いよいよ走り出した欧州自動車博物館巡りの旅。
シュトゥットガルトを出発してから約12時間。
途中で仮眠をとりながら、メガーヌは北ドイツに入りました!
全くもって夜明け前の“夜です”が、“ヒルデスハイム(Hildesheim)”に到着!爆^^;
僕の欧州自動車博物館巡りの旅のスタイルは、昼間に博物館を見学して夜は次の町への移動も兼ねて車中泊というのが、すっかり定番になっています。この方法だと2日あれば2つのミュージアムをハシゴできるので、旅程がタイトなリーマントラベラーでも効率よく博物館を巡ることができます!
そして、そんな弾丸トラベラーの強い見方が、この↓目印
ヨーロッパではシャワー室を設けているPAが多いので助かります♪
設備は国によってまちまちですが、概ねヨーロッパ各地のユースホステルや安宿にあるような感じの簡単なシャワーが設けられています。
ドイツは有料なだけあって比較的設備も手厚く、このように↓ドライヤーまでついている場合もあります。
ドイツでは2~3ユーロ程度で借りることができて、借りる際はPAのレジでシャワーを貸してほしいと申し出れば鍵を渡してくれます。ちなみにドイツ語でシャワーは“Dusche(デュッシェ)”と言います。“デュッシェ”と言って、手でシャワーの水が出るようなジェスチャーをすれば、大抵は解ってもらえます^^;
シャワーも浴びてスッキリしたので、ハンブルクに着く前にアラータールPA(Allertal)で朝食にしました。
チョイスしたのは、フライシュケーゼ(中央)、エンドウ豆のスープ、ジャム&パンとコーヒー。
フライシュケーゼは中央のミートローフ風の半熟卵が乗った食べ物で、ドイツの大衆料理だそうです。このフライシュケーゼ、結構味も濃いめで美味しかったです。やっぱりドイツは肉料理が良いですね^^;
丘陵地帯に風力発電が立ち並ぶ北ドイツらしい風景になってきました。
ちなみに、手前は日本未導入のシュコダ ファビア(Skoda Fabia)のワゴンモデルですね。シュコダ社はフォルクスワーゲングループに属するチェコの自動車会社で、ファビアはポロとプラットフォーム共通だったと思います。
ほどなくしてハンブルク市内へ入り、
赤レンガ倉庫街にあるPROTOTYP Museumが見えてきました。
企画展“911 50周年記念展”の巨大なバナーが見えますね♪
こちらは、PROTOTYP Museumの目玉、最近復刻されたPorsche typ 64のバナーですが、どうやらこのtyp 64は現在アメリカに行っている様でいませんでした~(T T;)
PROTOTYP Museumのスタッフ情報によると3月までいないそうです。
とりあえず駐車場にメガーヌを停めると、来場者駐車場に懐かしい初代レガシィ(BC型)がいました。
BC型後期モデルのようですが、欧州仕様は後期もリヤガーニッシュにライセンスプレートが付くんですね。
どうやら2.2LのNAモデルのようです。この型のレガシィ、最近日本でも街中ではめっきり見なくなりましたね。やはりVW製やポルシェ製の空冷フラット4に所縁のPROTOTYP Museumに来るくらいのオーナーのこと、近代の日本製フラット4にも興味があるようですね^^;
前置きが長くなりましたが、いよいよPROTOTYP Museum館内へ進みます。
このミュージアムは以前2009年に初めて訪れた時に、興味深い展示車ももちろんですが、館内の雰囲気というか空気感が心地よくてとても気に入り、是非もう一度訪れたいと思っていた博物館です。
このミュージアムの成り立ちは、ハンブルクの実業家 オリバー・シュミットとトーマス・ケーニッヒが、設計者兼レーシングドライバーであったオットー・マテ(Otto Mathe)とペーター・マックスミュラー(Peter Maxmuller)によって造られたクルマの魅力を皆に伝えたいと思い開設したそうです。
彼らは第二次大戦直後のレースの復旧に貢献しました。ドイツの大戦直後の初期のレースカーやスポーツカーは戦前のフォルクスワーゲンをベースにして製作されいて、PROTOTYP Museumではその興味深いクルマ達に特別な関心を持ちました。その理由は、戦後のこれらのユニークなレース用の試作車両“PROTOTYP(プロトタイプ)”は、彼ら自身によって設計され、レースにも自ら出場していたからです。これらのクルマは、ここPROTOTYP Museumに自動車史上に特別な功績を残したその他のレースカーやレコードカー,スポーツカー,フォーミュラーカーと一緒に展示されています。
今回はPROTOTYP Museum前編として、ミュージアムの常設展示コーナーのクルマにフォーカスしてレポートしていきます。
1954年 デンゼル1500S(DENZEL 1500S)
第二次大戦後が終わって間もない頃、ウォルフガング・デンゼル(Wolfgang Denzel)はウィーンに工房を建て、そこで彼が最初に製作したロードスターはキューベルワーゲンのシャシを使って造られたそうです。このDENZEL 1500 Sport internationalは、フォルクスワーゲンの先進的なシャシー(おそらくTYPEⅠ?)と部品を使い製作されたようです。
そんなDENZEL1500Sの内装はこんな感じ↓
エンジンは当然VW製のフラット4をリヤエンドに積んでいます。
1946年 チシタリア D46 (Cisitalia D46)
ピエロ・デュシオは戦前、才能のあるレーシングドライバーでした。しかし、彼は同時に優れた実業家でもあり、戦時中に稼いだ資金で“Consorzio Industriale Sportivo”を立ち上げました。この会社はその後“Cisitalia”として知られるようになり1946年初めにはレース車両の製造を開始するようになりました。
ドイツ勢が1.1リッタークラスのレース車両のベースとしてフォルクスワーゲンに注力している間に、イタリアのチシタリアはフィアット1100のメカニズムを基にしたレース車両の構想を描いていました。このD46は終戦直後のレースシーンで最も成功したモノポスト(シングルシーター)のレーシングカーと言えます。
ちなみに、この個体はハンス・シュトゥックや前述のオットー・マテなどがハンドルを握ったようです。D46と言えば、以前SUPER CG誌やカーグラTVで特集されていたことがあり、当時としては極めて先進的な前進3段後退1段のセミオートマチックの操作機構にとても感心した覚えがあります。
ハンドル根元の右隣の穴から本来はギヤセレクターバーが生えていて、クラッチペダルを踏んでセレクターバーを下に押し下げると前進1速を選択し、クラッチを放すと1速に繋がる。今度はクラッチだけを踏んで放すと2速、以降はクラッチだけで2速⇔3速の切り替えができる機構だったと思います。
僕はこのクラッチペダル(左足)のみで変速する操作法にとても感銘を受けて、学生時代に研究していた50ccエンジンを使ったコミューターカーにHonda Super cubのエンジン&変速ユニットを使いました^^;
D46には乗ったことないですが、↑のコミューターカーは丸ハンドルの操舵系+2ペダル(アクセル,ブレーキ)+左足のみの変速のため、コーナー進入時にハンドルから手を離さずに“左足を踏み込んで”変速するので、その独特の操作性はなかなかFun to driveなものでした^^;
1952年 オットーマテ MA01 (Otto Mathe FETZENFLIEGER MA01)
オットー・マテの生涯はモータースポーツが中心でした。市販車ベースのレース車両での数々の試みの後、ポルシェ550の部品と1500ccの550のエンジン(フールマンエンジン)を使ったこの片腕(左腕)ドライバー用のレーシングカーを自ら造り上げることに成功しました。
彼はこのモノポスト(シングルシーター)にフェンダーを装着し、ドライバーズシートの背後にスペアタイヤを備えることで、スポーツカーと同様のオールラウンドなクルマとして使っていたようです。
そして、オットー・マテはこのクルマでマウンテンレースからサーキット,アイスレースに至るまで無数のレースに出場し、オーストリアで多くのドライバーズチャンピオンシップを獲得しました。
フロントノーズの特徴的な突起物には、フールマンエンジン搭載のポルシェに搭載されている8000rpmスケールのタコメーターが収まっていました。
2輪レースの事故により右腕先を失ったオットー・マテ自身が左腕だけで運転できるようにコクピットの左サイドにギヤシフトが設置されています。この必要最低限のドライバーズシートもセルフビルド感満点ですね^^;
ちなみに、オットー・マテは現存する唯一のPorsche typ 64を所有したことでも知られ、その個体は現在このPROTOTYP Museumにコレクションされていますが、こちらのtyp 64も他のミュージアムに貸出し中のため、ここでは見ることはできませんでした。←その後、訪れた某所にて穴が開くほど見ることができました・・・^^;
1948年 LUDWIG EIGENBAU-KLEINST RENNWAGEN
ネーミングを英訳すると“ルートヴィッヒ セルフビルド ミニマム レーシングカー”
このユニークなサイクルカーは、ロルフ・F・ルートヴィッヒにより設計されました。
彼は、このブガッティブルーのクルマを自ら製作し、F3選手権を戦いました。
このクルマのパワーユニットにはツェンダップ製の500cc 33馬力のモーターサイクル用エンジンが使われています。
また、シーケンシャルギヤボックスと手動のフロントブレーキを備える点もユニークな点と言えます。
というのがこのクルマの解説ですが、それ以前にこのF3、FFですね^^;
なので、リヤのサスペンション周りは至ってシンプル。
一応フォーミュラ(規格)とは銘打っているものの、戦後初期のF3はレギュレーションで雁字搦めになった現在のフォーミュラカーでは見られない、かくも魅力的な技術革新の戦いだったようですね。こういった面白いセルフビルドカーが見られるのもPROTOTYP Museumの真髄です。
1950年 ポレンスキー モノポレッタ(POLENSKY MONOPOLETTA)
このF3カーは、レーシングドライバーであり設計者でもあるヘルムート・ポレンスキーによって製作されました。
このクルマのエンジンはBMW製の500cc 48馬力のモーターサイクル用が使われています。
デザインが戦前のアウトウニオン typ C グランプリカーを彷彿とさせますね。
1947年 デルフォス DVD (DELFOSSE DVD)
このDVD(Delfosse Versuch Dusseldolf)は1947年に1台もしくは2台が製作されたようです。このクルマはツェンダップ KS 600(モーターサイクル)の空冷2気筒エンジン(600cc 30馬力)をフロントアクスルの後ろに搭載しています。最初の試作シャシは航空機の設計手法を取り入れて軽量木製フレームを用いて製作され、これに溶接した鋼管をアルミ板で覆ったボデーが取り付けられました。このストリームライナー形状のボデーは4つのクイックリリースファスナーを外すことで1分以内に取り外すことができるようになっています。
このレースカーは1947年秋のホッケンハイムにてデビューしました。車両重量は300kgに抑えられ、エンジンは最高45馬力に達するまでチューンアップされました。
展示車両はクルト・デルフォス(Curt Delfosse)が友人であるオットー・マテに売却した個体だそうです。
1936年 アウトウニオン タイプC モックアップ(Auto Union typ C Wooden Mock-up)
Audiがtyp Cを伝統的なハンマー叩き出しでレストレーションした際に使用した木型だそうです。
ちなみにPROTOTYP Museumの展示車ではないですが、アウトウニオン タイプCの実車はこちら↓
※2009年 アウトシュタット(ウォルフスブルク)にて撮影
と、興味深いクルマが展示されているPROTOTYP Museumですが、常設展示エリアにはまだまだ魅力的なクルマが展示されています。この続きと企画展“911 50周年記念展”の模様は後編へ続きます。
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