、あれッ!ひょっとして550なし?と思われた方も多いと思いますが、ご心配なく^^;
ポルシェミュージアムは昨年の911 50周年企画の後に、“Super Sportwagen(スーパースポーツカー!?)”60周年の企画展示中です。550は356とは別路線のスーパースポーツカー第一弾として、その企画展に展示されています。
まぁ、つまり2013年は550も60周年メモリアルだってことですね!
あまりにも、後編(レンシュポルト編)が膨大になってしまったので(笑)、企画展の模様は次回に緊急特集します^^;